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第35話:お支払いは「お空の記憶」


二人の前に、重厚な「真空の門」が現れました。門の横にある検知器には、こう刻まれています。


『通行料:汝が今得た「宙の真理」と、その身を温めた「団らん」を回収する』


「あ、これ。またお供えの時間だねっ」


ぽこは、迷うことなく検知器におでこを当てました。


「……ねえ、ぽこ。いいの? さっきの『たまご』で見たお星様も、このビスケットのあたたかさも……全部なくなっちゃうんだよ?」


くうが、門の前で立ち止まりました。ビスケットの甘い余韻が消えてしまうのが、たまらなく悲しかったのです。


「いいんだよ、くう。だって、門が『お腹が空いて動けないよぉ』って光ってるんだもん。僕たちの『きれい』をあげなきゃ。それにね、くう。お腹がいっぱいなら、記憶なんてなくても大丈夫だよ」


ぽこが目を閉じると、たまごで得た知識も、ビスケットで得た団らんの記憶も、すべて青い火花になって回収されていきました。


「……あ。いまね、頭の中が『ふわっ』てしたよぉ!」


門が静かに開きます。二人は、どこから来たのか、何を食べていたのかを、一瞬で忘れました。


「ねえ、くう。あの子、なんで悲しそうな顔をしてるの?」


「わかんない! でも、なんだかあの子の持ってる袋、とってもいい匂いがするねぇ、ぽこ!」


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