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第29話:お支払いは「楽しかったこと」
二人の前に、大きな「鉄格子の門」が現れました。門の横にある魔導装置には、こう刻まれています。
『通行料:汝が今、その身に宿した「遊戯の歓喜」を、開門の火花として捧げよ』
「あ、これ。またお供えの時間だねっ」
ぽこは、迷うことなく装置に手を当てました。
「……ねえ、ぽこ。いいの? さっきの『きらきら』を追いかけて、あんなに楽しかったのに……全部消えちゃうんだよ?」
くうが、装置の前で立ち止まり、ぽこの手をそっと押さえました。さっきまでの「楽しさ」が消えてしまうことが、もったいなくて、少しだけ怖かったのです。
「いいんだよ、くう。だって、門が『重たくて動けないよぉ』って言ってるんだもん。僕たちの『楽しい』を分けてあげれば、門もきっと元気になるよ。それにね、くう。あっちに行けば、また新しい『遊び』が見つかるよ」
ぽこが目を閉じると、光を追いかけて獲得したばかりの「楽しさ」の記憶が、青い火花になって装置に吸い込まれていきました。
「……あ。いまね、頭の中が『ふわっ』てしたよぉ!」
鉄格子が開きます。二人は、何をして遊んでいたのか、一瞬で忘れました。
「ねえ、くう。あの子、なんで泣きながら笑ってるの?」
「わかんない! でも、なんだか楽しそうだねぇ、ぽこ」




