前へ目次 次へ PR 23/78 第23話:なんでもない(3) 第23話:なんでもない(3) 「ねえ、くう」 「なに? ぽこ」 「ふふふ。……なんでもない」 二人は、巨大な望遠鏡のレンズの上に寝転んで、流れる雲を見ていました。 「なんでもない、ってなあに」 「あのね、くうの鼻の先に、ちっちゃな羽虫さんが止まったから」 「ふふふ。なあんだ」 この「なんでもない」瞬間の幸せが、いつか奪われてしまうことを、彼らだけが知らない。 でも、だからこそ、この瞬間は世界で一番うつくしいのでした。