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第15話:消えた「夏」
しばらく歩いていると、ぽこが「あ」と声を上げました。
「ねえ、くう。さっきの『きらきらの筒』、どこに置いたっけ?」
「えーっと……わかんない。さっきの大きな岩のところに置いてきちゃったかなぁ」
二人は、あんなに大切にしていた万華鏡を、いつの間にか失くしてしまいました。
「……ねえ、ぽこ。あの筒の中の『なつ』、どんなだったっけ」
「うーん……青くて、キラキラしてて……。……あれ? なんだっけ?」
「門」を通ったわけでもないのに、彼らの記憶は砂時計からこぼれる砂のように、少しずつ零れ落ちていきます。
「……わかんないや。でも、いいよね。あっちに『赤いお花』が咲いてるもん!」
「そうだね! 行ってみようよ、ぽこ!」
彼らは、失くしたものの大きさに気づかないまま、新しい「きれい」を求めて走り出しました。




