第3章 響きわたる炎にのせて 3-36
爆発の後、最初に目を覚ましたのはユーだった
「(右手の感覚無ぇ、こりゃあマズいな)」
見ると火傷で赤黒く染まり切った腕があった
「(これ治るかな)」
そんな事をボケ〜っと考えながら、無事であった左手を支えに上体を起こす
目の前にはクレーターが出来ており、そこには生きているのか死んでいるのか分からないくらいに、ボロボロになったメアに必死で呼びかける時武の姿が見えた
「(さて、この状態でどこまで戦えるかわかんねぇけど、里帆の所に助太刀に行かねぇとな
あっ、先に愛芽梨と合流しといた方がいいか
俺を追いかけて来てた様子はあったし、途中であのガキとか交戦してても愛芽梨なら余裕で勝ってるだろうしすぐ会えるだろ)」
ユーは、里帆が負けても生きている事、愛芽梨が圧勝している事を信じ、そのまま立ち上がってフラフラしながら来た道を戻ろうと振り返った
そこにタイミングよく森の中から小さな影と大きな影がこちらに来るのが見えた
「(ん?まさか里帆と愛芽梨か?
里帆のヤツ上手く逃げて愛芽梨と合流出来たって事か)」
だが無情にも現れたのは、ジャックとオリアナだった
そして、よく見るとオリアナは意識の無い里帆を背負っていて、ジャックの後ろには手を縄で拘束された愛芽梨の姿があった
「は?
(嘘だろ?愛芽梨も負けたのか
クソっ、2対1はキツいな
しかも2人が人質に取られてる、どうにかして愛芽梨の拘束を解いて、里帆も奪い返さないと……)」
ユーが思考を巡らせていると、ジャックがしたり顔で口を開く
「何だよ、そっちはまだ決着ついて無かったのかよ
おっそいなぁー」
「(決着が着いて…ない……?)」
そんな筈はないと相手のハッタリだと思いながらも、ゆっくりと後ろを振り返るとそこには、仁王立ちでこちらを睨み付けているメアが居た
思わずすくみ上がるユー
「お前………マジで…
何なんだよ…、そんな怪我で立てるって…」
「さぁ、決着を着けようか」
言葉を言い終えると同時にユーへと一直線に走り出す
ブザー爆弾で応戦しようとするが右手が全く動かず、片手では時間が掛かってしまい投げる前にメアが迫って来る方が速いだろう
左手で音を出そうにもアーマーリングも無いし、利き手でも無いので指を鳴らしてもカスみたいな火しか出ない
「(こんな事なら普段から左手で音を出す練習でもしとけば良かったな
しゃーねぇか、こうなったら最終手段の声で火を出すか
正直、声はあんまし上手く調整出来ねーからどうなるか、わかねぇんだよな)」
ユーは大きく息を吸い込んで備えた
そして、メアが射程に入った瞬間、叫んだが
「狼の遠吠え」
「 」
メアのスキルにより声を出したのに音が出なかった
「(音が何一つ出ない!声所か俺が立てた足音すらも
ま、マズいこのままじゃ)」
メアの拳がユーの喉に突き刺さる
「(喉をやられた、これじゃあ大声を出せねぇ
……もう、出来る事がねぇ
俺達の負けだ)」
ユーは、負けを認めると同時にその場で土下座をした
急な土下座にメアは、動きを止める
「お……れの装…飾ば、ぜん ぶやる
なん、…なら、おれを……気が、 ずむまで
殴っ………でぐれで、がまわ…ない
だがら、……あの2人…には、これ…以上……」
そこまで言い終えると、ユーは力尽きその場で気を失った
「全く勝手なヤツだな、いきなり土下座したかと思えば
言いたい事言って、そのまま気絶するなんてさ
んで?どうするの?」
ジャックが悪態を吐きながら、メアに意見を聞くと
「…………」
メアからの返答はない
返答をしないメアに、ジャックは舌打ちしながら睨みつけると
メアは、目を開けたまま微動だにしていなかった
「おいおい、まさか喋る気力すら残って無いのか?」
ジャックが少しでも意思疎通を図れないかと近付いて、状態を確認する
「ってコイツ、この状態で気絶してやがるのか…」
「だったら、この子達も含めて全員病院に連れて行こう」
「そうだな
このまま放置しとくと死にそうだしな」
「はーあ、面倒だけど話し合いで決めた事だしね」
こうして、兎三姉妹との戦いはメア達の全勝で終わった




