第3章 響きわたる炎にのせて 3-34
「(さて、時間稼ぐとは言ったもののどうするか?
投げナイフでちまちまとやってもいいが
それだと露骨過ぎて、今スキルが使えないのがバレてしまう可能性があるし
それに……)」
メアがチラっと目線を移すと、そこには今にも突進して来そうな雰囲気を纏っているユーが居る
「(あの様子だと遅かれ早かれ接近戦になるし、こちらから仕掛けて少しでも慣れておくか)」
メアは思考を接近戦へと切り替えると、ユーのブザー爆弾を警戒しながら少しずつ距離を縮める
ユーは、今までは炎を警戒して近寄って来なかったメアが急ににじり寄って来る事に不信感を覚え、いつでも指を鳴らせるように構える
奇しくもさっきと攻守が交代するカタチになる
段々と距離が近くなる度に重苦くなる空気の中、先に動いたのは、待ちの姿勢を取っていたはずのユーだった
ユーは懐に手を入れるとブザーを2つ取り出して、音を鳴らすと
それを自分とメアの中間くらいの位置へと投げて起爆させた
土煙が舞い視界が悪くなる
ユーは直様距離を詰めて、アーマーリングを嵌めた手で突きをする
アーマーリングの先端は尖っており、加えてプレイヤーの腕力で突きをすればそれだけで致命傷になる程の怪我を負う
「オラァっ」
土煙を割きながら、メアの胸の辺りを狙った突きを繰り出すが、手には何の感触も無くただ空を切るだけだった
ユーが唖然として固まっていると、腹部に鋭い痛みが走る
「かはっ」
吐血しながら後ろにのけ反ると、足元にしゃがんだメアが血塗れのナイフを持っていた
「(咄嗟にしゃがんで避けた上でカウンターかよ
どんだけ場慣れしてんだよ)」
ジクジクと痛む腹を左手で押さえながら、次の攻撃をする為に、アーマーリング同士を擦り合わせて、カチカチと音を鳴らす
「(さっきスキルの説明でワザと言わなかったが、俺の音の炎は溜める事も出来るんだよなぁ
だから、溜めて溜めて避けられないぐらい大きくして爆発させる
だがそれまでは、肉弾戦をやるしかねぇか
なにせ、俺はこのスキルしか持ってないからな)」
ユーとメアは、再び接近しそして、肉弾戦を始める
ユーは、音を溜めるために手をフリーにする必要があるので足技を中心に
メアは、炎が来たらすぐ避ける為に足をフリーにしたいので拳中心に
リーチがある分ユーが優性に見えるが腹部のダメージで先程までのキレが無い
かと言ってメアが有利と言う訳でも無い、メアはメアでいつ飛んで来るか分からない炎を警戒しなけばいけなく、後一歩踏み込む事が出来ずにいる
お互い綱渡りをするが如く、極度の緊張状態だった
それを破ったのは時武の声であった
「メアっ!あっちの戦いは終わった
オリアナが勝ったぞ」




