7:船で母校の図書館へ
少し短いです。よろしくお願いします。
グラハ王国にある錬金術師学校へ行くには丸二日かかる。馬車に乗って港へ行き、船でグラハ王国へ向かい、港の街からまた馬車に乗って王都にある学校へ行くのだ。朝早く、自宅を出発した私は順調に進み、船に乗ることができた。
(あれっ、あそこにいるのはキーミル伯爵じゃないかしら?)
船にある個室に向かう男性の横顔がこの前の夜会で出会ったキーミル伯爵にそっくりだった。
(この船に乗ってるんだから、キーミル伯爵もグラハ王国に用事があるのよね)
私は思い切って声をかけてみることにした。
「キーミル伯爵、ごきげんよう。こんなところでお会いするなんて奇遇でございますね」
「おや、ティファレット嬢じゃないですか。本当に奇遇ですね。どうされたんですか?」
「私は母校に向かう途中でございます。ちょっと用事がございまして」
「そうですか。私はグラハ王国にいる錬金術師の仲間に会いに行くところです」
「そうでしたか。お見かけしたのでご挨拶をと思いまして、お声をかけさせていただきました」
「それはご丁寧にどうも。それでは」
「はい。それでは失礼いたします」
この時の私は、グラハ王国へ来たキーミル伯爵の本当の目的が、タミルの体調を治す方法を調べるためだったとは思いもよらなかった。
船を降りて辻馬車で向かう。学校は王都の中心部にあった。馬車の中から外をみていると王都の街は多くの人で賑わっていた。
(まだ卒業してそんなに経ってないけど、随分と前に感じるな……)
そして私は二日間かけて、やっと母校の王立錬金術学校に着いた。図書館は独立した建物になっていて、中に入るには卒業証が必要だった。
「こんにちは、卒業生のティファレット・エンジェライトです」
「こんにちは、どうぞ」
入り口にある受付で卒業証を見せて、図書館の中へ入る。図書館の中はシーンとしていて人も少なかった。錬金術の学校の図書館ではあるけれど、錬金術以外の本もたくさん置いてある。例えば物語の本や、料理のレシピの本、政治や歴史の本などもある。
(そもそも何が原因なのか分かってないからな。色々読んで閃くといいけど)
初日の今日は、ひとまず医学書を片っ端から読んでいくことにした。
「すみません、そろそろ閉館の時間なんです」
夢中で読んでいると声をかけられた。時計を見ると私が図書館に来てから五時間経っていた。
「えっ! もうこんな時間なの!? すみません」
私は慌てて読んでいた本を棚に戻し、図書館を出た。
(今日は収穫なしだったな。やっぱり医学書は読んでも閃かなかったし。明日は薬学書を読んでみようかな)
さすがに五時間も本を読みっぱなしで疲れていた私は、学校の近くに美味しいお店があるのだけれど、寄らずにまっすぐ予約してあった学校近くの宿に向かった。
次の日も図書館に行って、薬学書を読んでいったけど、医学書の時と同様だった。
(どうしよう……。医学書も薬学書も読んでも全然閃かなかった)
私は薬学書の本棚に本を戻すために考えながら歩いていたので、前からくる人にぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
「こちらこそごめんなさい。って、あれっ? ティファじゃない!? あなたジィード王国に帰ったんじゃなかった?」
私はぶつかった人を見た。
「サラ!!」
そこにいたのは友達のサラだった。サラに会うのは卒業して初めてだった。
「しーっ! 声が大きいわよ」
「ごめん、ごめん」
「どうしたの? この中じゃゆっくり話せないからちょっと場所を移動しない?」
「うん、そうしましょう」
私はサラと一緒に図書館から出て、外にあるベンチに移動した。
お読みいただきありがとうございました。




