6: お兄様からの助言
少し短いです。
よろしくお願いします。
「ティファレット様、おかえりなさいませ。昼食を召し上がられますか?」
家に戻ると、メイドに声をかけられた。時計を見ると正午だった。
「ええ、お願い」
私が食堂で昼食を食べていると久しぶりにお兄様が入ってきた。
「ティファ、タミル君の様子はどうだい?」
「相変わらず良くないわ」
「そうか。もう具合が悪くなって二週間くらい経つな」
「うん……。病気を治す薬を作ったり、呪い解除のブレスレットを作ったりしてみたけど治らなくて、原因がわからないの」
サラダを突きながら返事をする。メイドが食事を運んできたので、お兄様も一緒に食事をするようだ。
「すでに色々なことを試してみているんだな。僕だったら、こういう時はもう一度最初に戻って考え直してみるな。そうすると今まで気づかなかったことに気づいたりしてね」
「最初に戻るねぇ……最初に戻ったら、閃くことができるのかしら?」
「閃く? ティファは気づくより閃くのか。じゃあ、どんな時にいつも閃いているんだ?」
「私が閃く時は……」
(……そういえば私は本を読んでいる時によく閃いていたかも)
「本を読んでる時かな?」
「おっ、本か。じゃあうちの自慢の図書室に行ってみるといいんじゃないか? 図書室の本からタミル君の原因が閃いたりするかもしれないぞ」
お兄様は本好きが高じて王立図書館で働いている。お兄様のおかげでうちのタウンハウスや領地の家には広い図書室があった。
「……お兄様には悪いけど、うちの図書室にはタミルの調子が悪い原因のヒントになるような本はないと思うわ」
「ティファが八年いない間に随分うちの本も増えたり、入れ替わったりしたんだぞ」
確かに、私が最後に図書室に行ったのは錬金術師について調べた時だった。
「そうなの? じゃあ閃くような、何かヒントになる本があるかもしれないわね」
私は食事が済んだら図書室へ行ってみようと思った。
食事が済んだので、図書室へ向かった。図書室に着き、ドアを開けると中からふんわりと爽やかな香りが漂う。私はこの香りが好きだった。
図書室には防虫剤としてハーブを部屋の四隅に吊るしてあった。これは錬金術で生成したものではないけれど、私が錬金術の学生時代に息抜きで作って家に送ったものだ。
(いい香り〜。この香りを感じながら本を読むのは最高だわ)
図書室の中を歩いて、本棚を巡る。以前より本棚と本棚の間が狭くなった気がする。
(本を増やしたから本棚が足りなくなって増やしたんだろうな)
図書室の本棚の半分くらいを見て回ったが、これといって見つからなかった。
(お兄様は新しく本を入れたと言ったけど……新しい本もほとんどお兄様の好きな系統の本ばかりなのよね……)
この図書室はお兄様の趣味で作られている。そのため、お兄様が好きな政治や経済、芸術方面の本が多く置いてある。
それでも私は諦めずに、全ての本棚をくまなく見て回った。
ーーーーどれくらい時間が経ったのだろう。
ふと、窓の外を見ると陽が沈みかけていた。
(やっぱりうちの図書室にはタミルの調子の悪い原因のヒントになる本はなかったな。王立図書館に行ってみるのもいいけど、母校の図書館の方がありそうだよね。そっちに行こう)
そうと決めたらすぐに行動する私は、図書室から自分の部屋に戻った。
そしてすぐに母校へ行く準備に取りかかった。でも、どんなに早く準備をして出発しても、今からだと船の出航には間に合わない。今日の出発は諦めて、明日の朝にすることにした。
お読みいただきありがとうございました。




