27: サドキエルの論文
よろしくお願いします。
(早くゆっくり読みたいわ。でも読んでいて調べたいことが出てきたら学校の図書館に行かないといけないから、最初から図書館で読もう)
私は図書館に向かった。
「こんにちは、卒業生のティファレット・エンジェライトです」
「こんにちは、どうぞ」
入り口にある受付で卒業証を見せて、図書館の中へ入る。
図書館はこの前来た時と同じように人が少なくシーンとしていた。
(ここはいつ来てもあんまり人がいないんだよね。ゆっくり調べたりするには都合がいいけど、こんなに人がいないとなんか本が読まれてない気がしてもったいないな……。いい本沢山あるのに……)
広々とした図書館の中にはたくさんの本があっても人はまばらだった。
(そんなことより早く読もうっと)
空いている机と椅子を見つけて、私は座ってアキム先生から借りた論文を読み始めた。
( なんか論文というより手記みたいだな)
ゆっくりサドキエル様の書かれた論文を読んでいく。
『チェンジリングという言葉を知っているだろうか? 妖精の取り替え子と言われるものであるが、私はそのチェンジリングにあった人間だ。
子供の頃は妖精界に住んでいた。妖精界の話についてはここでは触れない。今回は妖精界と人間界の波動の違いでの体調不良について話をしたいと思う。
妖精界の波動は人間の私には辛く、よく体調を崩していた。その時に、育ての親である妖精から“スケルトンフラワー“と呼ばれる花の大切なものが写ったエッセンスを飲まされていた。
そのスケルトンフラワーのエッセンスを飲み続けると不思議なことに体調が良くなり、妖精界に身体が順応していた。
ある時、私は自分を育ててくれた妖精と共に人間界に行くチャンスが訪れた。元々は自分が人間であることを知っていた私はこのチャンスに人間界で暮らしていこうと思っていた。
私はそのチャンスをものにすることができ、一緒に来た妖精の育て親を撒いて人間界にいることができるようになった。
その後、人間界で生活できるようになるまで、錬金術師になるまで色々あったのだが、その話は今回は割愛しておく。
それからしばらくして、困ったことが起きてしまった。それは身体が妖精界に慣れてしまい、体調が悪くなってしまったことだ。
私は十年以上妖精界にいたので、身体が妖精のようになってしまい、今度は人間界の波動が身体に合わなくなって体調が悪くなってしまった。
困った私は妖精界で飲んでいた“スケルトンフラワー“が人間界にもあるのではないかと探した。
どうやら“スケルトンフラワー“は人間界では“サンカヨウ“と呼ばれていた。妖精界では透明な花であったが、人間界ではある条件が揃わないと“スケルトンフラワー“と言う名に相応しい姿に変化しないものであり、通常では手に入りにくいものだと分かった。
それから私は“スケルトンフラワー“を手に入れるためにあらゆる手を尽くし、無事にこの条件を満たすことができ、“スケルトンフラワー“を手に入れることができた。
そして、妖精界にいた時と同じように、この“スケルトンフラワー“からエッセンスを作り、飲むことで身体の調子を元に戻すことができたのであった』
(サドキエル様の論文はここで終わっている。サドキエル様が書いていたエッセンスはきっとフラワーエッセンスのことね。でも“サンカヨウ“が“スケルトンフラワー“になるための条件はこの論文には書いてない……。一体どうやってスケルトンフワーに変化するのかしら?)
私はひとまず植物図鑑を探して、“サンカヨウ“について調べてみた。
『サンカヨウは温帯から亜寒帯に生息している。雨に濡れると透明になる性質を持っており、別名“スケルトンフラワー“と呼ばれている。しかし、花弁が散らない程度の弱い雨が長時間続いて、低温度で、高湿度の状態になるという条件を満たさないと透明にはならない』
(スケルトンフラワーになる条件は植物図鑑に書いてあったから簡単に分かったけど、条件がなかなか難しいわね。それにどこに咲いているのかは大まかすぎてよくわからないわ)
私は植物図鑑で調べたことをメモした。これ以上は植物図鑑を見ても載っていなかった。先生が言っていた通り、サドキエル様を訪ねて、相談してみようと思った。
お読みいただきありがとうございました。




