26: アキム先生と面会
よろしくお願いします。
次の日、私はアキム先生に会いに錬金術師学校を訪れていた。
「こんにちは、卒業生のティファレット・エンジェライトです。アキム先生とお会いする約束をしています」
私は卒業証を見せながら受付の女性に声をかけてアキム先生に伝えてもらった。
「こんにちは、アキム先生への面会ですね。少々そこの椅子にかけてお待ちくださいね。今確認します」
その後、受付の女性は奥に引っ込んでいった。私は言われた通りに座って待った。
「お待たせいたしました。確認が取れましたので、校内にお入りください。アキム先生のところまでご案内させていただきます」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
私は受付の女性にアキム先生の部屋まで案内された。学生時代、部屋の前を何度も通ったけど、部屋に入るのは今日が初めてだった。
女性が部屋のドアをノックして声をかけた。
「卒業生のティファレット・エンジェライトさんをお連れしました」
「はい、どうぞ」
中からアキム先生の声が聞こえた。
「どうぞ、お入りくださいね。私はここで失礼致します」
「はい、ありがとうございました。失礼致します」
私は案内の女性にお礼を言って部屋に入った。
アキム先生の部屋は本棚が所狭しと並んでいた。たくさんの本がある本棚のせいで、部屋が少し暗い印象だった。
先生は部屋の真ん中にあったソファセットに座って何かを読んでいるようだった。私が部屋に入ると、手を止めて立ち上がり、私の方へ来た。
「エンジェライト君、よく来たね。手紙の返事が遅れてすまなかったね。さあ、ソファに座ってくれたまえ」
「いえいえ、こちらこそお時間を作ってくださりありがとうございました。失礼します」
先生にソファのところまで勧められて、私は頭を下げて、アキム先生が座っていた前のソファに座った。
「エンジェライト君の手紙には錬金術での生成品で体調不良が完治せず困っていると書いてあったが、もっと詳しく教えてくれないかい?」
先生は私がソファに座ったのを見計らって話し始めた。
「はい」
私はタミルのことを体調を崩してから今までについてアキム先生に話した。そしてカバンに入れて持っていたフラワーエッセンスの瓶を出して先生に見せた。
「そうか…。これがエンジェライト君の生成品のフラワーエッセンスなんだね。なるほど……」
先生は私の作ったフラワーエッセンスを見て何かを考えていた。私はそんな先生を黙ってみていた。
しばらくして、先生は立ち上がり、先生が座っていた後ろにあった本棚から資料のようなものを取り出してきた。
「これは今きみが悩んでいることに似た内容の錬金術の論文だよ。これを読めば参考になるだろうし、きっと解決するだろう」
「ありがとうございます」
先生から論文を受け取った私は早速論文を読んでみた。
論文を書いた人の名前は“サドキエル”となっていた。
「サドキエルって……」
「そうだ。きみが身につけていたペンダントを生成したサドキエルと同一人物だよ。この論文を読めばわかるが、彼女はチェンジリングにあった人間の方だ」
「サドキエル様がチェンジリングにあった人間?」
「ああ、そうだ。そして今彼女はこの学校の講師として勤務している。その論文を読んで聞きたいことがあれば彼女を訪ねるとよい。私から彼女に話しておく」
「ありがとうございます。これはお借りしても?」
「大丈夫だ。解決した際に返しにきてくれればいい」
「わかりました。ありがとうございます」
「きみの悩みの解決を祈っているよ」
私は先生に渡していたフラワーエッセンスの瓶を受け取りカバンにしまった。
「ありがとうございます。無事に解決しましたら、またご報告させていただきます」
「ああ、その時を待ってるよ」
「はい、それでは失礼致します」
私は論文を手に、アキム先生の部屋を出た。
お読みいただきありがとうございました。




