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【完結】錬金術師ティファレット•エンジェライトの奮闘〜花の錬金術で幼馴染を助けたい〜  作者: 緋月 らむね


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25:再び友との再会

よろしくお願い致します。

「ティファ〜! 迎えにきたわよ」


「ティファ〜! ここだ〜」


 二人もすぐに私を見つけてくれて、手を振ってきた。


「二人ともありがとう〜」


 私は駆け寄って二人と合流した。


「結構先生から返事をもらうのが時間かかったんだな」


「そうなのよ。先生も忙しかったみたい」


「学校もあるし、きっと他の卒業生の相談にものってるだろうからしょうがないわね」


「うん、時間を作って会ってもらえるだけいいわ」


「今日、今からアキム先生に会うわけじゃなかったよな?」


「うん、明日面会予定になってる。あのね、私二人に話しておきたいことがあるの。できたら個室とか人に聞かれないところがいいのだけれど…」


「お父さんがよく商談で利用するお店が近くにあるわ。そこは個室になっているからちょうどいいと思うわ」


「サラ、ありがとう。そこに連れて行ってくれる?」


「ええ、いきなり行ってもうちの商会の名前を出せば大丈夫よ。じゃあ早速行きましょう」


「そうだな。馬車はすぐ近くに停めてある。あっちだ」


 サラとアズラエルはアズラエルのうちの馬車で私を迎えに来てくれていた。


 私達は馬車の停留場に歩いて行った。


「そういえば、ティファは宿はどうする予定? まだ決めてなければうちの商会の宿に泊まったら?」


「えっ、サラのところの商会って宿も持ってるのか?」


「私が卒業する頃に潰れた宿があって、そこを買い取っていたの。そこの改装がやっと終わって最近リニューアルオープンしたのよ」


「へー、すごいな。どこにあるんだ?」


「錬金術師学校のすぐ近くなのよ。学校に用事のある卒業生や受験生の人にはとても便利だと思う」


「いいわね。学校が近いなら便利だわ。ぜひ泊まらせてもらうわ」


「決まりね。ティファの話を聞いて、それから宿に向かいましょう。御者に行き方を伝えるわね。二人は先に馬車に乗ってて」


「ありがとう。頼む」


「サラ、ありがとう。お願いします」


 サラが御者に店までの行き方を伝え、私達は店に向かった。


「あっ、見えてきたわ。あそこよ」


 馬車に乗ってしばらくするとシックな装いの建物が見えてきた。どうやらそこがサラの家の商会の御用達の店らしい。


 私達は店の前で馬車から降りて店に入った。


「いらっしゃいませ」


 入り口には案内係の店員が立っていた。


「私はサーブ商会のサラと申します。個室は空いているかしら?」


「これは、これはサーブ商会のお嬢様。いらっしゃいませ。今個室のご用意致しますね。少々お待ちくださいませ」


 店員は奥へ行き、確認に行った。


「ありがとう」


 しばらくすると店員が戻ってきて、私達を個室に案内してくれた。


「では、こちらのお部屋へどうぞ。注文がお決まりになりましたらベルを鳴らしてください」


「ありがとう。わかったわ」


 店員は下がっていった。


「ところでここは何を食べさせてくれる店なの?」


 私はシックでおしゃれな店なのでどんなものが出てくるのか気になった。


「ここはね、一応カフェなんだけど、残念ながら場所の使用が目的だから大したものは出てこないの」


 そう言ってサラはメニューを見せてきた。メニューを見るとサラのいう通り、コーヒーと紅茶、あとはミルクくらいしかなかった。


「そうなのね。でも個室で、他の人に聞かれないのはとてもいいから。私はコーヒーにするわ」


「俺もティファと一緒のコーヒーで」


「じゃあ私もそうしようかしら」


 三人ともコーヒーを頼んだ。


「すぐに届けてくれるから、来てからティファの話を聞きましょう」


「そうだな。店員が来ると中断するし、聞かれたくないしな」


 三人でたわいもない話をしているとコーヒーはすぐに来た。


「じゃあ、ティファの話を聞きましょう」


「ああ」


「色々とお膳立てしてくれてありがとう。この前来てくれた時に、話せなかったタミルのことだけど……タミルに許可をもらったから、二人に話すわね」


「タミル様、話していいって言ったんだな」


「うん。二人に会ったからっていうのが大きいみたいで、教えていいって」


「そうか」


「嬉しいわ」


「それで、この前アズラエルがタミルのことを人間離れした美しさみたいなこと言ってたよね? サラの読んでた物語の本の妖精王子にも似てるし……」


「ああ、言った」


「そうね、そっくりだったわ」


「タミルは……実は妖精のクォーターなの」


「……やっぱり、純粋な人間じゃなかったか……」


「妖精のハーフじゃなくて、クォーター……」


「うん」


 二人とも“私達の共存者”のことを知っている錬金術師だ。タミルが純粋な人間ではないと聞いても驚かなかった。


(これよりもタミルの姿を見た時の方が驚いていたしね)


 私は心の中で苦笑いしていた。


「妖精のハーフ? サラはなんか知ってたのか?」


「ええ、私は前にティファに会った時にちょっと聞いてたの。その時はまだ確証はなかったんだけどね」


「そうか」


「そのせいでシックポーションが効かなかったから色々錬金術を試して、花の錬金術を見つけて、フラワーエッセンスというものが生成できたの」


 私は持ってきていた瓶に入ったフラワーエッセンスを二人に見せた。


「これがそのフラワーエッセンスよ」


「なんかただの水みたいだな」


「そうね。でも瓶にはちゃんとティファの印がついてるから錬金術で作ったものだわ」


 二人はまじまじとフラワーエッセンスの入ったガラス瓶を見た。


「これは花とジィード王国の王都の近くにある裏山の泉の水で錬金術をしてできた生成品なの。これを妖精の血を引くタミルが飲むと少し体調が良くなるの」


「……妖精は花が好きだもんな」


「アズラエル、よく知ってるわね。そうなのよ。花が好きなの。それも関係しているのかもしれないけど、妖精は人間界の波動っていうのが身体に合わないみたいで……。妖精のクォーターのタミルもそれが影響しているみたい」


「……そうだったんだ。それで体調がよくなかったんだな」


「この前お会いした時も、最後の方はちょっと辛そうだったものね」


「サラ、よく気づいたわね」


「……タミル様をまじまじずっと見てたからね」


 サラは苦笑いしながら答えた。


「すごかったもんな、本当にあの人間離れした容姿はさ。初めて見る人はみんな驚くんじゃないか?」


「そうね。帰国してすぐに夜会に参加したんだけど、女性の視線がすごかったわ」


「だろうな……」


「でもタミルは全然気にしてなかったよ。慣れてるんだろうね」


「だろうな……」


「ちょっとアズラエル、さっきから“だろうな“しか言ってないわよ」


 私とアズラエルの会話を聞いていたサラから鋭いツッコミが入った。


「あー、ごめんごめん。ところで、妖精はみんなあんなに美しいのか?」


「どうかな? でもタミルのお母様もすごく美人だったよ」


「お父上は?」


「ローウェルのおじさまとは全然似てない。だからみんなそれも驚くんだよね」


「じゃあ、タミル様はすごく妖精の特徴が出てしまっているんだろうな」


「そうかもしれない」


「さっき、“美人だったよ“って言ってたけど、タミル様のお母さんは亡くなってるの?」


「うん……一年前にね。多分、今のタミルと同じ原因だと思う……」


「そっか……じゃあ、タミル様はティファが絶対治さないとね」


「ええ、私が絶対に治すわ」


「私も協力するわ」


「俺も協力するよ。何かあればまた言ってくれ」


「二人ともありがとう。このフラワーエッセンスは一応効果はあるんだけど、ずっと飲んでいても、飲む前よりは調子がいいけど、完治までには至らないの。それをアキム先生に相談してみようと思って」


「妖精のことをアキム先生はわかるかしら?」


「“私達の共存者”のアキム先生だからつながりはあるんじゃないかって思ってるの」


「あると思う。以前、俺がユニコーンのことが知りたくて、自分で調べてみたがよくわからなくて、アキム先生に聞いたら論文を貸してくれたよ」


「それなら大丈夫そうね!明日は心おきなく相談してきてちょうだい」


「うん!」


 話の終わった私達は店を出た。私はアズラエルの馬車でサラの商会の宿に送ってもらった。


「アズラエル、私もここでいいわ」


「えっ、サラは泊まるわけじゃないんだろう? 家まで送るよ」


「ありがとう、アズラエルの家と反対方向だし、うちの商会の馬車に乗せてもらって帰るわ」


「そうか。気にしなくてよかったのに……。じゃあ二人ともまたな」


「うん、ありがとう。またね」


「アズラエル、気をつけて帰ってね。色々ありがとう」


「ああ。ティファ、何かあれば連絡してくれよ」


 アズラエルは家に帰って行った。


 サラの商会の宿はオープンしたばかりなのもあって、とても綺麗だった。内装も明るく上品な感じだった。


「こんにちは、ご苦労様。友達が泊まるから部屋を用意してほしいわ」


「サラお嬢様、こんにちは。承知致しました。ご用意いたします。少々お待ち下さいませ」


「ティファ、部屋を用意してくれるから、ちょっと待っててね」


「うん。ありがとう」


 そして、しばらくすると部屋が用意され、部屋まで案内された。


「こちらへどうぞ」


 案内された部屋は女の子らしい可愛いピンクの壁紙の部屋でベッドも薄いピンクの天幕が付いたお姫様仕様になっていたのでテンションが上がった。


「可愛い部屋を用意してもらって嬉しい!」


「この部屋は女性に人気です。是非お使いください」


「いいお部屋を準備してくれてありがとう」


 サラは従業員にお礼を言っていた。


「いえいえ、それではごゆっくりお過ごしくださいませ。失礼致します」


「じゃあ、私も帰るわね。もし何かあれば宿の従業員に言付けしてちょうだい」


「ありがとう、わかったわ」


 サラも帰って行った。


 私は一人になって、明日のことを考えていた。


(アキム先生に会ったら、タミルの身体の調子が完治する方法がわかるだろうし、わからなくても何かすごくいいヒントをくれると思っているけど、もし、わからなかったり、完治しないって言われたらどうしよう……)


 急に不安になってしまった。


(でもフラワーエッセンスを飲み続けてここまで良くなったから、きっと完治できるわ)


 私は根拠らしい根拠があるわけでもなかったが、自分で自分を励ました。


(忘れずにフラワーエッセンスは持っていかなきゃ)

 


お読みいただきありがとうございました。

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