18: 婚約
よろしくお願いします。
マイルドから手紙が来なかったので、今日ローウェルのおじさまと話しができるということだろう。夕方になって、私は再びタミルのところを訪れた。
「こんばんは、まだおじさまは戻られてないわよね?」
「こんばんは、ティファレット様。はい、まだ旦那様は戻られておりません。ですが、もう少しで戻られる予定だと聞いておりますよ。タミル様と部屋でお待ちください」
「ありがとう。わかったわ」
私はタミルの部屋に案内された。
マイルドが扉をノックした。
「はい、ティファ? 入って」
いつもなら私とタミルが会う時はマイルドが待機してくれるが、今は用事があるようで、他の従者が部屋の隅で待機する。
「タミル、さっきぶりね。あれから調子は変わらない?」
さっき来た時と同じようにタミルはベッドから起き上がっていた。
「ああ、大丈夫だよ。むしろ、ティファと同じ気持ちだと知って、なんだか調子がいいよ」
「それならよかったわ。精神面も大事よね。ところでタミル、おじさまになんて話すつもり?」
「……僕の気持ちはずっと前から父上に伝えていた。それをまた話すだけだよ」
タミルと話していると部屋にノック音が響いた。
「はい。どうぞ」
「旦那様がお帰りになりました。もう少ししたらこちらへ来られるそうです」
「わかった」
タミルが起きて歩けないので、おじさまがタミルの部屋に来てくれるようだ。
部屋にノック音が響く。
「タミル、入るぞ」
「はい、どうぞ」
ローウェルのおじさまがタミルの部屋に入ってきた。
「お前たち二人が私に話があると聞いたが、何の話だ?」
入室早々にローウェルのおじさまが口を開いた。
「父上、僕はティファと婚約したいです」
「……キーミル伯爵のエルダ嬢のことは?」
「せっかくの申し出ですが、僕はティファのことが好きなんです」
「……ティファレット、君はこの前、私にタミルのことは大切な幼馴染と言っていたが?」
「おじさま、あの時はまだ私は自分の気持ちに気づいていませんでした。おじさまからタミルと会わないように言われて、お兄様からタミルとエルダ様の婚約話のことを聞いて、私はとてもショックを受けました。悲しくてやっと自分の気持ちに気づいたんです。タミルのことが好きなんだって。私もタミルと婚約したいです。お願いします」
「タミル、お前は身体のことはどうするつもりだ。エルダ嬢と婚約しないならキーミル伯爵の手を借りることはできない。そうなったら、ずっとそのままで歩くこともできない、ましてや働くことなんてとてもできないんだぞ。そんな状態でティファレットを幸せにできるのか?」
「それは……」
「タミル、私の作ったフラワーエッセンスを貸して」
私はタミルに渡してあったフラワーエッセンスの瓶をもらい、ローウェルおじさまの前に出した。
「おじさま! これは私が錬金術で作った花の大事なエッセンスが集まった水でフラワーエッセンスというものです」
「花の大事なエッセンスが集まった水? ……まさか、ティファレットはあのことを知っているのか?」
「あのこと? タミル、あのことって?」
「……僕に妖精の血が流れていることだよ」
「知っているんだな?」
「はい。タミルの身体を治すための錬金術を考えている過程で気がついて、タミルに確認しました」
「……そうか。キーミル伯爵には私から話したんだが、君は自分で気づいてくれたのか。やはりそれだけ二人の関係は深いものなのだな。そんな君であればタミルを治すことができるかもしれないな……」
「おじさま、タミルがこれを飲んだら調子が少し良くなったんです」
「タミル、本当か?」
「はい。以前は横になっていないと辛かったのですが、こうやって起き上がれるようになって、そのままで長い時間いられるようになったんです」
「……そうか。ティファレット、タミルの身体のことを君に頼めるだろうか?」
「それじゃあ……」
「ああ、二人の婚約を認めよう。私はタミルの気持ちを随分前から知っていたが、ティファレットはこの前私にタミルのことを大切な幼馴染だと答えた。タミルの片想いだと思った。でも今日、本当は二人が同じ気持ちだと知った。それに元々、ルーシアからの遺言で二人が一緒に言ってきたら婚約させてあげるように頼まれていたんだよ」
「おじさま、ありがとうございます。タミルの身体は私が必ず治します。どんなに時間がかかったとしても、絶対に」
「こちらこそありがとう。タミルをよろしく頼む。ティファレット錬金術師殿」
こうして、私とタミルはローウェルのおじさまに婚約の許しをもらった。そして、おじさまからうちのお父様にタミルとの婚約の申し込みの手紙が届いた。
うちのお父様からの承諾も得て、晴れて私とタミルは大切な幼馴染から大切な婚約者となった。
お読みいただきありがとうございました。




