17: ティファレットの気持ち
よろしくお願いします。
タミルに手紙の返事を送って、2日経った。手紙は届いているだろうから今日はタミルのところへ行くことにした。でも、タミルは会いにきてって言ってくれてるけど、マイルドがローウェルのおじさまに私とタミルが会うのを止めさせるように言われてないか心配だった。
(でも、もしそう言われても、今日だけはタミルに会わせてもらうようにお願いしよう。いざとなったら会わせてもらうまで帰らないつもりよ)
私は気合いを入れてタミルのタウンハウスに向かった。
「こんにちは、タミルのお見舞いに来たわ」
「こんにちは、ティファレット様。ホド様から体調を崩していたと伺いましたが、もう大丈夫でしょうか?」
マイルドは私の体調のことを知っていた。
「ええ、ありがとう。もうすっかり大丈夫よ。タミルの調子はどう? 会えるかしら?」
「タミル様の調子は以前ティファレット様が来られて以来、少し良い状態が続いておりますので、お会いできると思いますよ」
「そう、よかったわ」
私は内心ドキドキしながらマイルドの言葉を聞いていた。どうやらローウェルのおじさまはマイルドには言わなかったようだ。
「今日、ローウェルのおじさまは?」
「旦那様はお仕事で登城してますよ」
「そうなのね」
ローウェルのおじさまとも顔を合わせずに済みそうでホッとしていた。
マイルドが部屋をノックした。
「はい」
心なしかこの前より少し元気そうなタミルの声が聞こえる。
「ティファレット様がお見えになりましたよ。入ってよろしいでしょうか?」
「ティファが? 入って」
タミルの嬉しそうな声が聞こえた。私はマイルドとタミルの部屋に入った。
「タミル、こんにちは。この前は手紙をありがとう」
なんと、タミルはベッドから起き上がっていた。調子が以前より良さそうに見えた。
「ティファ!! もう大丈夫なの?」
「うん、すっかり。心配かけてごめんね。タミルは?」
「僕はこの前ティファが持ってきてくれたフラワーエッセンスを飲み続けて、ベッドから起き上がっていることが多くなったんだ」
「それはよかったわ。嬉しいわ」
「ティファ、ありがとう」
「ううん。ところで、私タミルに話したいことがあるんだけど……」
「どうしたの?」
私はドアの側で待機しているマイルドの方を見た。タミルは何か察してくれたみたいで
「マイルド、十五分くらいティファと二人っきりにさせてくれないか?」
「……承知いたしました。では十五分後再び参ります」
そう言って席を外してくれた。
「「マイルド、ありがとう」」
私とタミルはマイルドにお礼を言った。
「……ティファ、話したいことって何? どうしたの?」
タミルと私の二人っきりになったところでタミルが切り出した。
「タミル、エルダ様と婚約するの?」
「……どうしてそれを?」
「お兄様から聞いたの」
「……父上から話があったんだ。キーミル伯爵が僕の身体を治すための錬金術を見つける代わりに僕とエルダ嬢との婚約を望んでるって」
「……やっぱりその話は本当だったんだ……タミルはどうするの?」
「……僕は少し考えさせて欲しいって父上に言ったんだ。まだ身体も治ったわけじゃないしね」
私はタミルがそんな返事をすると思っていなかったので、軽くショックを受けた。
「そっか……」
「ティファが僕に話したいことって、このことだったの?」
「ううん。……タミル、あのね。実は私、体調が悪くてタミルのところへ来られなかったわけじゃないんだ。実はこの前タミルのところへ来た時に、ローウェルのおじ様に呼び止められて、婚約者でもない私が頻繁にタミルのところへ来るのは良くないって言われたんだ。それとタミルの身体のことはキーミル伯爵に頼んだからって。私、それがすごくショックだったの」
「……父上がそんなことを……」
「それからね、その後、お兄様にさっきの話を聞いてしまって。それで私、もうタミルと一緒にいられなくなると思って、すごく悲しくて苦しくなって気付いたの。私、タミルのことが好きなんだなって」
「ティファ……」
「タミルは私のことをどう思ってるの? ただの幼馴染?」
「……僕は、僕はずっと昔からティファのことが好きだよ。だからティファの気持ちがとても嬉しいよ」
「タミル、じゃあ私と婚約してくれる?」
「……僕もティファと婚約したいと思っているけど、今のこんな身体じゃティファと婚約して、いずれ結婚することになってもティファを幸せにできない」
「でも、この前私が持ってきたフラワーエッセンスで少し体調が良くなっていたわよね? もっとあれを研究したらタミルの身体は良くなると思うの。それに、今のままじゃこうやって頻繁にタミルのところには来れないし、エルダ様との婚約話もあるから……」
「そうだね。いずれ、必ず僕の身体を治してくれると僕は錬金術師のティファを信じるよ。父上は今日お帰りになるから、帰ってきたら父上に一緒に話をしよう」
「ありがとう、わかったわ」
十五分経ち、マイルドが部屋に戻ってきた。
「マイルド、父上が帰ってきたらティファと僕で父上に話があるから。父上が帰ってきたらそう伝えて」
「承知いたしました。旦那様の帰りがどれくらいになるかわかりませんので、先に旦那様にお手紙を送って話したいことがあることをお伝えいたしましょう」
「そうだな。助かるよ。ありがとう、マイルド」
「いえいえ、当然のことですよ」
マイルドがローウェルおじさまに手紙を書いてくれることになった。
「タミル、まだ夜まで時間あるし、タミルも身体辛いだろうから私は一旦帰るね」
「大丈夫だけど、気にしてくれてありがとう。わかった」
「ティファレット様、もし旦那様のお帰りが遅過ぎたり、今日は難しいようでしたらお手紙をお送りいたしますね」
「マイルド、ありがとう。じゃあタミル、夕方もう一度来るわね」
私は一旦家に帰った。
お読みいただきありがとうございました。




