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【完結】錬金術師ティファレット•エンジェライトの奮闘〜花の錬金術で幼馴染を助けたい〜  作者: 緋月 らむね


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15話 タミル視点  ティファレットのこと

よろしくお願いします。

 今まで頻繁に家に来てくれたティファがなんの音沙汰もなく、来なくなって一週間以上経っていた。僕は来なくなったティファがとても心配になった。


 僕がティファと出会ったのは、八歳の頃だ。ティファの母上と僕の母上が友達で、僕は母上に連れられてティファの家に遊びに行ったのが始まりだった。


 ティファの母上の横に銀髪で毛先にほんのりウェーブがかかった長い髪をした水色の瞳の女の子がいた。その子がティファだった。


「初めまして、ティファレットちゃん、あなたのお母様と友達のルーシア・ローウェルよ。この子はタミルというのよ。ティファレットちゃんと年齢も近いから仲良くしてくれると嬉しいわ。さぁ、タミル。ティファレットちゃんにご挨拶して」


「初めまして。僕はタミル・ローウェルです」


「……」


 僕がにっこり笑うとティファレットと呼ばれた女の子の顔が赤くなった。

 

「ティファレットちゃん? どうしたの?」


「この子ったらタミル君がかっこいいから見惚れちゃったのよ」


 僕は社交界では“花の女神“と呼ばれるほど美人な母上によく似た顔立ちをしていた。僕自身は父上のような男らしい厳つい顔に憧れていたから、思ってもみないことを言われて恥ずかしかった。


「あらぁ、うふふ」


 母上もそれをわかっていたのでなんだか面白そうだった。


「……初めまして、私はティファレット・エンジェライトと申します。私のことはティファとお呼びください」


 ちょっと恥ずかしそうにしながらもティファは僕の目をしっかり見て丁寧に挨拶してくれた。


「ティファだね。じゃあ僕のことはタミルって呼んでほしい。それと敬語ではなくて普通に話してもらえると嬉しいな」


 さっきの挨拶で僕はティファとは仲良くなれる気がしていた。


「わかったわ、タミル。これから仲良くしてね」


 ティファが僕に向かって笑顔を見せて、僕の手を取った。その笑顔がとても可愛らしくて印象的だった。


 それからしばらくして、ティファは僕と一緒に家庭教師の先生から勉強を教えてもらう事になった。家庭教師は週に五日きていた。


「ティファ、今日から一緒に勉強できるね。僕はローウェル侯爵家の跡取りとしての勉強、ティファは錬金術師学校の試験勉強で目的は違うけど、一緒に頑張ろうね」


「うん。タミル、今日からよろしくね」


 僕は今まで家庭教師の先生と一対一で勉強していた。僕は僕なりに勉強に取り組んでローウェル侯爵家の跡取りとして恥ずかしくないように頑張ってきていた。


 でも、ティファは僕なんかよりもずっと頑張って勉強をした。


 家庭教師の先生の話によると錬金術師の学校に入るためには遅くとも五歳くらいから勉強を始めるのが一般的らしい。ティファは今七歳で二年も遅れていることを知り、家庭教師の先生に教えてもらった日は家に帰ってからも両親が心配するほどずっと勉強をしていたようだ。僕は二年の遅れを取り戻して、試験勉強を間に合わせたティファを尊敬した。


 ティファとは勉強ばかりではなく、一緒に息抜きと称して色々なところへも出かけた。僕とティファは食べ物の好みが合うらしくて、城下町の市場に行った時は食べたいと思うものが同じだったり、ティファが美味しいというものは僕が食べてもいつも美味しかった。


 ティファの可愛いところや尊敬できるところ、食べ物の好みが合うことなどティファの素敵なところをたくさん見つけていた僕だけど、この時はティファのことを好きだと気づいていなかった。


 僕がティファのことを好きなんだと自覚したのはティファが錬金術師の学校へ入学してすぐの時だったと思う。


 五年間ずっと一緒に勉強したり、遊んだりしていたティファといきなり離れ離れになってしまって、僕は心にぽっかりと穴が空いたように感じるようになった。


 その穴を埋めるために、僕はティファに何度も手紙を送り、なんとか寂しさを紛らわせていた。


 ティファが入学して少し経った時に、手紙の中でティファは友達ができたと教えてくれた。一人は女の子で、もう一人は男の子……。


 ティファが僕以外の男の子と仲良くなる……。


 それを知った時のショックは計り知れなかった。


(あぁ、ティファは僕の中で特別な女の子なんだ。僕はティファが好きなんだ)


 ーーそれが


 ーー僕がティファのことを好きだと自覚した瞬間だった。


 僕はティファのことが好きだけど、こんな身体の弱い僕をティファはどう思っているんだろう。


 いきなり来なくなったのは何をやってもよくならない僕の身体に嫌気がさしたのかもしれない。


 僕はとても心配になった。でも、こんな身体ではティファに会いにいく事もできない。


 どうしたらいいのだろうか……。


 その時、部屋にノックが響いた。


「タミル様、ホド様がお見えになって、面会をご希望されております。お通ししてよろしいでしょうか?」


「ホド様が? どうぞ」


 僕のお見舞いにティファではなく、ティファの兄上のホド様がやってきた。


お読みいただきありがとうございました。

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