ラブパワー
僕は前世で成人していた。
だけども、もちろん前世は前世で子供時代はあったのだ。
子供の頃に毎週末の朝に楽しみにしてたテレビ番組があってね、変身ポーズしたりなんかしてさ。
自分の意思で、一番始めに親におねだりしたのは、変身ベルトだったっけか。
そんな憧れのヒーローたちの活躍を心待ちにしていたのは僕、いや、俺だけじゃないよね。
でもなぁ。
こっちじゃないんだよなぁ。
愛の力で強くなるのは、ヒーロー番組が終わって、その次の枠の時間帯。
ま、いいか。
さ、やるぞー。
ジジイとババアをキュアキュアさせて愛の力でやっつけよう。
今回の能力は愛属性魔法だ。
なにそれ。
◆
「また死にましたね。」
そうなんだよねぇ。
お久しぶりかな?
今回はちょっと急ぎなんだよ。
「見てましたよ。
よくちびっとでも龍に傷を与えられましたね。
龍って神と同じくらい強いんですよ。」
そうなの?
やっぱ龍ってすげーんだなー。
あれ?でもペリンって一度倒したヤツいるんだよね。
「それは竜です。
でっかいトカゲの化け物ですよ、そっちは。
それでも勝てる様な人は一握りでしょうけど。」
別なんだ。
僕には大きな違いがわからないや。
あ、だからさぁ、今回は急いでるんだよ。
もううんざりしてさー。
ペリンも男らし過ぎて、逆に周りくどいんだよ。
だから直接と思ってさ、上空に魔法バシバシ飛ばして、おそらく僕を探していると推測して、リナリーンを呼び寄せたんだよ。
3人で勝手にやれって思って始めたんだけどさ、ここまで首を突っ込んじゃったから。
ほら、顛末をこの目で見たいじゃない。
何十年ぶりの再会だよ?
しかも片方は間違いなく思い続けてきた愛する人との。
見逃すわけには、いかない、ね!
頭の上に好感度ゲージ見える様になったりとかできないの?
「なんですか、それ。
そんなのないですよ。
冒涜です、そんなの。
人の気持ちをなんだと思ってるんですか。」
いや、あったんだよ前世で、ゲームとかで。
「んー、愛属性魔法にします?」
なにそのプリティなやつ。
「聖女伝説に残る愛の力で強くなる!とかそんなやつです。」
聖属性じゃないの?
「愛なんて綺麗なものじゃ無いですから。
古い時代は決闘魔法とか絆魔法とか呪魔法なんて呼ばれてましたよ。
あとは…そう、パーティクラッシュ魔法とか。
時の聖女が、愛の力愛の力と連呼したので、そういうもんかと信者が思い込み、愛属性魔法と名前が変わりましたが。」
おぉ…。
まーねぇ。
愛なんて呪いと同じ様なもんだよねぇ。
「基本的な使い方は人と人を魔力で繋いでその2人の感情の過多で強くなるんですよ。
最古ではお互いにかけあって斬り合ってたらしいですが、その内仲間にかけて敵を襲う魔法になったと。
だから決闘魔法と呼ばれていたんですねぇ。」
いや…まぁ、そっちはわかるよ。
なんでパーティクラッシュ魔法?
「感情をエネルギーにする魔法なので…思ったより弱かったり強かったりすると…ね。」
おぉ。
確かにパーティクラッシュしそう。
アイツの方が俺よりバフが強い!とかなったら揉めそうだもん。
気軽には使いにくくなっちゃうね。
「ええ、まぁ。
それで揉めて、同仕打ちが起きるのもよくありました。
神としては心属性としたいところですが、聖女があまりに必死だったので、汲んであげて愛属性としておきましょ。
愛属性の使い手が化けてて出るかもしれないし、呪われたくないでしょ。」
たしかに。
やっぱ呪属性じゃん。
「ごちゃごちゃ言いましたが、シンプルな魔法です。
魔力を心でブーストして発現する魔法です。
なので恨みや怒りでも構いません。
威力は魔力で繋がれたものの関係性しだい。
そんな魔法ですね。
じゃ、そろそろお戻りなさいな。
佳境でしょう?
龍狩りとしても、長い時を経た、ラブストーリーとしても。
いやぁ、他人のこういうのってなんでこう、ね、楽しいんでしょう。」
ははは、そうだね。
ありがとね。
神様、じゃあ行ってくるよ。
俺のいた世界では、こういうの、カプ厨っていうんだよ。
「こっちでもいますよ、お節介な人は。
ま、楽しんできて、私は貴方の幸せを願っていますから、楽しいのが一番ですよ。」




