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転々転生  作者: まつり
勇者と龍そして魔女

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異世界といえば

異世界初心者パックといえば、コレだよね。


まずは試してみないといけないな。

誰かが類似の能力を使っているのを見たことがないし、神様の力は基本的に安全性皆無だから。


「マジックバッグ!オープン!」


ブォンという音を立てて、空間に穴が。

これこれ!

今までで一番特別感あるよ!


いやー、説明に苦労した。

別空間に物を保管する魔法って言葉は簡単だけど、別空間ってなに?って言われたら説明なんか出来ないし。


時間が止まっていて、空間に穴を空けて物を無限に入れられる魔法って説明したけれど、本当に概念として合っているかは分からない。


想像の産物にも程があるからね。


説明を続けると、神様もなんとか合点がいったらしく、任せて下さいと言われたのでひと安心。


おぉ…。

空間に穴が空いてるよ。

なんか、怖…。

なにこの存在感のある2Dの穴。

横から見たらほっそいわぁ…。

CDとかDVDのディスクが真っ黒になって宙に浮いてる感じだ。


現実で見ると違和感がすっごいね。

騙し絵みたい。


試しにいつも使ってるペンでも投げ入れてみようかな。


……。

おぉ。

すっと入るね。


いいね、なんでコレを選んでこなかったのか!


穴のサイズを超えてもいけるのだろうか…。

枕を入れてみようかな。


……!


おぉ…!

なんか引き延ばされるみたいに入っていったな!


ははっ!生き物だったら死んじゃう伸び方だったぜ!


いつも使ってるノートは?


いけるいける。

ははは、すごいな!


…はは。


んー?


この穴…どうやって消すんだ?

もしかしてマジックバッグ発動する度に穴が増えるの?


「クローズ!クローズ穴!

ホールクローズ!閉じて!閉じなさいよ!」


……ダメか。


…やっちまった感が凄い。

部屋のど真ん中に開けちゃったもん。


せめて端っこに置いておけば倉庫として役に立ったかもしれないのに、こんな穴が部屋の真ん中にあったら邪魔くさい。


邪魔だけならまだしも、部屋の真ん中の黒い穴はすっごい怖い。

…普通に生活してれば慣れるのかな、穴のある生活に…。


次発動する時はもっと考えて置こう。

部屋の端とか、誰も見えないところに。

机の中とかでもいいかもね。


んー、流石に消えないってことはないよね。

魔法って説明したんだから。


お父さんなら知ってるかな。

存在する魔法かもしれないし、僕の使い方が悪すぎるだけの可能性もある。


今は遠くに呼ばれていて、明後日まで帰って来ないから聞けるのは後でだけども。


…部屋の扉に、誰も入らないように書いておこうかな。

ララさんにも、変な魔法が発動しちゃったから入らないように言わないと、お掃除で入ってきちゃう。


これは割とすぐにタナさんを経由して消し方を教えてもらわないと、家族が僕に用があって入ってきた時に、収納されちゃったら困るよ。


こういうのは大抵生物は入らないように出来ているけれど、あの神様の力だからちょっと怖い。


早めに紙に書いて、ドアに貼っつけとかなきゃ。

えーと……あれ?

ペン、ペンは?

ペン…は、この中か。


……出よ!ペン!


……

………。


どうやって取り出すのさ、これ。

手を入れて取るの?


…これに?

この違和感全開の穴に?


うぅ…やだなぁ。

でもいつも使ってる枕とかも入れちゃったしな…。


仕方ない。



ラルフは黒い穴に手を差し込むとくるくると回して中の物を探した。

しかし手に触れるものは何もなく、グッと肩まで入れてみたが触れるものはなかった。


仕方がないので彼は一度腕を引き抜き、頭を入れてみた。

棚の裏に落ちたペンを探すように、一度目視出来れば、と思ったのだ。


彼には痛みもなく気がついていなかったが、もちろん当たり前に肩から先の腕は収納されていた。


あまりに鋭利な切り口から血が滴り落ちるよりも前に、頭を入れたラルフは意識を失ったのだった。

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