公認
話が違うよ神様
剣を掲げたら祝福がありますって言ってたじゃない。
「いやー、そうなんですけどね。
本来は剣を掲げるものなんですよ?
でも、ほら、加護に人間用じゃないのが混じっていまして。
人しか使わないでしょ?剣なんて。」
人間用じゃない加護?
なんでそんなのが僕についているのさ。
「ヤイシャという獣を憶えていますか?
ほら、ラルフが召喚した獣です。
彼女を神獣としたんですよ、私が。
そうしたら、ヤイシャ、ラルフの事を気に掛けていたらしくて、加護を与えたみたいなんですよね。
私もタナに聞くまで全然気がついておりませんでしたが。」
あ、ヤイシャが付けてくれたの?
そういえば神様、ヤイシャをすごく評価していたもんね。
それで神獣にしたのか。
ありがたいよ、気に掛けてくれて。
またいつか会えるといいけど。
あのさ、そもそも加護ってなんなの?
「加護は加護ですよ。
神が気に入ったものを死ににくくするものです。
たとえば、神によっては傷が治りやすくなったり、何故か偶然にも食べ物を得られやすくなったり、そういうものですね。
貴方の場合は、死と安らぎの神のタナの加護で攻撃がゆっくり見えるようになって、獣の神ヤイシャの加護で回避行動が素早くなってます。」
はえー。
シャルルさんの攻撃をかなり避けられたもんなぁ。
結局クリーンヒット、最後の一撃までは貰わなかったもん。
集中していたからだと思っていたけれど、2柱の神のおかげだったのか。
ありがとね、タナさん。
「いいのよ。
もっと強い加護なら良かったんだけど、こればっかりはどうにもならないのよね。
でもまぁ加護なんてこんなものよ。
死ぬ運命からちょっとだけ逃げられるようになるだけなんだから。
ラルフちゃんはすぐ死んじゃうけどね。」
ホントさ、ラルフィード様の方が死の神じゃんね。
ん?ラルフィード様とは仲良くなっていた気でいたけど、加護はくれてないんだ。
なんか…ショックだな。
「私の加護は強いんですよ。
それこそ、貴方の運命を捻じ曲げるほどにね。
それでもよければいくらでもあげますよ?
いります?」
いらないです。
この神が躊躇するレベルって本当にヤバいことになりそうだ。
腕が8本になったりしても困るし。
「そうはなりませんよ。
それで、どうします?
次の能力は。
今度こそ剣術にしますか?
誰と戦う予定もないし。」
んー。
せっかく自分の力で修めてきたものだからなぁ。
今までの豊富な神の力を貰った経験から考えると、貰った力の経験だけは身体に残る。
超絶才能があるようなドーピング状態になって、そのとんでもない状態の経験が、ちゃんと自分の経験値として残ってしまう。
せっかく色々な人が手伝ってくれて、自分で頑張って、才能も認められた剣だもの、それを神の力で強くしてしまうことを選んでしまったら、この先僕は自分で努力するようなことは無くなってしまうかもしれない。
「そうですね。
貴方の言うことはよく分かりますよ。
努力はアイデンティティの形成に多大に関わりますしね。
ただでさえ、名前も容姿も年齢も安定してないのに、自身の芯まで見失ったらどんな存在になるのか、神様でも分かりません。
…実は剣術の才能を選んだ場合、生き返らせてすぐ召そうと思っていました。
2秒で。」
最速記録更新しちゃうじゃん。
やめてよ。
安定してないのも神様のせいな部分がかなりあるからね。
すっごいヤバい名前与えたり。
なんだっけ、覚えてないけど。
そんなわけでこれからも剣術を選ぶことはないだろうね。
さて、どうしようかな。
困っていることは、ある。
公に神の子と呼ばれ始めたことだ。
あるけど、それこそ完全に別人に生まれ変わりでもしない限り根本から解決はしないしな。
今をそこそこ楽しんでいるし、僕がいなくなると悲しんでくれる人達も出来た。
だからもう諦めるしかないのかな。
その内みんな飽きるでしょ。
別に僕には奇跡を起こす力なんてないしね。
「僕、神の子って二つ名付いちゃったよ。
前に冗談で僕は使徒か何かなのって聞いたけれど、いいの?神様的には。
僕が神の子なんて呼ばれてさ。
不敬じゃないの?」
「え?あぁ、全然構いませんよ。
過去にも一杯いましたし、それも人の営みの内です。
その中ではダントツで一番貴方が一番神の子っぽいですよ。
しっくりくるくらいですね。」
しっくりこられても困るな。
そういえば、能力なしって出来ないの?
あまり僕の人生にプラスに働いてないから、無しってのを選択してみたい気分なんだけど。
「え…嫌です…。」
嫌ってなんなのさ。
出来るけど、したくないってこと?
なんで?
「内緒です。」
えぇ…。
あー、じゃあ久しぶりに異世界初心者パックから、アレを貰おうかな。




