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転々転生  作者: まつり
剣と魔法と聖女とジジイ

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剣聖奥義、強制ラブコメの術



3年もの間、私がラルフをさらっていないことをもっと疑問に思うべきでしたね。


聖騎士団長なんてものは作戦も練られなきゃいけない。

そもそも政治に疎ければ就けない地位ですよ。

何も考えない訳ないではないですか。


ラルフは間違いなく逸材。

油断したとはいえ、私が始めて1日目の初心者に一撃貰うなど、本来ならあり得ません。


どうしても手塩にかけて育てたい。

しかし無理矢理連れ去るのもどうかと考えました。

家族と離された不安とストレスで剣に身が入らないなんて事では困りますし、自身の意思で来てもらわなくては。


しかしあの家のジジイは、我が宿敵サシュマ。

あの子を手放しはしないでしょう。


まず、私が固執しているというポーズをとり、ラルフを屋敷に閉じ込めることに成功します。


ラルフは剣を続けたいと言うでしょう。

あんなに可能性を見せた子供なら、必ずそうなります。

きっと彼も楽しかったはずですからね。


剣の指導と考えると、私には都合が良い。

何故ならあの家にはルーベンスという私の息子がいますから。

なのでまずは、ルーベンスを通して間接的に私が指導を、と考えていましたが、やはり運命というものはあるんですね。


なんとあの日、迷子になったラルフを送っていったのは、もう1人の我が子、ブランドと、我が孫アンヌ。


それならば話は変わりますとも。

ええ、遠くから剣の楽しさを教え込み、彼が望んで私の元への弟子入りを志願する、などという迂遠な方針を取らなくてもよくなりました。


私はこの3年間、まずアンヌを可愛らしくすることに心血を注ぐことにしました。


ラルフを手に入れるのに、アンヌを。

全く関係がないように思われるかもしれませんが、簡単にいえばアンヌを味方に付けてラルフを懐柔する。


そうなれば、内弟子どころかラルフも我が孫。

素晴らしい事ではありませんか。


孫を生贄にする様な作戦は非道だと、そう思いましたね?


しかしねえ、色々あるんですよ。


アンヌは祖父からみても、とてもとても可愛らしく育っていて、学校でも人気のあるのだと聞きます。


事実今まで何人も許婚の打診が私の元へ届いているのですが、まぁロクなもんじゃあないんですね、これが。


我が家は腕一本で成り上がった元聖騎士団長の私、そして現騎士団長の息子共々、地位が高いので騎士爵位の割に裕福です。

そんな我が家への他貴族からの打診は、我が家と婚姻をして繋がれば、孫娘は上の爵位に嫁げるからこっちにも得がある。


だから金を出せ、そんなもんです。


馬鹿馬鹿しい。


私はそもそも貴族になりたくなかったから、戦功をあげて出世した後に陞爵を断り続けた結果、ケジメとして一代限りの騎士を受け入れたに過ぎません。


息子もおそらく似た様なものでしょう。


そんな、ねえ?

領地を持ったり貴族の義務を負ってしまえば、剣が疎かになってしまうではないですか。


とにかく、そんな吹いたら飛ぶ様な貴族からの許婚の打診を受ける訳にはいかない。

それに対してラルフは理想のお婿さんではないですか。

顔も良ければ、剣の才能もある。

それも私より遥かに。

身内のジジイが気に食わないですが、そんなもの、ラルフのあの身のこなしに比べれば些細なもの。


寝首を掻けばいいだけですから、ね。


という訳で、動き出しました。


有り余る地位と財力を駆使して孫を、男受け最強ラブリー孫へとプロデュースすることに。


そういえば、最近妙にアンヌへのプレゼントが多い。

そう息子が疑わないか心配していましたが、ラルフを指導できないストレスを、アンヌへのプレゼント選びで解消しているのかと思っているだけでした。


馬鹿め。


そうしてアンヌさえ気がつかないうちに美容のプロにケア用品を用意させたり、服をプレゼントする際もきっちりプロに目的を話して準備させたりしていたのを渡して着てもらいました。


自分の趣味など入れません。

私も良い歳ですからね、プロに任せるに限ります。


更には淑女教育に混ぜて、こっそり夜のお姉さんを入り込ませ、好かれる、隙のないいい女へと成長させるための教育も施しました。


いやぁ、たまに我が孫ながらあざといと感じることすらありましたよ。


シャシャシャ。


ラルフとアンヌ、私の天使2人は、共に剣や勉強などで交流を深めているらしく、益々順調。


一度アンヌに、ラルフと仲良くやっているか聞いた事がありますが、満更でもない様子。


これは勝ったも同然です。


その結果、3年間、私の影をちらつかせて、他の有象無象に無駄なことをさせずに、ラルフを剣術に没頭させることにも成功しました。


あの子の成長をこの手で促せないのは魔法バカのせいで出来ませんでしたが、直接手を出さなくても色々と方法があるんですよ。


もうすぐだ!


今のうちにラルフにお爺ちゃんと呼ばれる心の準備をしておかなければな。

嬉しさのあまり死んでしまうかもしれませんからね!

シャシャシャシャ!


かわいいかわいい私の天使よ!

剣聖の後継を連れておいで!

シャシャシャシャ!


おっと失礼。

未来への喜びで正気を失いかけました。


私は続けて、外堀を埋めることを始めました。


うちの孫娘とサシュマの孫が大変仲が良くて、このまま婚約してしまうのかもしれないと、あらゆる重鎮が集まるところで話しまくる。


ただそれだけですが、そこには王も居れば、なだたる貴族、他国のお偉いさんなどもいます。


彼らは退屈なので、噂が大好き。

そんな彼らを私も大好きです。

讒言の流布など戦の常套手段ですから、利用させてもらいましょう。


「魔法使いの高みと剣士の高み、その孫が連れ添うなんて素敵なことだな。」


なんて噂を広げてくれましたよ。


噂アンヌを美しく人受けする女の子へとプロデュースした甲斐があり、同年代からの人気が絶大なものになっています。


なのでね、こう思う輩も出て来ます。


「アンヌちゃんは悪い男に騙されているのでは!」


ラルフの知名度はありませんから、見えない相手へと勝手に義憤を燃やして突っ走る馬…おっと、彼は私の手駒となるのだから、優しくしなければ。


彼次第では、もう一つ楽しいアクティビティが生まれる可能性もあるのですから。


シャシャシャ!


義憤馬鹿の中には私の後任、現在の聖騎士団長の馬鹿息子も入っていたのが好都合でした。


なんたって親は有名な聖騎士、親を通じて私とも繋がりのあるいい駒ですから。


私はそんな馬鹿息子を煽りに煽り、ラルフへのヘイトを稼ぎ、決闘騒ぎを起こさせました。


これでラルフとアンヌの関係を、大舞台で表に出せます。


そうなれば、元々仲のいい2人。

大舞台で、1人の女を賭けて男が争う。

まぁ、なんて素敵な恋物語でしょう!


そんなことをしてしまえば婚約を事実として受け入れざるを得ないでしょう?

そこから、そんなつもりなど無かったは通じません。

外堀も埋められていますから、中も埋め立てたなら、そこは平地。


そうだ、そこにチャペルを建てましょうってね。


婚約はまだ早いっていうでしょうか。

しかしね、いつまでも友達のままでいられると思うなよ!

シャシャシャ!


シャシャシャ!


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