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転々転生  作者: まつり
剣と魔法と聖女とジジイ

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3年後

3年経っちゃったよ。


どこからか鳴り響く声も、まだ聞こえる。


「ラルフ私ですよ。

剣を教えに来ました、出て来て下さい。」


とか。


「すごい必殺技思いついちゃいました。

あー、才能のある子が弟子になってくれないかな。」


とか。


「私の弟子を隠しおって…殺してやるぞ!サシュマ!」


とか。


そんな平和な幻聴はあったけども。


ブランドさん曰く、


「ジジイはラルフをどこかから見ているみたいだな。


俺を通じて指導をする方針にしたみたいで、ここをこうしてやれ、なんて言ってくるんだよ。

その程度なら微笑ましいだろう?


……毎日でなければ。」


毎日……何処かから……見ている?


ルーベンスさん曰く、


「ジジイから手紙が頻繁に来ますね。


剣の振り幅から足の運び方、これからの練習方法なんかが毎日のように。


腹が立つ程的確なので、取り入れざるを得ません。

的確すぎるのでどこからか見ていますね。」


やはり見ているらしい。


ララさん曰く、


「出入りの商人の馬車の底に張り付いて侵入を試みていたわよ?


私が不審に気がついて、床の上から剣を突き立てたら、見えないはずの攻撃なのに避けられちゃった。


殺す気か!って言い残しながら素早い動きで逃げていっちゃった。


私もまだまだねぇ。」


あ、襲撃、あったのね。

それにしても、馬車の下か…どうやって避けたんだ?

本当に実力はすごいんだなぁ。



ある日、夜の練習で来てくれるブランドさんについて来たアンヌが、2枚の紙を持ってきた。


「ラルフ君ちょっと見て、これ…。」


そのうち一枚は僕を養子縁組する紙だった。

この世界の公的な用紙は魔法がかかっているので、ひと月で期限切れになってしまう。


なので、つまりこれは毎月書いていることになる。


もしそうだとしたら、毎月毎月書いて、これは36枚目の紙。


もう一枚は、アンヌとの婚約届だった。


貴族文化なせいか、婚約の段階でも書類の提出が必要なのだ。


政治的な横槍や、横紙破りを防止するためらしいけど、こっちは紙の期日が10日しかない。


……ひえっ、ぱっと計算しただけでも、100枚以上書いてる可能性がある…。


「正直わたしはね、もう知らない人じゃないしさ、ラルフ君との婚約が嫌って訳じゃないけど。……おじいちゃんちょっと強引過ぎるよね。」


ね。


そうなのだ、僕らは何度も何度も一緒に練習をする内に仲良くなっている。


僕もアンヌ婚約が嫌なわけじゃないよ。

むしろシャルルさんがくっついているのが面倒。


2人のお父さん、ジェマとブランドさんも、同じような感じらしい。

長いこと一緒に練習を共にしている子供達の熱心さを評価していて、二人の婚約には吝かではない。


しかしお父さんは、


「シャルルと血縁…?考えられん…。


あのバカをかわいいラルフがおじいちゃんと呼ぶだと?

よし!殺してしまおう。」


となって認められない。


ブランドさんは、急いで決める必要はないし、ジジイが企てたことに乗せるのは、子供達に悪いと思ってるらしい。


もちろん、他の家族も今はそのことに反対はなく、アンヌちゃんだったらいいんじゃないかと言っている。


努力家で、最近より美しくなりだした優しい女の子。


ティナとも仲が良く、来た際には家のことを手伝ってくれたりもしている。


正直な印象は、すごくいい子。


そんな子が婚約者候補だっていうなら、誰でもそう思うのかも。


いい子なんだけどね、親族の方がちょっとね…。


「ラルフ、ちょっとこれ。


ジジイからの手紙に同封されていたんですけれど…。

知り合い……ではないですよね?


ラルフは妖怪に取り憑かれて外に全然出てないし…。」


なに?お手紙?んー?えーと、ベジェリン君から。

知らない人だなぁ。


はい、お日柄もよく、ね。

はいはい。


なるほどねぇ。

初めてもらったよ、こんな手紙。


どう見ても決闘状なんだけど。


読み間違えたかな。

それとも貴族的な裏の意味とかあるのかも。

勉強不足が否めないから、ほら、剣にかまけているし、屋敷から出ないからさ、一般常識の欠如がひどいのよ。


ルーベンスさんはどう思う?


「決闘状、ですね。」


あ、やっぱり?

なんで?なんで決闘状が僕に?


家から出てすらいないのに。

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