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転々転生  作者: まつり
剣と魔法と聖女とジジイ

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ティナのいる生活

3章始めます


お父さんが仕事に復帰した。


対外的には、国外に行かなくてはならなくなったサシュマの代わりに、息子のジェマが教壇に立ち、学園の長の代理もすることになっているらしい。


どうしてもお父さんの存在が必要な場合はシーさんが幻術を掛けてお爺さんにする事で対応しようかと話し合っていたらしいのだけれど、別の解決方法が見つかった。


ティナは死属性魔法の才能がある、というか使いこなして来た期間が長いので当然のように使える。

聖属性が元に戻す、に主軸を置いた魔法であるとすると、死属性は先に進める魔法だ。

ゴミなんかに掛けてチリにしたり、ワインをヴィンテージにしたりしているティナを見て、試しにお願いしてみるとお父さんのお爺さん化が上手く行ったのだ。


お父さんが若返った時は雑な神様のせいで固定化されてしまったが、普通は時間が経てば元に戻る。

同一人物なので見た目の問題など起きるはずもなく、むしろ若返った事で教壇に立つ機会が増えてウキウキしているそうな。


「ねぇ、ティナ。」


「…おねえちゃん。」


「……お、おねえちゃん、死属性って便利なのになんで廃れちゃったの。」


「ゴミは風魔法でもチリに出来ちゃうし、物の時間を進めるだけなんて大した使い道なんてないのよ。

ラルフに言われるまで食べ物に使ったら腐っちゃうだけと思ってたのよ、何?発酵ってって未だにそう思っているんだから。


美味しいから嬉しいけど。


人に使うにも、好き好んでお爺ちゃんになりたい人なんていないし、おまけに霊の声は聴こえるし、ハズレよ、この魔法が得意になったって。


そもそも、死ってなに?ちゃんとわかる?

死を捉えるのが結局、教えるのも教わるのも難しかったんだと思うのよ。」


たしかに。

僕は死にまくってるし、始めに死んでからここへ来た。

ティナは生まれた時から死んでいた。

親和性が高いのか、僕らは。


それよりさ、気になっていたんだけど、おねえちゃんもララさんの仕事手伝ってよ。

この広い敷地を毎日掃除するのなんて大変なんだから。


「手伝っているじゃない?

今だってゴミをチリにしてるもん。」


ここの家の人たちは基本的に忙しい。


お父さんは仕事があるし、シーさんも研究をずっとしている。

ぺぺさんは7人分の料理を一人で作っているし、食材の買い出しや、洗い物も一人でやっているので、基本的に一日中台所にいる。

ルーベンスさんは会計と家宰で忙しすぎて、いつ寝てるのかもわからない。


つまり家事全般は全部ララさんがやっている。


本当はキリの良いところでやめてお片付けしたり、自分の事ぐらい自分でやる。

それぐらい大人の責任でしょってなもんなのに、時間を忘れてずっと自分の事をやってる人が多い。

ララさんがいなければ生活がままならなさすぎる、そんなダメな大人達の巣がこの屋敷なのだ。


「今までは僕が手伝っていたけどさ、明後日からそうもいかないんだ。

午前中のうちに剣術を習いに外に行くんだから。」


「そうなのね。

ならララちゃん、大変になっちゃうわね。


そーねぇ。


実は私も学園に通うのよ。

ほら、魔力の量が普通の人より大分多いけど、不便な属性しか使えないからちゃんと学びに行くの。


どうしましょう。

ララちゃん倒れちゃうわ。」


帰って来てからはなるべく手伝おうという気持ちはあるけれど…。


いやぁ、でもなぁ。


僕も前世はルーベンスさんみたいな生活をしていた。

死ぬほど働いて死んだのだ。

性根がワーカホリック、すぐに自分のことで手一杯になるのが目に見えている。


ティナはティナで死んでから生き返るまでずっと鎮魂をし続けたわけで、今も死属性魔法の研究を子供ながらに始めちゃって、寝食をギリ忘れてない程度だ。


お父さんの娘だよ、この子は本当に。


いい加減この屋敷の主人、お父さんに相談しようか。

僕ら家族はみんなその辺ダメそうだから、お手伝いさんを雇い入れたりとか方法はあるはずなんだから。


そんな話をして、夕飯のあとに僕とティナはお父さんの元へ相談に行った。


「ララが大変そう………そうなのか。

気が付かなかったな…。

話は分かった。

これからは自分のことは自分でやれるように頑張るか。」


「無理でしょ。」

「無理よ。」


破綻するのがわかりきってる計画なんて認めるわけにはいかない。


「ならば、ララに新たな召喚獣と契約してもらうか。

お手伝い妖精と契約したらいい。

人のお手伝いが好きな妖精がいてな、家事を食事や魔力で手伝ってくれるのだ。」


そんなのいるのね。


「パパが出せないの?」


「出せるけどもパパが出したらララの手伝いをしてくれるとは限らないからな。

召喚獣は喚んだ本人しか信用しないのだ。

人間もそうだろ?

こっちで働き始めたのに、明日からあっちに行ってくれなんてばかりだと、不満が溜まる。」


そりゃそうだ。

世知辛いけど、社会の理不尽を妖精にまで強要はしたくないね。


「では寝る前の時間に、ララへ新たな召喚を教えよう。

鳥の召喚獣を既に得ているから覚えるのは容易だろう。


しかし、ララは魔力が少な目で、妖精を喚ぶには足りんな。

まずは魔力を増やす特訓から行わなくては。


よし、今日からやるか。

じゃあ父さんはララに話してくるな。」


スタスタと早足で部屋を出ていく父を目にした僕らは、おそらく同じことを思った。


ララさん、やること増やしちゃって本当にごめん、と。


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