アリアンヌと聖女様
その後もさらに噂は悪化する一方で、あれからさらに二ヶ月が経った。
そんなある日、アリアンヌとナターリアは移動教室で廊下を歩いていると、奥から殿下の側近である高位子息達とフィーネが歩いて来た。
ナターリアは、噂のフィーネ様だけれどアリーの事だから今は特に何も接しずに終わるだろう。
そう考えていた。
すると、アリアンヌ達とフィーネがすれ違う少し前。
アリアンヌは目を細めた。
それから、さっきまでの表面上穏やかな空気から一変。氷が今にでも現れそうなぐらい周囲の温度が下がった。
フィーネ達は、アリアンヌのあまりにも冷徹な目にその場に立ち止まった。
一方、アリアンヌはそのまま通り過ぎる。
ナターリアはというと、アリアンヌが普段とは違う雰囲気をまとったことにかなり驚きはしたものの、一歩出遅れただけで、すぐにアリアンヌへ追いつく。
「あっ、アリー?」
ナターリアは、先程すごく睨んでいたアリアンヌに恐る恐る声をかける。
「どうしたの、リア?」
アリアンヌはさっきまでの温度が下がる雰囲気から一変して、いつもの穏やかな雰囲気をまとう。
「さっき、聖女様の事睨んでいたわよね?」
「えっ、何のこと?睨んでなんかいなかったけど?」
アリアンヌは、全く覚えがないと純粋な目でナターリアに話す。
「えっ、だってアリー、温度が一気に下がるぐらい冷徹な雰囲気をまとって睨んでたでしょう?
しかも聖女様を。まぁ、気持ちは分からないでもないけど。
普段温厚なアリーがあんな事をするなんて意外だったわ。」
「待って。さっきの人、聖女様だったの?」
「えぇ。前に新聞に顔が載ってたから間違いないわよ。まさか気づかなかったの?」
「そうなの!分からなかったわ。
私、目が悪くて…ぼやけて誰か分からなかったから、癖で目を細めてたのよー」
「待って、まさか目を細めたたけであの空気だったの?!
しかも本人は、本当に睨んだつもりは無くて、見えにくかったから目を細めただけ…」
「えぇ、そうよ。だって、聖女様って知ってたら少しぐらい話して見たかったもの!
聖女って具体的にどういう事をするのかとか本人の口から聞いてみたいじゃない!」
ナターリアはそんなアリアンヌの反応に少し呆れたような、アリアンヌらしいなと思ってしまう何とも言えない表情になっていた。
当の本人は、聖女様に興味があり頭の中で質問を考えているのか、ナターリアの変化には気づかないのであった。
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その日の夜。
ランイニ公爵家の執務室にて、旦那様と執事長、侍女のランが秘密の集会を行っていた。
「旦那様、睨みの件でご報告させていただきたく参りました。」
そう言葉を切り出したのはアリアンヌの専属侍女ランだ。
ランは侍女のため、学園の内部にお供することはできない。だが、隠密行動に優れた侍女であるため、日々学園内に潜入してアリアンヌの動向を見守っているのだ。
旦那様は頷いてランの続きを促す。
「本日、お嬢様と聖女、フィーネ様が廊下ですれ違う際に睨みが発動しました。」
「報告ありがとう。今何かと話題に上がっている聖女か…身元を保証している男爵も社交界で何かと悪い噂を耳にするからな。何か出てくるかもな。」
ダンダンと旦那様は足を鳴らすと、特殊舞台のヤンがどこからか現れた。
「ヤン、話は聞いていたな。聖女、フィーネについて調べよ」
ヤンという男は"ハッ"と返事をし、また姿を消した。
旦那様は執事長に忙しくなるからスケジュールを調整するように頼み、この秘密の集会はお開きとなった。




