殿下とのお茶会
今日は月に1回のエドワード殿下とのお茶会の日である。
「ようこそ、アリー」
エドワード立ち上がり、アリアンヌを椅子へとエスコートした。
「御機嫌よう、エドワード様。ありがとうございます」
アリアンヌは、にこやかに挨拶した。
「アリー、学校の方はどうだい?私はせっかく同じ学校なのに学年が違うから会う機会がほとんどなくて悲しいよ…
お昼も友人を優先してとアリーに言われてしまったから、一緒に食べれなくて…
今からでもお昼を一緒に食べれるように手配しようか?」
エドワードは少し体を乗り出して、前のめりに話した。
「エドワード様、一緒に食べていただけるのは嬉しいですが、今のままだと私の悪評でエドワード様にも迷惑をかけてしまいます。それに、これから一緒に働く側近候補の方々を見つける為には、友人を大切にして信頼関係を深めることは重要かと思いますわ。だからこそ、休み時間や昼休憩の時は友人や側近候補の方々と過ごして見極める必要があると思いますの。」
「そうか、そうだよね…分かった。でも、お茶会の頻度は増やしてくれない?せっかく同じ学園なのに一緒に過ごせないのは淋しいから…」
「そう言う事なら分かりましたわ…」
アリアンヌは、少し下を向いて恥ずかしそうに返事をした。
そして話題は学園の生活へと移った。
「学園生活については、私無事にお友達ができましたの!ハンライ伯爵家ご令嬢のナターリア様ですわ!皆様私の事を怖がってか関わろうとなさらないのですが、リアだけは話しかけてくださって…それで仲良くなったのですわ。」
「おぉ!それは良かったな!…うん、うん。それは良いことだよな。アリーはずっと友達が欲しいと言っていたもんな」
(私だけがアリアンヌの魅力を知ってるだけでも良かったのだが…)
アリアンヌの魅力が他の人にバレて少し悲しいような嬉しいような微妙な表情をしながら答えた。
「そういえば、最近は睨んでないのか?前は確か、半年ほど前のガーデンパーティーで令息を睨んで婚約破棄と廃嫡処分になったのだったな。
私もあの令息の女癖の悪さに同じ男として不快に思っていたのだが、なぜか決定的な証拠がなくて婚約破棄までいっていなかったのだよな。だからアリアンヌの睨みは愉快だったよ。ハッハッハ」
エドワードは、心底楽しそうにアリアンヌに訪ねた。
「また、エドワード様は私を揶揄って…いつも言っていますが、私は睨んだのではなく顔が見えなくて目を細めただけですわ!私の目の悪さはエドワード様も知っていらっしゃるのに…」
「ハッハッハ、すまんすまん。ついアリーが可愛くてな。それにしても、目が悪いと泣きそうな顔で告白してきた時は本当に可愛かったな…」
「それは忘れてと言ったではありませんか!あの時は目が悪いという欠点だけでも婚約破棄されると思っていたのですもの。」
アリアンヌは、顔を赤くして反抗した。
その後も何気ない会話を続け、あっという間に終わりの時間になった。
「エドワード様、今日はありがとうございました。」
「あぁ、また会えるのを楽しみにしているよ、アリー」
エドワードはそう言うと、アリアンヌの側に近づき髪を一束持ってそこにキスをした。
アリアンヌは顔を赤くしながらも、礼をして恥ずかしさを誤魔化すように足早に去っていった。
「お嬢様、エドワード様とお会いできてとても嬉しそうですね。」
侍女のランは、顔を赤くしているアリアンヌに対して揶揄うようにニコニコしながら言葉を発し、それを聞いてまたアリアンヌは顔を赤くした。
それからしばらくランは、小声でアリアンヌを揶揄い、その反応を見て楽しんでいた。
ようやくランからの攻撃が止み、顔の赤みが引いた頃、二人は馬車乗り場まで行くため王宮内を歩いていた。
すると突然アリアンヌの雰囲気が変わり、睨むような目つきになった。
(あら?あの方のお顔が見えにくいわね…)
その睨みは客観的に見ると、周囲の温度を一気に下げて感覚を研ぎ澄ませ、獲物を見つけたような鋭い目つきだった。
そんなアリアンヌの睨む視線の先にいたのは、書類らしきものを抱え、足早に歩いている文官であった。
アリアンヌが睨んだのは一瞬で、すぐに顔を戻し、何事も無かったかのように通り過ぎた。
その姿が見えなくなった後、ランが小声で"お嬢様、また目つきが悪くなっておりました"とさり気なくダメだしをするのであった。




