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白バラ令嬢〜今日も彼女が睨んだ相手は破滅していく〜  作者: puku


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3/11

入学式

今日は、この王立エンデル学園の入学式である。

この学園では15歳-18歳の3年間をかけて学ぶため、新たに今年から入学するエンデル王国中の貴族令息・令嬢達が今日は集まっている。


ただ今年の入学式は、前年度よりただならぬ緊張感に溢れている。


その理由はただ一つ。


今年はこの国の第一王子であり、王太子のエドワード殿下が入学の挨拶をするから。


ではなく、


その婚約者の"アリアンヌ・ランイニ公爵令嬢が入学するから"である!!



社交界では、正直エドワード殿下よりアリアンヌの方が怖がられて危険視されている。


そんな事とはつゆ知らず、アリアンヌは殿下の隣に立ち、優雅に微笑んでいる。


彼女は、優雅かつ大らかな雰囲気をまとっていた。

何も知らなければ、優しそうな人だなという印象である。


「皆様、御機嫌よう。」


彼女は殿下のエスコートを受けつつ、教室に入るなり挨拶をした。


「⋯ランイニ公爵令嬢、御機嫌よう!!!!」


少し時間が経って、クラス全員が綺麗な姿勢で、勢いよく挨拶してきた。

その姿は、王宮の騎士団を思い出させるほど勇ましく、揃っていた。



このことからお分かり頂けたように、彼女はクラスメイトからも怖がられていた。



初見では、優しそうな見た目をしているのにも関わらず、ここへ入学してきた貴族の令息・令嬢達は親から白バラ令嬢の噂を聞いており、"決して睨まれないように"と言い聞かせられていたのである。


そのため、必要以上に警戒し、できる限り関わらないでおこう。

というのがこのクラス全員の総意であった。


入学初日から、かなりショックを受けたアリアンヌである。

こう見えて、彼女は次期王太子妃であり次期王妃であるのだが…



まぁ、そんな光景を目にしてもさすが厳しい淑女敎育を耐え抜いてきただけあって、いつもと何ら変わらない微笑みで対応していた。


-------


その夜、ランイニ公爵家のある一室で深刻な家族会議が行われていた。

参加者は、アリアンヌ本人と両親である公爵夫妻、そしてアリアンヌより2歳年上の兄ライモンド。

家族全員の計4名である。


公爵夫妻とライモンドは、なぜアリアンヌが呼び掛けたのか分からず、何を言うのかとお互いに視線が合わないよう少し俯き深刻な顔つきで座っていた。


沈黙に耐えかねた父である公爵は恐る恐るアリアンヌに声を掛けた。


「⋯その、アリー?今日は皆を集めてどうしたのか?」


アリアンヌは、なんだか恥ずかしくてモジモジしながら答えた。


「⋯えっとですね。実は…」


と彼女は教室で皆に一斉に挨拶をされ、怖がられた一件を話した。

そして、意を決したように、深呼吸をし大声で言葉を発した。


「どうやったらお友達ができるのか、是非アドバイスが欲しいのです!!! 」


(可愛い⋯⋯)

一瞬その恥ずかしそうにする姿に全員が頬を緩めたが、すぐに内容を理解し、目つきを強めて深刻な顔つきになった。



最初に答えたのは兄であるライモンド。


「なるほど。深刻な問題だ。」


そう言うと、一呼吸置いて語り出した。


「だが別にそんなことをするクラスメイトなら可愛いアリーの友達として相応しくないのでは?

そもそもこんな可愛いアリーの魅力が分からないとは。見る目がない奴らだ。

私達家族がいるのだから、友達なんていなくても問題ないだろう。」


少し過激派妹好きライモンドは、真剣な顔つきだった。


「お兄様、もちろん家族のことは大好きですが、やっぱり友達が欲しいのです!

社交の場で挨拶やお話することはありますが、それは表面上の関係…

私は心から信頼できるお友達をこの学園生活の中で探したいのです!」


「そうか。なら学園の一部を爆破して、アリーが被害者を見事救出。恩を着せた後で、心をも搾取できる友達をゲットする。いい作戦だろう?」


「お兄様、物騒過ぎます。」


そう言うと、アリアンヌは頬を膨らませ抗議した。


次に言葉を発したのは、父である。


「ならばアリー、お金をばら撒くのはどうだろうか?

お金欲しさに多くの人が寄ってきて、友達ができるだろう。

それに、お金で友情を買えば、言うことを聞きかせやすい。」


彼は仕事はできるのに、アリアンヌが関わるとポンコツになる人物だった。


「お父様、お金の切れ目は縁の切れ目。

お金の関係など、表面上の友情だけで、本当の友達とは言いません!」


父は、アリアンヌに拒絶されたことで落ち込んだ。


最後は母である。


「アリーちゃん、まずは一人一人名前を呼んで挨拶するとかでどぉう?

そしたら少しは親近感が湧くと思うの〜

あとは〜、落とし物を拾ったり〜、困っている人を助けたり〜、相手の興味がありそうな話題で話しかけたり〜、周りを気遣って行動してみたりとかどうかしら〜?」


母は、おっとりした性格だがきちんと的確なことを言う常識人だった。


「なるほど!お母様の案は良いかもしれません!早速、明日からやって見ます!」


皆様、ありがとうございます!と言うと家族会議は幕を閉じ、アリアンヌは清々しい笑顔でその場を後にした。

そして部屋には、提案を拒否されて落ち込んでいる兄と父、採用されて満足そうに笑顔でお茶を飲んでいる母が残されていた。

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