唐突に
毎日更新できてなくて、申し訳ないです・・・
頑張ります!
セオドアは自室のベッドで目覚めて、すぐにカインが使っていた部屋に足を踏み入れた。誰も使っていないはずの部屋で、記憶をなくしてからは近寄ることもなかった。だが、その部屋の中は、カインが生きていた頃そのままに残されていた。廊下に飾られていたはずのカインの肖像画も、家族写真も、この部屋に仕舞われていた。きっと記憶をなくしたセオドアに遠慮して、両親が片付けたのだろう。まるで始めからセオドア以外に子どもがいなかったように。セオドアの頬を涙が伝う。
(ーーー兄さんを死に追いやったのは、私だ)
今になって思えば、王立植物園のカフェで入り口から入ってきたフェリシティを見た時から、セオドアはフェリシティを好きだったのだ。カインがフェリシティと仲良くしている事を知って悔しかった。カインの事を心配している素振りで、その実フェリシティと会ってほしくなかった。なんて子どもだったのだろう。自分の事しか考えていないのは、こちらだった。
フェリシティにも酷い事をした。ラブレターのようにして届けられていた日記からは、フェリシティがカインを好きだった事は明白で。フェリシティはセオドアと違ってすべて覚えていて、それでもセオドアと婚約を結んだ。一体どんな気持ちでーーー。それを考える度に、セオドアは自分が暗い闇に落ちいくような感覚に陥っていた。ラブレターの内容にしても、すべてカインに向けられた言葉だと思うと、心が黒く塗りつぶされた。
(どんな顔でフェリシティに会えば・・・)
すべて手放して、罪悪感のままに自分を傷付け、このどうしようもない心の葛藤から逃げてしまいたい。セオドアは机に顔を伏せ、感情が凪ぐのを待った。
ーーードンドンドンッ!
扉を殴り付けるような乱暴なノックの音に、セオドアはビクッと身体を揺らした。
「セオっ!開けなさいっ!」
その大きな声は、叔母のソフィーだった。
「んもうっ!全く不甲斐ないったら!開けないなら、ピッキングしちゃうわよ!いいわねっ!?私はやる時はやるのよ!」
セオドアは自分から扉を開けようという気にならず、身体を硬くして扉を凝視していた。
「・・・ソフィー様、やはり無理やり押し入るのは・・・セオ様の心の準備ができるまで待ちませんか?・・・」
扉をピッキングしようとするソフィーを抑えるような声に、セオドアの身体がまたビクッと跳ねた。
(ーーーフェリシティ・・・?)
「ダメですわ、フェリシティ様!こういった事は1人で思い悩まず、気持ちを共有した方が回復も早いんですのよ」
「そ、そうなのでしょうか・・・」
「もう少々お待ちくださいませね・・・きっと、開けてみせますっ!」
セオドアは慌てたように立ち上がった。ソフィーが本当に扉を開けられるとは思わないが、それでも扉の向こう側にフェリシティがいると思うと、心が落ち着かない。
「・・・こう?・・・開かないわね・・・こうかしら・・・」
「ソフィー様、無理なさらないで下さいね」
「・・・無理なんてしてませんわ・・・最近、ミステリー小説にハマっておりまして・・・いつかピッキングしてみたいと思っていたんです・・・・・・・・・開いたっ!」
バンッ!
セオドアは心の準備ができないまま、扉が勢いよく開いた。




