再び
「・・・当然の感情だ。すまなかった、フェイ」
ハロルドは少し頭を下げてから、またフェリシティを見つめた。
「フェイがどう思っているか、なにを考えているのか・・・聞こうとしなかった。お前の幸せを考えて、私が勝手に判断していた」
「私・・・グレースの事を考えて、お祖父様の所に来ました。私は貧しくてもグレースと2人で満足でした。でも、それではグレースに苦労をかけてしまう・・・だからお祖父様にお世話になろうと決めました」
「そうか」
「私も、お祖父様と同じです。グレースはどうしたいのか聞かずにここまで来たんです。みんな相手の事を考えていたのに、相手の気持ちを考えてなかった・・・。だから、私はお祖父様とお話したいのです」
「フェイは強いな・・・私は聞きたくないと耳を傾けもしなかったと言うのに・・・自分の都合の良い方に考えて、それが許される立場というのもあって逃げていた。お前が向き合うというのなら、私も歩み寄ろう」
「ありがとうございます、お祖父様」
「フェイが話したいというのは、ウェスト伯爵の事か」
「その通りです。私とセオ様との間にあったお話です」
それからフェリシティはカインとの出会いから、先ほど記憶を取り戻したらしいセオドアの話をした。
「セオドア様にはなんと言われるかわかりませんが、それでもまだ離れる事はできないのです。どうか、まだ婚約は継続させてください」
フェリシティの話を最後まで聞いていたハロルドは、しばらく黙って何事か考えている様だった。フェリシティはその間息を詰めじっと待った。
「・・・そうか。もう私はこの婚約について口は出さない。フェイの思うようにやりなさい」
「ありがとうございます、お祖父様・・・」
ハロルドの言葉にフェイは安堵するように、ゆっくり息を吐き出した。
(これで、誠心誠意、セオ様と向き合える)
その後フェリシティは部屋に戻るなり、セオドアに手紙をしたためた。
◆◆◆◆◆
先日はセオ様を苦しめてしまい、申し訳ございません。私の自己満足ですが、セオ様に償いがしたいのです。私にできる事があれば、なんでも仰ってください。
罵りたいなら、いくらでも。
痛めつけたいなら、いくらでも。
貴方にとって、なにが最善かを探したいと思います。
姿を見せるなと言うことであれば、お返事をいただくまでは社交界には出ません。
婚約を破棄したいと言うことであれば、そのように進めます。
貴方の御心のままに。




