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75、合流

 

 

「おお! アーサー殿、グィネ殿、よくぞご無事で!」


 そして翌日。

 革命軍の本拠地となっている都市、ラストンに到着。最近は住人たちによって解放都市などと呼ばれているらしいことから、国民の帝国への不満の高さが察せられる。


「すまない、心配かけたな」


 領主の城へと入ると、大勢に出迎えられるアーサーとグィネ。

 かけられる声を聞いた感じでは。異常事態を把握はしていたが、帝国軍が兵を広範囲に展開していたためにアーサーたちの場所を絞りきれず、援軍を出せなかったようだ。そして、悪い情報がもたらされることなく軍が退いた事から、最悪の事態を免れたのは分かっていたが、こうして姿を見るまでかなりやきもきしていたらしい。


「では、やはり商人殿は……」

「あ、ああ。残念だが」


 今朝、ホムンクルスが全滅していることを話し(天使に伺いを立てたことにしてある)、商人は帝国に捕らえられて殺された、ということになった。


「とは言え、悪いしらせばかりでもない」


 と、こちらを振り返るアーサー。盛り上がる人々によってまあまあ待たされたが、やっと出番が来たようだ。


「こちらはアキラ殿。今回助けていただいた方だ」

「どうも。商人などやらせていただいてます」


 今のオレの格好は、質の良い布で作られた上品な服装(ヒカリデザイン)。武器は帯びていない。


(まぁ、今回は基本的には裏方だからね)


 両雄並び立たずという言葉がある。英雄が二人いると必ず争いになり、どちらかが倒れることになる、という意味の言葉だ。

 個人的には、人としての魅力はアーサーの方が遥かに上だと思っている。しかし、オレがチートな戦闘力を発揮してしまうと、それによって王になろうとするアーサーと肩を並べてしまうことになりかねない。

 もちろん、オレ自身にはアーサーと争う意志はない。だが、男であるオレがアーサーに並ぶと、どれほどオレが望まなくとも派閥が生まれ、それはやがて争いの元となるだろう。

 ということで、今回オレの表向きの役割は商人。無個性狂信者の代わりに、物資の融通や情報収集をする予定。


「それと、この二人はオレの護衛です」

「「よろしくお願いします」」


 そして、今回表立ってオレと行動を共にするのは双子のみ。こちらは完全武装。

 リリィには商人ギルドへ登録に、他の嫁たちには都市で不足している物を調べに行ってもらっている。その後の役割も決まっているので、当分はオレたち自身として人前で集まって行動することはないだろう。


「以後、お見知りおきを」

「こ、この方がアーサー殿とグィネ殿を助けたのですか?」


 集まった人々は、あからさまに疑わしそうな様子。アーサーとグィネの実力を知るが故に、「この若造が?」という疑念を抱かざるを得ないようだ。


(まぁ、実際に若造だから仕方ないんだけどね)


 ここで何を言ったところで、信用を得ることは出来ないだろう。


「不審に思われるのは当然ですね。それに対しては、これからの働きをもって答えとさせていただきたい。

 あ、そうそう。お土産もお持ちしてるんですよ。ヴィナ、ディア」

「「はい」」


 ここでヴィナとディアが人々の前に転がしたのは、簀巻きにされた人間。そう、アーサーと再会した時に捕らえた兵士である。移動中は馬車の下に固定していたこともあり、半分くらい忘れて放置状態だった。


(剥き出しだった顔面が傷だらけになってたけど、それは治したし。拘束を解いた内部が酷い事になっていたのは、丸ごと水洗いして綺麗にしたし。……うん、問題ない問題ない)


 オレの顔をみると軽いパニックを起こすようになってしまったようだが、今後関わることもないはずなのでこれも問題ない。


「……こ、こやつは!」

「知っているのかマーリン」


 今アーサーから名前を呼ばれたのは、鷲鼻に小さな丸眼鏡を乗せた、フサフサした白口髭の魔法使い風の老人。革命軍の軍師的な立場に居るらしい。


「こやつは、何かと悪い噂が絶えない第五軍の大隊長ですぞ!」

「「な、なんだってー!」」


 どうやら、捕らえた兵士は帝国の暗部に関わりのある人物だったらしく、良い情報が得られる可能性があるとのこと。

 ちなみに、帝国軍の編成は、軍団=五千人、大隊=千人、中隊=二百人、小隊=四十人、そして最低単位が八人組の班となるそうだ。つまり、アーサーとグィネは最低でも千人に追われていたということになるのだろう。


「ふむ、取り入ろうとする謀略の可能性は低そうだ。よかろう、城への出入りの自由を認めよう」


 と、この都市の領主様。

 帝国軍でそれなりの地位に居る人物を連れて来た事で、最低限の信用は得られたようだ。


「ただし、もしアーサー殿を裏切るような事があれば、決して許さぬ! 心しておくことだ」


 アーサーはずいぶん愛されているらしい。


「ははは。エクター殿、そのような心配h……っ!」


 贔屓しないように、と言っておいたのにアーサーがナチュラルに弁護しようとするので、無詠唱で静電気を食らわせ。


「ありがとうございます。アーサー殿の役に立てるよう、つとめさせていただきます」


 真面目な顔で返し、暇を告げる。

 まだまだやる事は沢山あるのだ。

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