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32、旅立ち

 

 

「では、出発!」


 馬車を進め、王都ウルークスの東門を出る。街道の横にはまだ雪が残っているが、もう今年の雪は終わりだろう。


「アニキ、ありがとうございました。でも、次に会った時は一本取ってみせるっス」


 門のところには、アーサーとグィネが見送りに来ている。


「ああ、オレもまだまだ強くなるつもりだ。楽しみにしてるよ」


 冬の間は、ほぼ毎日アーサーと早朝訓練を行っていた。そして、毎朝の訓練終わりの模擬戦の結果は全勝で終わることが出来た。と言っても、ハルエヌの対イケメン戦で得た戦闘技術などもあっという間に吸収され、最終的には、ステータスによる能力値の優位性のおかげでギリギリ勝利を拾うという感じだったが

 さらに、アーサーとグィネには魔力操作を教えてみたのだが、二人とも最近ようやく使えるようになって来た感じだ。学習能力上昇と、精神的な繋がりによるコツの理解が無いと、この二人でも二ヶ月かかってしまうということなのだろう。


(アーサーなんか普段ほとんど魔法を使わないんだから、裏で想像を絶する努力をしてるんだろうな)


 ウチの娘たちがチートで数分から一時間ほどで使えるようになったことを思い出し、なんだか申し訳ないような気もする。


(もはや身内と言っても良いんだけど……)


 オレのものとは言えないこの二人。魔力操作は教えたが、ステータスを創るのは止めておいた。


(ステータスは、オレのものに限定すると決めておこう)


 なんて考えていると。


「おかげでとても有意義な冬でした。またいつかお会いしましょう」


 と、アーサーに寄り添うように立っているグィネが言う。


「有意義な、と言うならオレの方だよ。ありがとう」


 グィネには魔道具の作り方を教えてもらったのだが。一日のスケジュールの内それに割く時間は、アーサーとの早朝訓練を終え、冒険者ギルドの簡単な依頼をこなした後の数時間という短い時間だったので、習得まで一ヶ月かかってしまった。学習能力上昇を持ってしてもこれなのだから、元の世界にいた頃のオレだったら理解出来なかった自信がある。


(まったくもって、学習能力上昇を創ったあの時のオレ、グッジョブ!)


 しかし、その後はけっこう順調だ。

 魔道具の威力は魔法陣の大きさに比例するのだが、ラノベかゲームで見た覚えのあるアイデアを参考に宝石(価格や大きさの関係で主に水晶になる)内に刻んでみたところ、普通に刻んだ同じ大きさの魔法陣のおよそ一万倍の効果が得られることが分かったのだ。これによって、まあまあの効果の魔道具を持ち運べるサイズに出来るようになり、グィネと共同で様々な魔道具を開発した。

 その際、アイテムボックスも魔道具として開発済みだ。


(これが流通し出せば、《創造》で創ったアイテムボックスをコソコソせずに使えるようになるはず)


 と言っても、現時点では、指輪にすると不恰好になるサイズの宝石を使っても大した収納力にはならない(直径2センチの宝石で1立方メートル程度の収納力)。しかし、これらの問題はそのうち解決するだろう。


(我ながら中二っぽいと思うのだが……)


 表面ではなく内部に刻むということは、今はまだ存在しない立体魔法陣や積層魔法陣といったものが刻めるはずなのだ。それらが実現すれば、さらに高い効果を得られると思う。しかし、あまり急激な変化は好ましくないと判断して、このアイデアはグィネに伝えていない。


(まぁ、グィネならすぐに思い付きそうだけどね)


 そして、宝石に魔法陣を刻んだ魔道具ならではの問題も発生している。どうやら装備数に上限があるようなのだ。

 装備した順番に三個目まで。それ以降に装備したものは動作不良を起こしてしまう。そして、残念ながら、これに関してはまったく原因に見当がつかない。


(困ったものだけど、全てが上手く行くはずもない……)


 そうこうしている内にけっこう進んだのだが、まだウチの娘たちは馬車の後部から手を振っている。おそらく、二人もまだ手を振っているのだろう。

 ちなみに、二人はもうしばらく王都に滞在するらしい。しかもオレたちが借りていた家に引っ越して。

 これは、オレたちが借りていた家の裏庭に作ったお風呂、それを二人が気に入ったからだ。わざわざお湯を沸かす魔道具を開発した甲斐があるというものだ。


(お風呂文化が広まるキッカケになると良いのだけれど……)


 そんなことを思いながら、御者席から身を乗り出して振り返ると。

 

「じゃあ、またな!」


 もう聞こえないとは思うが、大きく手を振りしばしの別れを告げる。

 今のところ、オレたちがここに戻って来る予定は無いが、アーサーたちもまた、ここに永住する訳ではない。縁があれば、また何処かで出会うこともあるだろう。


(きっとまた会える。なぜかそう信じられる)


 今後の予定は、街道沿いに東に行き港町カルノーへ。そこから北へ進み、テルミ村を通り山を越えてナルチ村へ。ここまで、のんびり行って十四日ほど。

 ナルチ村では村長の奢りでバイヌさんの宿に二泊してから街道を東へ。交易都市オルテスに着くのは、全行程合わせて二十一日後の予定だ。

 そして、まず最初の目的地はそこからさらに北。


(さてさて、どんな景色が待ち受けているのかな)


 一人、出発の高揚感に浸っていると、ウチの娘たちが荷台後部から戻ってきたようだ。


「ランドロ王国。どんな所でしょうね♪」


 アリスは満面の笑顔を見せ、御者席に座るオレの左に腰を下ろし。


「どんな所でも、みんなと一緒なら退屈はしませんよね」


 フェリは後ろからオレの首に腕を回して抱きつき。


「特に、アキラさんがいれば変わった出来事には事欠かないでしょうし」


 カーラは手綱を握るオレの右腕をくぐって、股の間に収まり。


「……降りかかる火の粉は、私が払います」


 リリィはフェリの横に座り、オレに背中を預けてきた。

 この、オレを信頼し想いを寄せてくれている、いずれ劣らぬ美女、美少女がオレの嫁なのだ。我ながら驚きのリア充っぷりだと思うが、この世界に転生する前には夢にさえ見なかったこの状況が、間違いなく今のオレの現実だ。


「みんな、改めてよろしくお願いします」

「「はい♪」」


 そして、冬の終りと共に新しい旅が始まる。

第二章開始時点のステータス



アキラ

レベル:35

体力:210/210 魔力:∞ 筋力:80 敏捷:85 器用:90 知性:85 精神:73 幸運:100


スキル:柔術(1)、剣術(35)、魔法(25)、性技(40)、格闘(15)、探知(20)、隠密(18)、弓術(17)、調理(15)、杖術(15)


アビリティ:アイテムボックス、学習能力上昇、魔力操作、妊娠操作、鑑定


ギフト:創造、無限の魔力




アリス

レベル:25

体力:160/160 魔力:120/120 筋力:56 敏捷:60 器用:70 知性:56 精神:55 幸運:45


スキル:家事(15)、槍術(28)、剣術(15)、魔法(20)、性技(20)、探知(18)、隠密(15)、弓術(2)、調理(13)、格闘(15)、杖術(2)


アビリティ:学習能力上昇、魔力操作




フェリ

レベル:20

体力:130/130 魔力:160/160 筋力:45 敏捷:58 器用:60 知性:57 精神:55 幸運:30


スキル:弓術(28)、剣術(10)、魔法(20)、探知(16)、性技(18)、隠密(13)、格闘(10)


アビリティ:学習能力上昇、魔力操作




カーラ

レベル:20

体力:130/130 魔力:200/200 筋力:40 敏捷:45 器用:40 知性:70 精神:58 幸運:25


スキル:魔法(25)、家事(5)、性技(18)、探知(13)、隠密(10)、杖術(12)


アビリティ:学習能力上昇、魔力操作




リリィ

レベル:15

体力:130/130 魔力:50/50 筋力:50 敏捷:60 器用:36 知性:34 精神:40 幸運:10


スキル:家事(13)、魔法(10)、双剣(18)、性技(15)、探知(13)、隠密(13)、格闘(13)


アビリティ:学習能力上昇、魔力操作


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