表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありふれた異世界転生もの  作者: てきとうな人
ウルーク王国編
23/104

23、関係改善

 

 

「まさか、そんな……」


 ベッドの上。裸で寝ている(気絶からそのまま睡眠へと移行した)三人を見て、あることに気付いてしまった。

 そう、オレが三人より優れていること、それはエロに関することである、ということに。


「……いやいや、それで勝ってても偉そうに出来ないし」


 もちろん、現在の三人の惨状に関しては後悔していない。

 お風呂上がりに、嬉しそうにパジャマ姿を見せてくれた三人に、思わず歯止めが利かなくなってしまったのだ。服を着たまま致したのも新鮮でよかった。


 ……閑話休題(ゲフンゲフン)


(そうだ、戦闘訓練。……いや特訓だ! 特訓をしよう!)


 幸い、今なら三人にバレずに動ける。


(そう、特訓とは、秘密裏に行われなければならないものなのだから! 決して。決して! 今気づいたことを忘れるために、体を動かしに行くわけではない!!)


 と、重要な事実を心の中で宣言しているうちに、寝室を出てシェルター内の訓練場についた。


「さて、どうしたものかな」


 この訓練場だが、中に入ると防御フィールドが何重にも展開され、絶対に怪我などしないようにしてある。


(決して、オレ自身の防御フィールドを張り忘れた時のための保険ではない!)


 ……とにかく。最近は三人と万全の体制のもと、一対一やニ対ニで全力で戦闘訓練をしているのだが、得るものは多いと思う。そう、全力でやるからこそ意味があるのだ。

 ならばどうするか。


「……『分身召喚』」


 これは、オレの身体能力とスキル、さらに行動パターンまでもコピーした分身を召喚魔法で作りだしたものだ。


(うん、我ながらナイスアイデア。これは良い気晴らs……。良い特訓になるな!)

 

 

ーーーーーー

 

 

「また顔を見せにいらっしゃいね」

「いつでも帰ってこい」


 そう言う宿屋夫婦に別れを告げて出発。

 次の目的地はハルエヌ。魔の森から溢れる魔物を抑える、最前線の城塞都市。そして、冒険者が集まる場所でもある。


(ファンタジー世界の定番である魔の森。まさか実物を見る機会があるとはね)


 今からとても楽しみなのだが……。その前に、やろうと思っていることがある。

 村を出て、街道を歩いて進む。やがて村が見えなくなり、そこからさらに一時間ほど歩いたところで足を止める。


「ちょっと話があるんだけど……」


 そう言って振り返ると、三人が心配そうにこちらを見ている。

 どうやら緊張のあまり無言で歩いてきてしまったため、ただならぬ空気を醸し出していたようだ。


「実は、みんなを奴隷から解放しようと思うんだけど――」

「「なぜですか!」」


 安心させるために早く話しを終わらせようとしたら、食い気味にすごい勢いで詰め寄られた。

 慌ててオレの考えを聞かせる。

 三人がオレのものだということは譲る気はない。しかし、美少女が奴隷という立場で旅をしていると、余計なトラブルを生むのだ。

 ナルチ村長の態度も、アリスが奴隷でなければ違っていたのかもしれない。


「び、美少女だなんて……」

「そういうことなら、仕方ありません」

「アキラ様のもの……」


 少し、話を聞いていたのか怪しい反応な気がするが、たぶん大丈夫だろう。

 では、早速。


「〜〜『奴隷解放』」


 詠唱して魔法を発動。

 フェリとカーラが奴隷になる時に商人が使った契約魔法。なんとなく聞いていたその呪文を覚えていたのは、レベルアップで高くなっていた知性のおかげだろう。それを魔法語を習ってから解析し、奴隷解放の呪文を組んだのだ。

 ……そして、三人の首から奴隷であることを表す青い線が消えた。問題無く成功したようだ。


「あ、ありがとうございます。でも、少し寂しいような気がします」

「主様との繋がりが無くなってしまったような……」

「確かに……」


 首の青い線があったあたりを(さす)りながらそんなことを言う。三人も、奴隷の契約魔法によって存在した精神的な繋がりを感じていたのかもしれない。


「はい、コレ」


 昨夜のうちに創っておいた指輪を、オレと三人の左手薬指にはめる。


(オレがやると、おままごとのようだけど、ね。まぁ、衣食住に困る心配はないし、元の世界で未成年が結婚するほどの苦労はないだろう)


 この世界には既婚者が指輪をはめるような風習はないので、オレの故郷での結婚の証しだと説明した。


「さらに、この指輪はミスリル製で、アイテムボックスと念話の機能を持ち。自分の指輪ならば、離れた所にあっても呼び寄せることができるようになっているのだ!!」


 この指輪によって、奴隷契約にあった精神的な繋がりを強化して構築。それを使って、魔力の譲渡や回復魔法を飛ばすこともできる。念話もこの繋がりを利用したものだ。

 他にも、毒無効や健康維持などの機能もあるのだが、三人には秘密にしている。その理由は油断しないためだ。危険に対してもだが、健康維持に関しても油断して欲しくない。

 暴飲暴食などは遠慮していただきたいということだ。


(にしても、転移には莫大な魔力が必要という話だったが、《世界の理による最適化》が仕事をした結果か、この指輪を呼び寄せる時にはさほど魔力が消費される感じはない。つまり、魔力の消費を抑えて転移する手段があるのかもしれない)


 考えてみれば、無限に水が出る革袋や、シェルター内で使う水やお湯、排水などにも転移系の魔法が使われているはずなのだ。こんなことに今まで気付かなかったなんて、我がことながら迂闊としか言いようがない。


「アイテムボックスって、アレですよね」

「念話は面白そうです」

「これは、付呪とも違う……」


 最後のカーラは難しい顔で何かをつぶやいていたが、指輪自体は嬉しいらしい。気に入らなかったのか聞いたら、ものすごい勢いで否定された。


「これからもよろしく」

「「はい♪」」


 大地を駆ける鳥の騎獣、ランバーを召喚魔法で作って乗る。

 今回は四人いっぺんに乗れるサイズで、車の座席のような鞍にしてみた。


「では改めて、出発!」


 まだ見ぬ景色を求めて西へ。

 

 

ーーーーーー

 

 

「この辺りにも牧場があるの?」


 ナルチ村を出発してから、何事もなくのんびりした旅の三日目。街道沿いに広がる草原に、この世界の牛のような存在であるテリーアがいたのだ。そこで、オレの前に乗っているアリスに聞いてみた。

 ちなみに、今日は二人乗りだ。四人乗りのランバーは評判が悪く、わずか半日でお役御免となった。三人は、「何か違う」「これじゃない」と言うだけで、ハッキリした理由は聞けなかった。


「いいえ、聞いたことがありませんね。野生なのでは?」


 そのアリスの答えに、オレは衝撃を受けた。


(野生は盲点だった!)


 日本で野生の牛など見たことがなかったために、考えもしなかったのだ。先入観、恐るべし。


「よし! 捕まえよう!」


 近くにランバーの気配もある。

 四人分ならばだが。十頭ずつくらい捕まえれば、すぐに乳と卵と肉の安定した供給が見込めるのではないだろうか。


「なるほど、食料製造区画で飼うんですね」

「プリン食べ放題が近付くんですね」

「食料の確保は大事ですからね」


 三人とも乗り気のようだが、最後のカーラの発言は借金返済の苦労がにじみ出ていたように感じる。

 

 

ーーーーーー

 

 

「さて、どうしたものかな」


 防御フィールドで作った囲いの中を見ながら呟く。

 みんなで張り切ってしまった結果、テリーアとランバーが二十頭ずつくらい集まった。しかし、シェルター内に入れる方法でつまずいてしまったのだ。

 というのも。


(まさかアイテムボックスに生き物が入らないとはね)


 アイテムボックスの能力を創ったときには、そんなこと考えていなかったつもりなのだが、どうやらオレが知るファンタジーものの物語によくあるその設定が無意識下にあったらしい。それをチート能力の一つ、《思考からの拡張解釈》が拾ってしまったようだ。


(やれやれ。チート能力、仕事し過ぎだし!)


 とはいえ、チート能力がもたらしたこの結果。それをどうにかするのもまた、チート能力なのだ。


「ここはアレだね! スモールライt……ゲフンゲフン」


 ……なぜだろう、これは創ってはいけない物だという気がする。


「どうかされましたか?」

「いや大丈夫。アレがダメならば、……体積自在コンテナ~」


 気を取り直して《創造》。


「これは、テリーアとランバーが二十頭ずつくらいなら余裕で入る大きさから手のひらサイズまで、自由自在に大きさを変えられる上に、何をどれだけ入れても重さは2キロから変わらない優れものなのだ!!」


 今回は声に出して説明してみたのだが。


「便利そうですね」

「プリン♪ プリン♪」

「中に追い込むのは任せて下さい」


 ……サラッと流されてしまった。やっぱり寂しい。

 再び気を取り直してコンテナの中にテリーアとランバーを追い込んでいると、フッと一瞬だけ日が陰る。雲が太陽を横切ったのかと、なんとなく見上げると……。


(雲、じゃないよな。間違いなく空を泳いでいる)


 そこにいたのは真っ白な鯨だった。

 見た感じは、横に広がったシロナガスクジラという感じ。平たい涙滴型の体の丸い方に大きな口があり、その口から尾の方まで丸みを帯びて縦線の入ったお腹がある。かなり高いところを泳いでいる感じから、全長は1キロ以上あるのではないだろうか。


「おぉ、ファンタジー……」


 茫然と空を見上げるオレに気付いたのだろう、三人も空を見る。


「あれは、……白鯨ですか?」

「なんて大きい……」

「初めて見ました……」


 どうやら知っているようだ。


「ハクゲイ?」

「えぇ、空を回遊する神の使いと言われています」

「その背に神とその使徒が住まうとも……」

「見る機会は五十年に一度あるかないかだそうですよ」


 一瞬、飛んで行って確かめようかと思ったのだが、止めておいた。アレは、そのまま神秘的な存在であって欲しいと思ったのだ。


(世界を旅していれば、また見る機会もあるだろう。

 それにしても、……神、か。この世界の所有者は知っているが。それとは別に、この世界を管理する存在が設定されている可能性はあるよな?)


 オレ自身の宗教観は、故郷では一般的な感じだと思うのだが、なんとなく八百万の神々を信じている程度で、ウチの娘たちからも何かを信仰しているような話は聞かなかった。だから、この世界の宗教がどうなっているかなんて、考えたこともなかった。

 同じように白鯨が飛び去った方角を眺めている三人を見ると、オレの視線に気づいて「どうかしましたか?」という感じで首をかしげる。その様子には、信仰対象に祈りを捧げていたような感じはない。


(……ん〜、触らぬ神に祟りなし、かな)


 例え何かを信仰していたとしても、さほど熱心なものではないのだろう。面倒な宗教関係は詮索しないことにしよう。

 

 

ーーーーーー

 

 

「少し固いかな?」

「十分に美味しいですよ」

「こんなものでは?」

「まだ売り物になるレベルではないかも?」


 その夜、早速テリーアの肉を食べてみたのだが……。十分に美味しくはある、しかしやや筋張って固い感じもする。

 この世界の食材は、魔力によって無条件で美味しくなっていると思っていたのだが、そんなことはなかったようだ。牧場の方たちの努力を感じる。


(この世界の農家の皆さん、ごめんなさい)


 とはいえ、固い肉には固い肉の食べ方があるし、食料製造区画内の環境は整っていて、自動で品種改良も行われるように創ってもある。いずれは品質の良いものになるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あ。 [気になる点] 異世界系の小説って何で奴隷とかすぐ解放したがるんだろうか。別にしててもしてなくてもいいし、むしろしたままの方がプラスになると思うんだけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ