ゴブリン測られる
あぁ、このやわらかい感触をいつまでも感じていたい。と思っていたが、クラスに入ってすぐ、それは終わりを迎える。
正直、昨日の激しい攻防のせいで私のHPはゼロだ。
机にぐったりと突っ伏す。
ん?なんだ、落書きか。何?あぁ、妬みね。
机の上の油分を全て魔法で浮かして、持ち主の元に戻る魔術をかける。
あぁ、こいつか入学の時からなんか行ってきてたやつ。姫様に夢中であんまり意識に残ってなかったが。
ブチ切れながらこっちにくる。よくあの魔法試験の時にあれ見て来れるよな。頭を撃ち抜くのなんて一瞬だぞ。
とりあえず、物理障壁を貼っておく。ガラスの檻に囚われた猿の様にバンバンと叩くのを笑いながら見ていると、教師が入ってきた。
あ、あいつ注意された上に罰則で掃除させられるってよ。
姫様がこちらを見て机の下で親指をあげていた。まぁ、付き纏われてうんざりって顔してたもんな。
今日の授業は冒険者についての座学か。そういえば何人も正当防衛で殺してるけど、詳しくは知らないな。
内容を訳すと初級冒険者がF〜Eで、D〜Bが中級。A〜Sが上級でLってのが英雄とか勇者とか言われるらしい。
それぞれのランクには天と地ほどの差があり、Aランクを倒すにはBランクが十人以上は必要だという事だ。
結構一つの壁が大きくて、Lは世界において三人だけだし、Sは十七人Aが百人以下って感じらしい。
ちなみにこのルガン王国はL級を二人擁立し、人間の国家では最大の武力を持つと言われている。人類という括りで見るとエルフの里が総力で考えると一番強いらしい。
エルフかーあの残念エルフしか見てないな。顔はこの世の物と思えないぐらい綺麗だけど、ちょっとなぁ。
でも、冒険者の割合で見るとエルフがS、A共にトップでLもいるらしい。あのエルフもインスタントダンジョンのつくり的に冒険者だったりしてな。
まぁ、そんな話はいいや。とにかく今から冒険者登録するらしい。
冒険者ギルド等といったものはなく、国が制定する測定器の結果に鑑みて決めるらしい。力だけで品がない奴とかどうすんのって?
冒険者になるには学校に入るか、冒険者指導所に三年だか通わないといけない。
依頼も国からだけだし、問題を起こしたら斬首とか十年労働奴隷とか依頼が受けられなくなったりだから悪いことをするのは計画的に実行する本当にいかれたやつぐらいだ。
つまり永遠にFランク冒険者って事もある。まぁ、そんなに楽しい事ばっかりじゃないよ。
そしてランクを決めるのはこの測定器。お前やばいんじゃって?安心したまえ。
次から次へとランクが決められていく。測定値はプライバシーで出て来ないが、スキルとか魔力とかを数値化して測ってるらしい。
大体の生徒が測定官から結果が告げられF〜Eで終える。姫はDだってさ。流石、小さい頃から英才教育されてたんだろうな。
さて、私の番だが、ステータス偽装を行う、まぁ千分の一ぐらいでちょうど良いだろ。
いや、念の為に一万分の一にしとくかFなのは恥ずかしい事じゃない。まだ普通のその辺にいる十二歳だし。設定は。
そして告げられたのは。
「ちょっと測定器故障したかもしれないからもう一回お願いします。」
あれ?俺の偽装は見破れない完璧なもののはず。スキルの数もすんごい弱いのだけ絞って残してるんだぞ。もう一度だ。
「うーん......何回見てもBなんだよなぁ。この年齢ではおかしいよなぁ。」
小声が聞こえた。しくじった。人間を強く、俺を弱く見積もりすぎたか。さっきの教師の話を参考に更に百分の一程度に低くする。
「あぁ、直ったみたいだわ。Dです。」
姫様と一緒に奇跡的に合わせられたな。よかったよかった。
ゴリザベートはCだって流石だな。見た目通りの強さだ。もて囃されて頭をかきながら照れている姿はあのエルフよりは絶対可愛いと思った。リリィはFで、割と予想通りだった。
実は担任になっていた試験官はAでおぉ〜っと歓声が上がった。あのオーガどんだけ強かったんだよ。連れてきたの絶対SかLの奴じゃん。理由はわからんが確実に国とつるんでるじゃん。
人間に嫌気がさしていたところで、四人パーティーを組む事になった。一年間同じパーティーという事だったので、気配を無くし、時空魔法で姫様の隣にワープして手を繋ぐ。
「同じパーティーになりましょう。」
「もちろん」
とてもキラキラした顔でこちらを見てくれる。あの時正体を晒してでも守ってよかった。
あ、ゴリザベートがとてもモテている。イケメンの生まれも良さそうな生徒に組まないかと誘われているのが見えた。
が、とても丁寧に断りこちらへきた。
「貴方は私と組んでもらいます。命の恩人ですからね、恩返ししないと。」
勿体無いなぁと思いながらも承諾した。
残り一枠を巡って争いが起き始めた。まぁ、パーティーでの成果が成績に直結するからな。上位三人のいる所には絶対に入りたいだろう。
リリィが押し出されて、倒れているのが見える。勿論見た目はともかく男子生徒なのでパンツは見えない。
リリィの手を引っぱって同じチームになろうと誘った。
何かの縁だしな。一部女子生徒から黄色い声援が上がる。
そこからはブーイングの嵐だった。そりゃあ誰でも姫とゴリザ、ゴリさんで良いやゴリさんと組みたいだろうしな。
という事で、引き抜き戦が始まった。模擬戦に勝てば相手チームから一人引き抜ける。引き抜く相手は参戦不可能。選手は三人。行えるのは一チーム一戦。負ければ文句無く引くというルールだ。
多分毎年こんな事が起こってるのだろう。とてもスムーズだった。
まずは第一線目、めちゃくちゃガタイのいい男三人組だ。その内の一人が、めちゃくちゃデカイ声で。
「我々はリリィたんの引き渡しを要求する!!」
コイツァヤベェ匂いがプンプンするぜ。
「我々はリリィたん親衛隊!!男の娘は世界の宝!!」
長い名乗りが終わった。途中から聞いてなかったわ。
先鋒はゴリさん。
第一戦、初手ラリアット。相手は死ぬ。流石に死んではないが。
第二戦、初手変則フック。相手は死ぬ。以下同文。
第三戦、初手低空アッパー。以下同文。
全員、担架で運ばれていった。心配そうに、もう一人のマッチョがその三人を追いかけていく。なんというかドンマイ。
この試合を見ていた対戦予定の相手はリタイア者が出る。残ったのは、あのイケメン率いるイケメン集団と、本当に十代か?ってくらいのチャラめの女性三人と猿と、さっきのマッチョと同じ匂いがする眼鏡をかけたヒョロい男達。
こうやって見るとこのクラス濃いなぁ。ちなみに、引いていったのは黄色い歓声を上げていたあまり特徴のない女性達八人。濃すぎるだろ。女生徒以外のキャラが濃すぎるよ!!
このクラスでやっていける気がしねぇ。まぁ、うちのチームも他の所のことは言えないが。俺そもそも人間じゃないし。
さぁ、切り替えて誰も失わずに生き残るぞ!!
なんか長くなっちゃったなぁーまぁいっか。さて、資格勉強がいよいよヤバくなって参りました。多分落ちる。
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