ゴブリン座学試験
さて、入学試験。緊張しないと言ったら嘘になる。参考書の内容はほぼ完全に記憶したが、それだけでは不安になるのが人間ってやつだろ?
まぁ、軽快なゴブリンジョークは置いといて俺はルガン王国に来ていた。いや、正確にはもう住んでるんだが、試験受けるのに住所がルガン王国内でないと行けないので、牛乳配達してた村はギリ、隣国のリン王国だった。危なかった。
まぁ、どうせならって事で王国内にめちゃくちゃデカイ家を買った。え?お金はって?実はルガフォンで、瞑想に関するブログなるものを書いてたら大ヒットしてな。
うん、不労所得って奴だ。だが、それだけではダメゴブリンになりそうだったので、今は土木関連で配送屋っていう加工された材木を運ぶ仕事で財を成している。察した奴もいると思う。
そう、瞑想が思いの外めちゃくちゃ上手いこといってMPが今までの十倍にまで膨れ上がったから実は時空魔法で楽をしてるってオチだ。人間の限界が百キロの所あんまり知られてない鬼人族で魔力量が多いって言い切って十トンくらい運搬してる。流石に百倍はヤバイかなと思ったけどそんなもんかと思われている。
いやね、苦労したら報告しようと思ったんだけど思った以上に楽に習得できちゃったんだよ。あ、なんか出来たわぐらいの感じだったんだよ。
まぁ、報告はこんなもんかな?進化はレベルの関係で上がってない。
さて、俺は王都ルガードの一等地から使用人の操縦する馬車に乗ってルガン学園へ向かう。試験会場は馬車がズラッと並ぶ。どうやら、ここお金持ちの学校らしい。月の学費が百万ルガンだ。半年前の俺なら心が折れてたと思う。
さて、さらっとこの学園について説明しようか。ここは由緒正しき学園で、国が出来た時から国によって作られたらしい。そこから所有権がなんかえらい魔導師に渡って、そこから今に至る。
在籍は最短三年で卒業が可能、卒業後は魔導士や魔導師、魔戦士として就職することが多いが、貴族やタレントが箔をつけるためにってのも多いようだ。
当然裏口もあるが、俺は正々堂々ぶつかる。しかも裏口噂だと十億ルガンぐらいかかるらしい。いや、無理よね俺のような成金には荷が重い。寮がないってので人間の時空魔法使用は確認されてないってので家で安心して飛べるようにほとんど使っちゃってもう残り一千万ルガンしかないし。
馬車が動きをゆっくりと止める。着いたかな。ブログを更新してから、降りるとそこは俺の成金屋敷の数十倍大きく立派な建物が軒を連ねる。これ全て学園の建物だというから驚きだ。
他の生徒達も驚きを隠せない中、何人か貴族らしきおぼっちゃま達は当然だという顔で降りてくる。流石、王城に住んでらっしゃる事はある。って事は姫様にばったり会えるかもって事だ羨ましさでうっかり捻り潰してしまいそうだ。
そんな事は置いといて。まずは座学の試験という事で会場に入る。先程のぼっちゃま方はどこかへ消えた。裏口ってわけだな。
まぁ、会場が三つほどあったのでたまたま別れただけだとは思うが。そして試験開始の前に、聞いてくれよ。
とても綺麗な人が前を歩いてるなって思ったんだ。
なんと姫様が隣で試験を受けてるんだ。あぁ〜いい匂いがする。一般受験なんて流石、麗しの姫君。だが、ここで満足してはいけない。全身全霊でこの試験に向かう。
無時終わった。あの緊張感はなんだったんだろうかってぐらい楽勝だった。あの本のちょっとチャレンジとか、アレンジ問題とかの難しいの覚えた意味なかったわ。あ、5問ぐらい出てたかそういえば。まぁ、これ五百問あったから誤差みたいなもんだよな。配点五問で一点とかいう低さだったし勿論時間に余裕があったから解いたが。
さて、姫様もすこしお疲れの様子、話しかけろ!!行くんだ俺!!
だめだー言葉が出てこない。
そんな様子を見られたのか見られてないのかわからないが、こちらを見て少し微笑む。
もう、死んでもいいです。
「試験難しかったですね。」
その声は風に揺れる風鈴のように、カゴに囚われた鳥のように美しい響きだった。涙をグッと堪える。
「あ、どもそすね」
馬鹿野郎ー!!!!!!!かーんぜんにコミュ障じゃねぇか!!うわーどうしよううわーヤバイ。
完全にパニックである。しかし、彼女の優しさは留まることを知らない。
「無事合格できたら同じクラスになれるといいですね」
完全に頭が沸騰して、意識が飛ぶ。寸前で耐えた。
途轍もなくぎこちない笑みで。
「そすね」
と言った。うん、頑張ったよ俺。
姫様の後ろ姿をつい追ってしまう。
「姫様に話しかけられたからって調子乗ってんじゃねーぞ」
とか、罵倒が聞こえてきたが一切気にならない。スキップで俺は座学の試験会場を後にした。
さて、今日は豪華二本立てゴブルの恋路を応援してあげてください。
気に入ったらコメントブクマ評価お願いします!!割合元気になります。