7年後のあなたと
「半年です」
「あなたの代償はとても面白いものでしたが、あなたが行く時間は彼女が向こうに着いてから半年後です。」
「はぁ?!なんで当日じゃないんだよ!」
「そちらの方が面白そうだからです。」
「どうします?やめますか?私はどちらでも良いですよ。」
「くっ……!」
(舐めやがって!断れないと分かって聞いてやがる)
「……いいよ。その時間でいいから送ってくれ。」
「ではさようなら。素晴らしい余生を。」
————————————————————
眩しい。うるさい。いい匂い。
ここはどこだ。
「縺翫>縲�が鬲斐□繧�!」
後ろから声を出された。
「あぁ、すみません。」
俺は反射的に謝って脇に逸れた。
「豌励r縺、縺代m繧医」
俺に声をかけたそいつは2mは超えるだろう、筋骨隆々の大男だった。問題は、そいつが背中に背負っていた1m以上はある大剣と、世界史の資料集でも見たことないような分厚い黒光りの鎧が全身を覆っていたことだった。
おいおい本当に来ちゃったよ。
何かのお祭りの日なのだろうか、俺がいる大きな道では様々な屋台が所狭しとこの空間を視覚、嗅覚で彩る。
(あれ。俺の服がボロ雑巾みたいな質の服に変わってる)
先程までの静けさとの打って変わり様に、俺は気持ちがたかぶりながらも、落ち着いて状況を整理するため、人が少ない路地へ入って行った。
(やっぱり、代償はちゃんと効いてるみたいだな。)
神と交わした契約の1つ目は恩恵の返上だった。
————————————————
神との会話
「そうですか、貴方は神からの恩恵を受けないと。」
「ああ。「なんでも好きな能力1つ」というのは魅力的だが。俺がきれるカードで、まず大きいと思ったのはこれだった。」
「なぜならこれだけで、あっちの世界での生き方の選択肢や生存率がだいぶ減ってしまう。代償としては、申し分ないと思うが、どうだ」
「そうですね。貴方の言っていることは正しいです。」「では全ての恩恵も、あなたには返してもらいます。」
「ん?全て?俺はまだ何も貰ってないぞ。」
「向こうの世界はこちらと随分違いますからね。手心といいますか、小さいのを少々おまけしているのです。」
「どういうのなんだ」
「例えば、現地の言葉の自動翻訳、10回までの毒無効、向こうの世界の簡単な世界史講座、回復薬3個とパン2個などなど。」
「え、ちょっと待って。向こうの言葉ってこっちと違うの?!」
「当たり前じゃないですか」
ついでの勢いでハードモードがヘルモードになった。
——————————————————
(本当に現地民の言ってる事分からなかったなー)
(というかこれ結構終わっているんじゃないか。)
(金なし、情報なし、力なし、おまけに話もできない。)
(そもそもあいつは俺を彼女と同じ町に飛ばしてくれているのか?やばいぞなんか来て早々泣きそうになってきた。)
俺は上を見た。空が眩しい。
俺は下を見た。小銭落ちてないかな。
トボトボと、地面を舐める様に見ながら歩く俺は前から来ていた人影に気づかなかった。
ドンッ!
「うわっ!」
「うおっ!」
「すみません、前見てませんでした。」
「いえいえ、こちらこそすみません。」
(はぁ……また通行人の邪魔をしてしまった……。相手が優しい人で良かったなあ。)
ん?
(話が通じた?)
俺は、自分の横を過ぎ去って行った人物を必死に追いかけた。
「あの! すいませーん!」
「はい?」
振り返ったその顔は
俺がこの人生をかけた理由そのものだった。




