眠たい
「案外早かったね。」
「まあな。」
夏乃はもう廊下で待っていた。帰りに、洗濯する所(滝はなかった)に連れて行ってもらったり、社員食堂的なところにも寄った。生憎一文なしなので夜ご飯は彼女に奢ってもらった。なんとも素朴な味のパンと牛乳のようなものを食べた。
部屋に帰る途中。
「なあ、ここって従業員どんくらいいんの?」
「んー。多分ざっと40人くらい?」
「そんなかにさ、めっちゃ筋肉あって、ガタイがいい頭に獣耳がついてる人っている?」
「グマルさんの事?何で知ってんの。」
「さっき風呂で会ったんだよ。遠くから見ただけだけど、ありゃ漢だね。最強って文字が似合うわ。」
「確かに、グマルさんはめちゃくちゃ強いけど、うちの副団長の方が強いよ。」
「誰?副団長って。」
「この建物を仕切ってるのは、ギルド「魔窟」。その団長があんたがここに入った時にいたあのふとっちょ。副団長があの大きな女の人。」
「副団長はね、本当は団長より強いけど、もともと団長のお世話係だったらしくて、それでまだ下についてるんだって。」
「ほえー」
「ちなみに、あの契約書にサインしたからあんたも、もうウチのギルドの一員だよ。」
「ほえー」
「え」
そんなん書かれてたんすか。
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「はぁぁぁ!疲れた。」
俺は部屋に戻って来てから椅子に座り、机の上に突っ伏した。いろんな事があったが、なんだかんだ楽しかったのかもしれない。
(いや、だめだ。俺がここに来た理由はこいつをすぐにでも家に帰す事。ちゃんと意識して行動しないと!)
「そろそろ行くよ。」
俺は椅子から立ち上がり、ドアへ向かった。
「あんたどこ行くの。」
彼女が右のベッドに座りながら聞いて来た。
「俺の部屋を案内してくれないか。そろそろ眠くてさ。」
「なにいってんの。ここがあんたの部屋でしょ。」
「あっそーなの。じゃあそろそろ夏乃も自分の部屋に帰ったら?」
「だからなにいってんの。ここは私の部屋でもあるんだって。」
(?)
「つまり、俺は夏乃と同じ部屋なのか!?」
「そうだけど。変なこと考えないでよ!部屋の割り振りは来た順なんだから。しょうがないの!」
「そうだったのか……」
(二段ベッドが2つあるから個室ではないと思っていたが、てっきり男女で分かれていると思ってた。)
じゃあどこで寝よう。彼女はずっと右の二段ベットの一段目に座っている。つまり彼女のベッドはあそこなのだろう。
だったら……
(無難に左側の一段目に寝るか)
俺が初めての二段ベッドにワクワクしながら、ベッドに入ろうとすると、
「あっ!だめっ!」
彼女が急に声を上げた。
しかし、俺の手は既に掛け布団をめくっていた。
何ということだ。俺のベッドには既に先客がいた。
縮こまる様に眠っているそれは、ほんのり浅黒い肌が魅力的な、目が1つ多い少女だった。




