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守る刃、支える算  作者: 麦崎誠
第三章 賊
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第十二話 告げ口

 名もなき浪人が通されたのは質実剛健な応接室だった。与力の鋭い視線が彼を指す。

「……面を上げい」

 沈黙の応酬の後、名もなき浪人は顔を上げる。

「お主、名はなんと申す」

 しばしの沈黙の後、名もなき浪人が口を開く。

「……申し訳ございませぬ。私は――己の名すら、覚えておりませぬ。」

「ほう。記憶がない浪士が、異人襲撃の策だけは覚えておると申すか」

 瞬時に入れられた問いに、名もなき浪人は一瞬、たじろぐ。しかし、冷静に切り返す。

「覚えておるのではない。聞いたのです。」

「まあ良い、話してみよ。火急の用とはなんだ。」

 与力は話を聞く姿勢を見せる。名もなき浪人は告げる。

「仏蘭西士官の暗殺計画にございます」

 空気が変わる。

「井土ヶ谷に駐留する仏蘭西の士官。名は、アンリ・カミュ。この計画では『雷汞』が用いられる可能性があります。」

 その瞬間、与力の視線が鋭くなる。それと同時に部屋の外で足音が慌ただしく動き出す。

「貴様には、我々と来てもらう。井土ヶ谷へ案内しろ」

 名もなき浪人は条件を出す。

「外で待たせている娘が一人おります。……あの者に手出しが及ばぬこと、それだけは約していただきたい」

 与力は承諾する。

「その娘、この北町奉行所が責任をもって預かる」

 与力は、近くにいた同心に声をかける

「急ぎ支度を整えよ。井土ヶ谷に向かう」

「は。」

 こうして、一行は東海道へ向かった。


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