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屍兎は自由人  作者: 平成兎
第二章 薔薇の王国
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異変

……コレは異端視されるだろうな。

荒唐無稽と切り捨てられる程、与太話には見えなかった。

事実、俺はその精霊の1人に既に会っている。


精霊王女イフリータ。

今読んだ事が事実なら、イフリータは御雷妹の魂とやらから生まれた精霊という事になるのだろう。何の気持ちかは何となく想像がつくがな。


今、他に気になる事は二つ。

一つ目は、御雷の事だ。

アレイスターの実験で死体にも魔力が宿っている事は分かった。


なら何故、アイツの魔力に関するステータスはゼロなんだ?

アイツが死体(キョンシー)である事以外に何らかの理由があるんだろうが……。

だが、もしアレイスターの説の通りなら、魔力が宿ってないなんて事は有り得ない筈だ。

魔力は変化を促し、変化に宿る存在。


御雷は動いている。動くという行為も変化の一つだ。

それがある以上、アイツに魔力が無いなんて有り得ない。


……まぁ、これ以上は考えても分からないだろう。



二つ目は、アレイスターについてだ。

疑う余地も無く、奴は人体実験を行っている。

問題は、この本の様な実験を今もやっている可能性があるという事だ。


この件に関しては、慎吾の協力が居るな。

タマモの話だと、あいつも王都に来ている筈だ。

あいつの事だ。既に何か情報を掴んでるかもしれない。


…電話してみるか……。


そう思い、メニューを開こうと手を翳したが………メニューは開かなかった……。


「………どういう事だ?」


メニューが開けないなんて、今まで一度も無かった。明らかに異常事態だ。


もし、これがバグなら運営には大ブーイングな訳だが………。

取り敢えず、コレが俺だけに起こった事なのか、そうじゃないのかどうかは確かめなくてはな。













「いやー、暴れた暴れた」

「暴れ過ぎだバカ。あいつ等全員どっかの骨折れてたぞ」

「…建物も崩落してたしな」

白い鎧を着た角の生えた男と、黒い鎧を着た角が生えた漢と、二メートルの耳の生えた全身に継ぎ接ぎがある大男が歩いている。


何を隠そうアホ共である。

「そういやお前、連中潰すのに、随分乗り気だったなお前。

普段なら多少俺の行動止めんのによ」

黒剣が不思議そうに質問する。

普段は真面目ぶって自分を止めようとする幼馴染が、今日は随分と早く引き下がった。

「あいつ等には個人的に少し恨みがあったんだよ……」

白盾が、普段より低い声で答える。

「ん?何かあったのか?」

珍しく苛立っている白盾を物珍しげに見ながら黒剣が質問する。

「最近ウチのメンバーが冒険者にアイテムを取られた事があってな。

迷宮攻略中に後ろから襲われたらしい」

「そういやウチのメンバーも一人NPCに襲われたって、怪我して帰って来てた事があったな」

「御かづt……月兎も襲われたって言ってたな。仕事を取られた復讐ってのが動機らしいぞ」

「そんなもん、連中の実力不足が原因だろ?俺等に八つ当たりした所で仕事が増えるわけじゃねぇし」

「全くだ。喧嘩売る暇があるなら、働いて少しでも客を増やすべきだ」


冒険者の浅はかさに溜息が三つ同時に出る。

「兄ちゃん達、溜息は良くないぜ。

幸せが逃げちゃうからねぇ」


三人の溜息に、反応する男が一人。

「「「あ?」」」

反応する者が居ると思っていなかった柄のクソ悪い三人が同時に振り向く。


振り向いた目つきの悪い三人の視界に入ったのは、中年の無精髭を生やした着物の男。

右手に日本刀らしき物を持っており、鞘を持っておらず、既に刀は抜き身になっていた。

その男は、三人を順番にゆっくり見て、こう言った。

「思ったより……弱そうだねぇ」

ヘラヘラと馬鹿にしたように笑いながら、毒を吐く。


「「「ぶっ殺す!!!!」」」

普通なら苛立ちを抑えて相手を探る所を三馬鹿は躊躇なく突撃する。


相手の強さも探る事もなく……


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