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屍兎は自由人  作者: 平成兎
第二章 薔薇の王国
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出航

「この格好で……何処に行くって?」

「ですから、今回私達を招いた王国にです」

「…………何の為に?」

「そうですね、その件について説明しておきましょう。

まず、王国の招待状には、私達の戦いを賛美する詩と、闘技場で戦った戦士は王国に来て、今回の件についての話をしたい。

という内容が書いていました」

「今回の件?」

「招いた理由と、私達を王国がどう使うか…………

端的に言うとそう言う話でしょうね」

へぇ…………随分と上から目線な物言いだな。

「それがどうしたんだよ?」

「かなり上から目線な物言いです。

何でだと思いますか?」

「うーん。王族だからか?」

「それもあるでしょうが、恐らく私達が人間では無いからでしょう」

「あぁー、ナルホド。メンドくさ」

人間扱いじゃなくて、獣扱いってわけだ。

「はい。このままでは非常にメンドくさいです。

そこで、モフさんの出番というわけです」

「……どういうことだ?」

「私達が迫害されるとしたら、狐の耳や、尻尾、鬼のツノ等が原因です。

ですが、モフさんは額に札を貼ってるだけで、それ以外は人間です。

周りに最も溶け込みやすいでしょう。

更に、女性になる事で殿方の心の隙間に入り、情報などをもぎ取れるわけです」

なるほどな。流石妖狐。王様も真っ青な腹黒っぷりで。

「………分かったよ。

その代わり菓子は沢山奢ってもらうからな」

俺がそう言うと、タマモは満面の笑みになって、俺に抱き着く。

「はい!勿論奢らせていただきますよ!!

では早速行きましょうか!!!」

はぁ。調子良いなぁ…………。











「話終わった?なら急いで行くわよ。

船が出ちゃう前に」

「船?船で行くのか?」

「えぇ。ローゼンタリア王国は西の大海を越えた先ですからね」

「……行きたくなくなってきた」

船は嫌いだ。酔うからな。

「モフ君、酔い止めの魔法要る?」

「そんな魔法あんのか?」

「まあね、回復は私の専門分野だからね!!」

「え?お前って鞭みたいな武器使ってなかったか?」

「ああ、あの武器はねぇ、飽きたから捨てちゃった」

おいおい。相変わらず適当だなぁ。


………それにしても、二つ名持ちクラスの実力者が戦闘スタイルを変えて、まだその地位に居られるってのは相当凄い事だぞ?

もしかして、灰トってめちゃくちゃ強いんじゃ…………


まあ、今はどうでも良いや。早く酔い止めの魔法かけて貰おう。


「はい。掛け終わったよ」

「おお。スゲェな詠唱無しか」

「ふっふっふ!!まあね!!私の得意魔法だからね!!」

「ところでタマモ。船は何処だ?」

「ハクアの大森林を越えた先ですよ。

招待された他の皆さんはもう先に行ってます。私達も急いで行きましょう」




「了解。お前等、刀に戻っとけ」

大森林に入る以上は、モンスターと戦闘になる為、ドクロ達に刀に戻るよう伝える。

「「「了解」」」












ハクアの大森林。

《大》と付くだけあり、この森林は非常に雄大であり、危険に溢れている。

そんな森の中に、四人の少女が侵入した。

侵入を検知した森は、四人の侵入者を見極める。

そして、沈黙する。

普通なら、森中の魔物達に命令を下し、侵入者を喰らうように言うだろう。

しかし、彼女達の内の何人かは、既に何度もこの森を訪れていた。

それ故に、森は彼女達が森に害をなさないことも知っていた。

故に森は静観し、彼女達は特に問題なく森を抜ける。











「おーーーい!!!!!この船だぁぁあああ!!!!」

森を抜けた後直ぐに、聞き覚えのある漢の声が響き渡る。

声が聞こえて来た方角にある船に飛び乗ると、白い鎧を着た男と、黒い鎧を着た漢に遭遇する。


「よぉ!!月兎!!!」

「タマモから聞いていたが、本当に女性になれるんだな」

この姿を女性って言う奴初めて見たわ。

「……本当に着替えさせられたのか。

災難だな、御雷」

「どうせ、菓子辺りで釣られたんだろう」

「わーいお菓子。モフさんお菓子大好きー」「女の声の筈なのに、お前だって一瞬で分かるのは何でだろうな」

「海斗さん今日は良く喋るね?何か良いことあったの?」


「海」

「把握」


そういえば海斗の奴、海と船旅大好きだったっけ?


確か昔、家族で自家用のクルーザーで旅行した時に気に入ったとかなんとか……


この金持ちが。

「全員乗りましたかぁ!!??

では、出航しますよー!!」


「ヤベッ、もう出航すんじゃん。

じゃあ俺は船内で寝てるから、着いたら起こしてくれ」

「あぁ、バカ兄寝不足なんだっけ?」

「おう、お前等のせいでな」

『あれは自業自得だと思うよ』

『反省して下さい』


手厳しいなおい。

「月兎、この後ギルドマスターで会議を行う。それが終わるまで寝るな」

「会議?何の為に?」

「俺等が行く国が如何にクソ胡散臭え国を知っといた方が良いって、妖狐の野郎が言ってたぞ」

そういや、俺これから行く国の事全く知らねぇな。

別にどうでも良いしなぁ。お菓子以外。

「お菓子以外の事も知っとかないと流石に困りますからね。

何せ相手は国ですから」

「その言い方だと、まるで戦争するみたいだな」

「逆ですよ。

戦争だけは起こしたくないんです。

此方は大規模イベント程度かもしれませんが……

相手側は死んだら終わりですからね。

たとえゲームの世界の住人でも、感情があり、生活している以上、殺せば殺人です。

つまり、戦争になれば、私達はfree onlineを辞めざるを得ません。それは嫌でしょう?」


…………タマモの奴、ちゃんと考えてるんだな。

女装させてきたりしてたから、正直旅行気分だったが……

確かに今回の件は、今後のイベントや、このゲームの存続に関わる事なのは、確かだ。


今回は余り勝手に動き回らないようにするか…………。



妖狐の決意に感動し、怒られた小学生並みの決意を固める月兎だった。

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