招待
この暑さ。来年は人類滅びるんじゃない?
何て事を真面目に心配してます。
「ローゼンタリア王国?」
俺は、学校が終わった後、狼牙に呼ばれ、そのままfree onlineにログインして千年京に来ていた。
其処で俺は、タマモから今回のNPCの国について説明を受けていた。
「えぇ。
それが、今回招待状を送って来た国の名前です」
「どんな国だ?」
「西方の大国です。建国したのは二千年前で、数十年前までは小国でしたが、侵略を繰り返し、大国になったようですね」
「へぇ……何か胡散臭い国だな」
「同感ですね。この招待状も、上から目線で傲慢な物言いです。
父を思い出す位には」
「やめろ。重い話に持って行こうとすんな。
…………で、奴等は誰を招待してるんだ?」
「一ヶ月前に、闘技場で闘ったメンバー全員です」
「…………なるほど。見られてたってわけだ」
まあ、あの時闘技場には始まりの街の外からも客が来てた。
密偵の一人や二人、居たところで何の不思議もねぇ。
「それで……白盾と黒剣は何て言ってんだ?」
正直面倒くさい。サボれるならサボりたい。
白盾か黒剣か、何方かが行かないなら俺も行かないでおこう。
「行くそうですよ?」
「そうか………。
お前は?」
「当然私も狼牙も行きます。
あぁ、後ヒノコちゃんもチルトさんも行くそうです」
逃げ道が奪われた………。
……こうなったら……
「…………」
「そんなに嫌なんですか?」
「………イヤ」
駄々をこねよう。
困りましたねぇ。
さっきからモフさんが全然会話してくれません。
それどころか、三角座りになってより引きこもってしまいました。
「………イヤ」としか言いません。
理由を聞いたら、「……絶対メンドくさいし」って……子供じゃないんですから。
……こういう時どうすればいいんでしょうか?
モフさんとの付き合いもそろそろ半年になりますが、未だにこの人の扱い方が分かりません。
…………此処は、付き合いの長い人達を呼びますかね。
「それで…………私達を呼んだってわけ?」
「えぇ……。
お恥ずかしながら、こうなったモフさんを何とかする方法をまだ知らなくて……」
「まあ、しょうがないですよ。
こうなったら、マスターは完全に駄々っ子です」
「確かにこうなったマスターは面倒くさいよねー」
「…………マスター……拗ねてる」
「………拗ねてねーし」
「…………そういえば灰トさんは?あの人も呼んだんですけど……」
「ごめーん!!遅くなっちゃった!!
それで、モフ君がどうしたの?」
「あぁ、灰トさん。
モフさんは……あそこです」
「う?………あー、そう言う事か…」
モフ君……拗ねてる
「………拗ねてねーし」
ナチュラルに心読まれた。モフ君エスパーなのかな?
「それで、皆さんこういう時どう扱えば良いのか知りませんか?」
「うーん。私はマスターと居た時間はタマモさんとそう変わらないですし、知らないです」
「私もハクと一緒で知らないよー?マスターがこうなったのは見た事あるけど」
「私も……知らない」
「確か前にこうなった時はヒノコちゃんが説得してたよね?あの時はどうしてたの?」
「はぁ、しょうがないわね。
こういう時は…………バカ兄」
「…………イヤです」
「ローゼンタリア王国や、その近くの国にはこの街には無い菓子があるそうよ……」
ピクッ、
「確か、苺や林檎みたいな、果物を使った菓子らしいわよ?」
ピクピクッ、
「もし行くって言うなら…………奢ってあげても良いけど?」
「其れを早く言えよー!!!」
即、三角座りから立ち上がり、キラキラした笑顔で「早く行こうぜ!!」と言っている。
チョロいなぁ。モフ君は。
「はぁ……。助かりましたヒノコさん」
「気にしないで。今回の件、断るわけには行かないんでしょ?
ウチのアホもそんな事は分かってるんだろうけど、ウチのバカ兄、やりたくないと思ったらやりたがらないから」
ヒノコちゃん………苦労してるんだね…。
皆が、ヒノコちゃんに同情の目を向ける。
「あぁ、そうだ。モフさん。
来てくれるのでしたらついでに頼みたい事あるのですが、良いですか?」
「お前もお菓子買ってくれるなら良いぞ」
「本当ですか!?ありがとうございます!
では早速コレに着替えて下さい!!」
そう言って、妖狐は月兎に服を差し出す。
私は白地に、赤い彼岸花の模様ががあしられているミニスカートの和服と、青い帯に白い兎の模様があしらわれている帯と、背中に三日月の紋があり、その周りに雲の模様がある羽織、という、モフさん専用の和服セットを取り出す。
「………男が着る服じゃねえだろ」
「札をひっくり返したら女性になれるでしょ?」
「なれるでしょ?じゃねえよ。
やだよ」
「お菓子……」
ボソリと、村正ちゃんが耳元で囁く。
「…………
分かったよ……。着るよ」
そう言うと、モフさんは札をひっくり返して女体化し、不本意そうな顔をしながら私から服を引っ手繰る。
顔に、「えぇー、コレ着るのー?」という態度を滲み出しながら、モフさんは千年京の試着室の方に去って行く。
モフさん女の子verが、何時も着ているあの白いゴスロリ服も正直凄く似合うけれど、
モフさんはドクロちゃん達みたいな、日本の刀を使うから、やっぱり服も和風がとても似合う。
特に、髪の毛と瞳が銀色なのもあって、巫女装束はとても神秘的に見えるだろう。
まあ、喋ると男性の口調なので神秘性なんて一気に消え失せるんですけどね。
…………そこら辺も矯正してみるのも面白いかもしれませんね。
「ねぇねぇタマモちゃん」
灰トさんが私の名前を呼びながら首を傾げている。
「どうしました?」
「何で今モフ君にあの服を着させたの?
今回の件が終わった後に着て貰えば方が良かったんじゃない?」
「ふふ、ちゃんと理由がありますよ」
「???」
「おい、着て来たぞ」
「「「「「おおーー!」」」」」
女子全員が同時に感嘆の声を上げる。
予想以上の可愛さ。
前も着て貰ったけど、今回はモフさんの為に作ったオーダーメイドだ。
モフさん女の子verは基本何を着ても似合うけど、特に似合う服を用意して着せれば、こんなにも可愛くなる。
「モフさんには、その姿で王国に行ってもらいます」
「…………は?」




