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屍兎は自由人  作者: 平成兎
第1章 屍兎
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亀と兎

何か白盾が主人公みたいになっちゃった。

「もしもし かめよ かめさんよ

せかいのうちに おまえほど

あゆみの のろい ものはない

どうして そんなに のろいのか」


「なんと おっしゃる うさぎさん

そんなら おまえと かけくらべ

むこうの 小山(こやま)の ふもとまで

どちらが さきに かけつくか」


「どんなに かめが いそいでも

どうせ ばんまで かかるだろう

ここらで ちょっと ひとねむり」

グーグーグーグー グーグーグー


「これは ねすぎた しくじった」

ピョンピョンピョンピョン

ピョンピョンピョン

「あんまり おそい うさぎさん

さっきの じまんは どうしたの」











昔から俺は此の童話が好きだった。

亀と兎。


物事は諦めず取り組めば上手くいく。

そんな素晴らしい教訓を教えてくれる。


実際その通りなのだ。


綺麗事だとか、耳障りの良い言葉だとか、

そんな風に言われがちだが、

ほんの一部を除いて、努力とは方向さえ間違わなければ上手くいくのだ。


だが、其れに必要なのは精神力だ。

綺麗事だと言っている奴等が言う努力とは、

間違った方向の努力。

もしくは、量が足りないのだ。


正しい方向で、正しい形で努力をすれば、大抵の事は上手くいく。


兎と亀の場合、兎が休んでいる所を突いた亀の作戦勝ちとも取れる。


努力が実らないと言っている亀は、兎が見えなくなった時点で諦めたのだ。

そのまま走る精神力がある亀だから、兎に勝てた。


俺は、亀だ。

競う兎はべらぼうに多い。


剣司もその一人だ。

彼奴は、小山じゃなくて、大山を跳ねていく兎だ。


彼奴とは、昔から競ってきたし、今も争ってる。

未だにゴールは見えないし、彼奴は一向にサボらない。


でも、走り方を覚えた亀は、何とか兎にへばりついている。


そして、目の前にいるのは多分、小山どころか、月まで跳ねてしまうような兎。


そして此奴も、今まで競って来た兎と同様サボらない。



上等じゃねぇか。



行ってやるよ。月まで登って、すっぽんみたいにしつこく喰らい付いてやる。




月兎を睨みつける。

すると、あいつは静かに破顔って、

「慎吾……始めろ」

そう言った。




その意味を理解した瞬間。



何だか笑えて来た。


勝手に気圧されて、勝手に威嚇してた。

相手はまだ、始めてすらいなかったのに。

なんか、自分が途轍もなく臆病者に見えた。


まだ何もして来ないのに震えてる自分が。


いや、違う。

その位の心構えで丁度良いんだ。


此奴だけ見て、此奴に震えながら此奴の喉首に噛み付くんだ。


『えぇー、ごほん。

さあ、皆さんお待ちかね!!!

白盾対月兎!!!開幕です!!!!』




さて、せいぜい兎を見失わないように歩くとしますか。


試しに比喩を使って見ましたが、どうでしたでしょうか?


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