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屍兎は自由人  作者: 平成兎
第1章 屍兎
18/75

紅の破顔 蒼の情熱

どうも、ポッ拳ばっかやってます。

平成兎です。

_(:3」z)_


炎が凍る。そんな余りにも非現実的な現象に、その場に居た蒼銀と観客席で見ていた月兎以外、全員が唖然とした。

「ねぇ、モフ君。あれ・・・何?」

「海斗の魔法だな。」

「うん。いや、そうじゃなくて、アレどういう魔法なの?」

「・・・・はぁ・・」

「ねぇ、何で分かってない私が悪いみたいになってるの。

何か納得いかないよ。」

「じゃあ説明するぞ?

海斗がさっき使った技、名前は確か、銀の領域だったか・・・

アレは彼奴を中心に、半径15メートル以内で、彼奴が凍らせたい場所を一瞬で凍らせる魔法だ。」

「それって・・・無敵じゃない?」

「一瞬で凍らせるって言っても、全て同時には出来ない、あくまで局所的な物だ。

それに、凍らせる魔法の持続は持って、1秒ほどだな。

彼奴は相手が突っ込みそうな所に魔法を設置し、一瞬で凍らせているわけだ。」

「いや・・・でも・・・

それってつまり・・・」

「あぁ、彼奴は六本の炎の矛の速度と、領域に入った時点での位置を一瞬で正確に把握し、凍らせる為に魔法を何処に設置すれば良いかを、領域に入って、凍り始めるまでの一瞬で判断し、行動しているということだ。」

それを聞き、灰兎は戦慄する。

「頭おかしいだろ?それは、およそ人が行える領域の外側だ。

飛んで来る物の情報を正確に把握して、その上で何処に置くかを思考して、その後、正確に、同時に、全ての物を凍らせる。

思考速度も、空間認識能力も、反射神経も、ずば抜け過ぎてる。

普通どんだけ反復練習しても、あんなに速くはならねぇよ。」

天才。

月兎が蒼銀の人物像を聞かれた時に必ず最初に言う言葉。

灰兎は改めて、蒼銀が何故、天才と呼ばれるかを理解する。

そして、その天才の技を最も近くで味わった、炎精は、より深く彼が天才であるという事を理解させられる。














(強すぎる!!!)

手が震えている。武者震い?

違う。

此れは・・・・恐怖だ。

甘かった。越えてみせると、、自分ならば越えられると・・・自惚れていた。

壁。

高すぎる壁が其処に居るという事をより深く、再認識させられる。

分かっていた・・・つもりだった。

違った。分かってなどいなかったのだ。

(当然よね。あの兄にが、天才。何て言葉を軽々しく連呼する訳ないわよね。)

圧倒的だ。同じ事をやれと言われても、きっと自分には出来ないだろう。













でも、明らかに絶望的な状況にあって、天才の片鱗を味わって、膝を折ってもおかしくない状況で、

破顔っていた。

こんな状況でも、炎精は、破顔っている。

対抗策が思いついたわけでも、絶望して、逆に笑えてきた訳でもない。

その笑顔は、玩具を見つけた子供の様な笑顔だ。

まだ、自分は強くなれる。

上は見えている。越えるべき壁として。

なら・・・今、越えよう。

いつか越えるのではなく、今。

(やってやろうじゃない!!)

炎精は、銀の領域を打ち破る為に動き出した。















(はぁ、全く。よくもまあ、こよ状況で、破顔うなんて出来るッスよねぇ。)

(全く、この状況で、破顔うか?普通。)

(はぁ・・・此れだけ見せつけても折れないか。分かってたが・・・。)

(絶対防御と言っても良い、海斗先輩の魔法。)

(対抗策がある訳ではないだろうな。)

(こんな状況で、俺を越えれば強くなれるとでも、考えてるんだろうな。

はぁ・・・・まったく・・・。)

(((流石[先輩][[御雷]]の妹)))

隠者も、魔狼も、蒼銀も、呆れ果てる。

彼等は良く知っている。

free online開始当初、何に対しても、無関心だった月兎が、大興奮で、free onlineを買うように全員に言った。

蒼銀と、隠者は買ったが、魔狼は買えず、

本当に残念そうにしている月兎を見て、

魔狼が聞く。

「そんなに、楽しいのか?」

と。

すると、月兎は、蒼銀の力を見た炎精の様に、

「あぁ・・・楽しいし、楽しみだ。」

と、破顔った。













(同じ・・だな。)

同じだ。

やはり兄妹だな。

そう思いながらも、蒼銀は、一切の警戒を怠らない。

御雷と同じと言う事は、

紅音もまた、真性の怪物なのだろう。

御雷は、この技を一度見て、即理解し、攻略した。

その時、蒼銀は、今の炎精の立場だったのだろう。

場所が平地で、剣士の方が有利。

接近戦では、不利。

その他にも言い訳は幾らでも思いつくだろう。

だが、蒼銀は理解している。

たとえどんな状況で戦おうと、

戦闘に於いて月兎には、敵わない。

剣士としての腕は達人という言葉がそのまま似合う腕だ。

身体を動かす技術は彼の二つ名の通り、月まで飛び跳ねる程の跳躍という、非現実的な事をやり兼ねない位凄まじい。

だが、其れだけなら戦闘において攻略法を編み出す事が出来る。

が、其れは御雷が唯の達人だったらの話だ。

そうだったなら、少なくとも条件次第では勝っていただろう。

だが、そういう問題ではないのだ。

海斗が御雷には敵わないと思ったのは、、、

彼の闘争心が、異常に強かったからだ。














(要するに、気圧されたんだな。)

氷の魔法を完成させた次の日に彼奴に戦闘を仕掛けた。

当時は水魔法を使っていたから、

水魔法特有の絡め手を警戒する彼奴を容赦無く不意打ちで凍らせた。

彼奴は、一瞬驚き、そして・・・

破顔った。

その後は、体の芯まで凍る前に氷を突き破られ、少しづつ接近され、、負けた。

その後、彼奴は俺の今後の成長が楽しみだと破顔い、そのままソロで狩りに行くと言って走り去っていった。

恐らくアレは、俺の様に向上心でもって成長するんじゃない。

彼奴は強敵と戦うことが、、楽しいのだ。

嗚呼、まだ俺の人生は楽しい事に溢れている。素晴らしい。

そんな気持ち。

其れ等全ては、その楽しい事をより多く楽しむ為の闘争心になっていく。

いや、最初から闘争心なのかもしれないが。

まあとにかく、戦闘に対する心持ちの違いだ。

俺にとって戦闘は魔法を実験する場だ。

メインは魔法の研究であり、戦闘はサブ。

そんな状態で、御雷の闘争心剥き出し状態には勝てないのは当然の事だ。




だが・・

(今は違う。)

今は・・・勝つ。

今だけは勝つ。

同じ魔法職として、同じエルフとして、

そんなちっぽけな対抗心だ。

だが、、、俺が心から本気になる理由には、其れで十分だ。

(我ながらアホらしい意地だが、、、)

同じ魔術士として、負けてやるわけにはいかないんだよ。







(お、やる気になったみたいだな。)

海斗は基本的に魔法の研究以外を本気でやらない。

最初は興味津々だが、直ぐ理解し、其れで終わり。

大抵の事が無気力でも出来てしまうその才能が、そういう性格を加速させている。

だから珍しいのだ。

珍しいというより、初めてだ。

彼奴が、あんな目をするのは。

「おぉ。チルトくん何だか凄い本気っぽいね。」

「あぁ・・確かにありゃ本気だな。

気迫スゲェし。」

「まあ、でも。

ヒノコちゃんも負けてないみたいだけど。」

そう言って、灰トは苦笑いを浮かべる。

苦笑いしたくなる気持ちも分かる。

今の紅音は、此れでもかって言うくらい闘争心剥き出しだ。

「何だか今の紅音ちゃん。

強い奴と戦ってる時のモフ君にそっくりだよ。」

「いやいや、にてないにてない。」

俺はあんな悪魔みたいな顔はしてないぞ。

(自覚ないんだ。

其れにしても・・・

流石は兄妹だなぁ。本当にそっくりだよ。)

灰トが、何だか羨ましそうに紅音を見る。

「??どうした?」

「ううん!!何でもない!」

「??そうか?なら良いが。」

大丈夫そうだし、まあ良いか。


さて・・・どうなるかねぇ。

紅音は闘争心。海斗は対抗心。

何方も同じくらい勝ちたいのだろう。

精神面では差は無し。

勝敗を分けるのは、実力と運だろうな。

何方が勝ってもおかしくないが、

どうなるのやら。













その場に居る全ての者が、魔術士二人に注目する。

時間にすれば、数瞬。

だが、その数瞬は異常な程長く感じる。

そして・・・異常に長い数瞬の後、二人は一度目よりも強い意欲を持って

観客達は一度目よりも高い興奮を持って










二度目の紅と蒼の激突が起こる。



此の小説脳筋しか居ねえな_(:3」z)_


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