親の最期と流れる血
説明回です
地の長ったらしい文は読まなくても意味はわかります
「…侮辱?それに、あの二人が殺されたとは知らなかった…」
呆然とした雰囲気を出される人たち。この場に居る全ての人がそうなった事でしょう。
「少輔次郎様。あれらが隠したのです。有名な二人の血を引く私を政略結婚の駒として使い、私諸共殺す事で、その家の実権を握ろうとしたのです」
「…え?まさか……」
妙玖様が、口に手を当てながら恐れるように、訪ねてこられた。私も認めたくないもの。
「そのまさかですよ。毛利様が選ばれたのです。ですから、このお話を無かった事にして下さい!この話は、毛利家に何の得もございません!ですので、又四郎様には、良いお話があったと言う事でよろしくお願いします!」
手をついて頭を下げる。空気が一瞬で重くなった。
「それは、無理な相談だね」
堅い声を発せられたのは、少輔次郎様。そう、こう簡単には、話が通るわけがない。これは、私の家の事。責任を持って、命をかけて始末しなければならない。
「今、姫の話を認めてしまえば、姫はその命とともに消える気だろう?」
「!?」
まさか、そこまで気付かれていらしたとは。流石、謀略に長けているお方。わたしの考えぐらい直ぐに見破れるだろう。
「幸成には、特にお世話になったんだよ。そのお嬢さんを死なしてしまえば、幸成に怒られる。なら、姫を受け入れ、姫を正当に扱わなかったとして、領地を奪い取ってしまえばい良いじゃないか」
「しかし…」
「えぇ!それなら安心だわ!あの二人の娘さんで、これだけ頭の回転が早ければ文句無しだわ!ふふっ!蘭ちゃんを迎える準備しなくちゃ!」
踊るように飛び出していかれた妙玖様。……。
「よろしいのですか?」
「良いとおもいますが?」
良いとおもいますがって、何て他人事な!
「今、この場において、私の相手となるのは貴方様なんですよ!理解してます!?又四郎様!」
「理解しているよ。だからこそ、興味がある君が良いんだ」
又四郎様が顔を近づけてこられて、思わず後ずさる。ほら、そこ!笑ってないで助けて!父親でしょ!きれいな顔は、凶器になるの!両親を知っているんだから、知ってるでしょ!
「はいはい。落ち着きなさい隆景。蘭ちゃんが、殺気を向けてるからね」
「と言うよりですね!私の、何に興味を持たれたのですか!」
「勿論。君の血筋だよ」
その言葉とともに、冷たい空気が訪れた。思わず、少輔次郎様を見ると、無言で首を振られる。…となると、後1人しか居ない。
「景次かい?」
「聞いたら教えてくれましたよ。父上」
「成る程。では本人も迎えて話しましょう。少輔次郎様刀貸して下さい。今天井にいる奴に投げるんで」
「いやいや、怖いから!ねっ!落ち着こうよお嬢!」
慌てて、何処からか現れたのは、黒い髪を伸ばした、平凡な顔の持ち主。そう、何故かこいつは髪を伸ばしている。いま、この場において叩き切ってあげましょうか?
「お嬢。落ち着こうよ!」
「黙りなさい貴方も男なら黙ってなげられてなさい」
「怖いから、呼吸しよう!ほら、刀を置いて!」
「その通り。落ち着こう。ね、蘭」
又四郎様が笑顔で微笑まれる。だからね、美しい顔を近づけないで!
「お嬢。貴女って…」
「今すぐ」
「ごめんなさい!黙ります!!」
良い年した大人が子供に負けるとかどんな構図よ。良いのか、それで?
「んで、蘭ちゃんは、毛利家忍頭とどんな関係なのかい?」
「その、男が今どんな名前を持っているか知りませんけど、一つだけ言わせてもらうなら。その男は、一色御幸。源氏物語の題名となった名前を持つ、私の父様の弟ですよ」
「えっ」
「えっ?」
「「えっ~!」」
多分、この方々が、声を合わせられることは無いんだろうな~と現実逃避をしたい。生憎、いい年した方に邪魔されてるが。言わないほうが悪いんだもんね。
「一色だったの!?」
「本当に知らなかったんですか!!知ってて、忍頭にしてるのとばかり!!」
「知らないよ!一色って一応皇族の血をひいているじゃないか!」
「しかし、一番血が濃いのは、蝶様だろ?」
いい年した二人の争いをとめたのは、又四郎様の爽やかな声。素晴らしい声だね~。
「蝶様は、多分胡蝶様とおっしゃられるのだろう。胡蝶といえば、源氏物語の題名はもちろん、昔から続く舞の名として有名。そうだな、蘭?」
だ〜か〜ら、良い顔は凶器なの!素晴らしい声で囁かないでよ!
「はい、そうですよ。私は一色家の跡取り息子、一色幸成と、現天皇の姉である胡蝶の娘ですよ」
「「えっ?」」
「待って下さい、又四郎様!知らなかったのに、おっしゃられたのですか!?凄いです!!」
「いやぁ~なんとなく?」
「じゃあ、あの二人はどうやって殺されたんだい?あれは、あくまで叔父叔母なのだろう?」
少輔次郎様が聞いた来られた言葉に、思わず御幸叔父様と、私の雰囲気が黒くなった。…叔父様?私よりこわいですよ?今の上司の少輔次郎様が、顔を引きつらせてますよ~。
「知りたいかい?知りたいのかい?元就?」
「景次。あれは、本当になにをしでかしたのかい?気を操れる君がそこまで不安定になるなんて…」
「申し訳ございません、少輔次郎様。叔父様は怒りで冷静では無いので説明させていただきます」
「っ蘭!止めなさい!」
「いいえ。やはり当事者が言うべきでしょう」
確かに、あの人は私の血縁です。しかし、あれ達は父様や叔父様のご兄弟では無く、父の父のご兄弟のご子息なのです。
本人は、生まれてすぐそちらに預けられたと言い張っておりますが、父様や叔父様とその弟である、現在の一色家の当主の朱雀叔父様の三名を生み、父様の母はなくなっております。父様は26歳。御幸叔父様は22歳。朱雀叔父様は20歳です。
そして、本人たちが言うのは24歳。確かに、父様と御幸叔父様が生まれる時に、年月があいておりますが丁度、戦が起き、ちょうど家に居られなかったはずなのです。
そして、父様の母ですから、子が好きでして、必ず自分で育てるはずなのです。ですから、例え、自らの夫のこで無かったとしても、自ら腹を痛め産んだ子ですので。必ず自分を育てるはずです。
ですから、あれらの本来の生みの親に確認を取りましたところ、やはり、自ら産んだときました。紛れもない自分たちの子だと。
では、なにがあれらの思い込みを産んだか。
やはり、それは本家と分家の違いでしょう。あれらの周りに置かれた教育者は、血を最優先するものたちばかりでした。
彼の者達は、自分が分家の子を教えることを認められず、あれらを本家の子が分家に預けられたと思い込み、自らを思い込ませていました。
ですので、それらの教育をうけたあれらは、自らを本家。つまり、父様と御幸叔父様の姉弟と思いこむようになっていしました。
ふぅっと一息つく。これが。あいつらが狂った理由。今からが、この話の本題。母様達が殺され、侮辱されている意味。
「そして、あいつらは城に乗り込んできました。叔父叔母という名に、城の者が私を紹介するとあいつらは、私を人質にして母様と父様の目の前に連れていきました。そこで、あいつらは、『私の身柄と引き換えに城を引き渡す』事を要求します。父様と母様を一瞬動揺し、その隙をつき何処からか現れた男が、二人に襲いかかりました」
「もういい!私が話すよ。その後、蝶姉さんは男に襲われ、兄さんはその光景を見せられ続けた。助けようにも蘭が居るから動けない。そして、姉さんはそのまま死んだ。兄さんも、男たちに刃で刺され死んだ。
そして、あれらは『蝶姉さんが、男を呼んでいた。其れに怒った兄さんが、蝶姉さんを殺し、男たちも殺そうとしたが、逆に殺された』と話を作り上げたんだ。
勿論、この話は誰も信じなかった。だが、陰では、あの二人は侮辱されている。それが、蘭が言った言葉の意味だよ」
因みに、御幸は、『ぎょうこう』が通り名で、『みゆき』が諱です。
朱雀も諱です。




