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胡蝶蘭の花言葉は…  作者: 湊 紅菜
3/6

親の最期と流れる血

説明回です


地の長ったらしい文は読まなくても意味はわかります

「…侮辱?それに、あの二人が殺されたとは知らなかった…」


 呆然とした雰囲気を出される人たち。この場に居る全ての人がそうなった事でしょう。


少輔次郎しょうのじろう様。あれらが(・・・)隠したのです。有名な二人の血を引く私を政略結婚の駒として使い、私諸共殺す事で、その家の実権を握ろうとしたのです」

「…え?まさか……」


 妙玖様が、口に手を当てながら恐れるように、訪ねてこられた。私も認めたくないもの。


「そのまさかですよ。毛利様が選ばれたのです。ですから、このお話を無かった事にして下さい!この話は、毛利家に何の得もございません!ですので、又四郎様には、良いお話があったと言う事でよろしくお願いします!」


 手をついて頭を下げる。空気が一瞬で重くなった。


「それは、無理な相談だね」


 堅い声を発せられたのは、少輔次郎しょうのじろう様。そう、こう簡単には、話が通るわけがない。これは、私の家の事。責任を持って、命をかけて始末しなければならない。


「今、姫の話を認めてしまえば、姫はその命とともに消える気だろう?」

「!?」


 まさか、そこまで気付かれていらしたとは。流石、謀略に長けているお方。わたしの考えぐらい直ぐに見破れるだろう。


幸成ゆきなりには、特にお世話になったんだよ。そのお嬢さんを死なしてしまえば、幸成に怒られる。なら、姫を受け入れ、姫を正当に扱わなかったとして、領地を奪い取ってしまえばい良いじゃないか」

「しかし…」

「えぇ!それなら安心だわ!あの二人の娘さんで、これだけ頭の回転が早ければ文句無しだわ!ふふっ!蘭ちゃんを迎える準備しなくちゃ!」


 踊るように飛び出していかれた妙玖様。……。


「よろしいのですか?」

「良いとおもいますが?」


 良いとおもいますがって、何て他人事な!


「今、この場において、私の相手となるのは貴方様なんですよ!理解してます!?又四郎様!」

「理解しているよ。だからこそ、興味がある君が良いんだ」


 又四郎様が顔を近づけてこられて、思わず後ずさる。ほら、そこ!笑ってないで助けて!父親でしょ!きれいな顔は、凶器になるの!両親を知っているんだから、知ってるでしょ!


「はいはい。落ち着きなさい隆景たかかげ。蘭ちゃんが、殺気を向けてるからね」

「と言うよりですね!私の、何に興味を持たれたのですか!」

「勿論。君の血筋だよ」


 その言葉とともに、冷たい空気が訪れた。思わず、少輔次郎様を見ると、無言で首を振られる。…となると、後1人しか居ない。


景次かげつぐかい?」

「聞いたら教えてくれましたよ。父上」

「成る程。では本人も迎えて話しましょう。少輔次郎様刀貸して下さい。今天井にいる奴に投げるんで」

「いやいや、怖いから!ねっ!落ち着こうよお嬢!」


 慌てて、何処からか現れたのは、黒い髪を伸ばした、平凡な顔の持ち主。そう、何故かこいつは髪を伸ばしている。いま、この場において叩き切ってあげましょうか?


「お嬢。落ち着こうよ!」

「黙りなさい貴方も男なら黙ってなげられてなさい」

「怖いから、呼吸しよう!ほら、刀を置いて!」

「その通り。落ち着こう。ね、蘭」


 又四郎様が笑顔で微笑まれる。だからね、美しい顔を近づけないで!


「お嬢。貴女って…」

「今すぐ」

「ごめんなさい!黙ります!!」


 良い年した大人が子供に負けるとかどんな構図よ。良いのか、それで?


「んで、蘭ちゃんは、毛利家(家の)忍頭とどんな関係なのかい?」

「その、男が今どんな名前を持っているか知りませんけど、一つだけ言わせてもらうなら。その男は、一色いっしき御幸ぎょうこう。源氏物語の題名となった名前を持つ、私の父様の弟ですよ」

「えっ」

「えっ?」

「「えっ~!」」


 多分、この方々が、声を合わせられることは無いんだろうな~と現実逃避をしたい。生憎、いい年した方に邪魔されてるが。言わないほうが悪いんだもんね。


「一色だったの!?」

「本当に知らなかったんですか!!知ってて、忍頭にしてるのとばかり!!」

「知らないよ!一色って一応皇族の血をひいているじゃないか!」

「しかし、一番血が濃いのは、蝶様だろ?」


 いい年した二人の争いをとめたのは、又四郎様の爽やかな声。素晴らしい声だね~。


「蝶様は、多分胡蝶様とおっしゃられるのだろう。胡蝶といえば、源氏物語の題名はもちろん、昔から続く舞の名として有名。そうだな、蘭?」


 だ〜か〜ら、良い顔は凶器なの!素晴らしい声で囁かないでよ!


「はい、そうですよ。私は一色家の跡取り息子、一色幸成と、現天皇の姉である胡蝶こちょうの娘ですよ」


「「えっ?」」

「待って下さい、又四郎様!知らなかったのに、おっしゃられたのですか!?凄いです!!」

「いやぁ~なんとなく?」

「じゃあ、あの二人はどうやって殺されたんだい?あれは、あくまで叔父叔母なのだろう?」


 少輔次郎様が聞いた来られた言葉に、思わず御幸みゆき叔父様と、私の雰囲気が黒くなった。…叔父様?私よりこわいですよ?今の上司の少輔次郎様が、顔を引きつらせてますよ~。


「知りたいかい?知りたいのかい?元就?」

「景次。あれは、本当になにをしでかしたのかい?気を操れる君がそこまで不安定になるなんて…」

「申し訳ございません、少輔次郎様。叔父様は怒りで冷静では無いので説明させていただきます」

「っ蘭!止めなさい!」

「いいえ。やはり当事者が言うべきでしょう」


 確かに、あの人は私の血縁です。しかし、あれ達は父様や叔父様のご兄弟では無く、父の父のご兄弟のご子息なのです。

 本人は、生まれてすぐそちらに預けられたと言い張っておりますが、父様や叔父様とその弟である、現在の一色家の当主の朱雀すざく叔父様の三名を生み、父様の母はなくなっております。父様は26歳。御幸叔父様は22歳。朱雀叔父様は20歳です。

 そして、本人たちが言うのは24歳。確かに、父様と御幸叔父様が生まれる時に、年月があいておりますが丁度、戦が起き、ちょうど家に居られなかったはずなのです。

 そして、父様の母ですから、子が好きでして、必ず自分で育てるはずなのです。ですから、例え、自らの夫のこで無かったとしても、自ら腹を痛め産んだ子ですので。必ず自分を育てるはずです。

 ですから、あれらの本来の生みの親に確認を取りましたところ、やはり、自ら産んだときました。紛れもない自分たちの子だと。


 では、なにがあれらの思い込みを産んだか。

 やはり、それは本家と分家の違いでしょう。あれらの周りに置かれた教育者は、血を最優先するものたちばかりでした。

 彼の者達は、自分が分家の子を教えることを認められず、あれらを本家の子が分家に預けられたと思い込み、自らを思い込ませていました。

 ですので、それらの教育をうけたあれらは、自らを本家。つまり、父様と御幸叔父様の姉弟と思いこむようになっていしました。


 ふぅっと一息つく。これが。あいつらが狂った理由。今からが、この話の本題。母様達が殺され、侮辱されている意味。


「そして、あいつらは城に乗り込んできました。叔父叔母という名に、城の者が私を紹介するとあいつらは、私を人質にして母様と父様の目の前に連れていきました。そこで、あいつらは、『私の身柄と引き換えに城を引き渡す』事を要求します。父様と母様を一瞬動揺し、その隙をつき何処からか現れた男が、二人に襲いかかりました」

「もういい!私が話すよ。その後、蝶姉さんは男に襲われ、兄さんはその光景を見せられ続けた。助けようにも蘭が居るから動けない。そして、姉さんはそのまま死んだ。兄さんも、男たちに刃で刺され死んだ。

 そして、あれらは『蝶姉さんが、男を呼んでいた。其れに怒った兄さんが、蝶姉さんを殺し、男たちも殺そうとしたが、逆に殺された』と話を作り上げたんだ。

 勿論、この話は誰も信じなかった。だが、陰では、あの二人は侮辱されている。それが、蘭が言った言葉の意味だよ」

因みに、御幸は、『ぎょうこう』が通り名で、『みゆき』が諱です。

朱雀も諱です。

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