相手の家にて
体を刺されるような視線が、先程から私に向けられている。勿論、この部屋には誰もいない。これも試されているのか。それとも、単純な疑問か。はたまた…。やはり、最後の可能性が一番ありそうだな。
「お嬢さん、時間がかかってしまったよ。すまない」
「こちらこそ、急にお邪魔して申し訳ありません。少輔次郎様」
音も無く静かにいらっしゃったのは、毛利少輔次郎様。黒い髪で鼻筋が通り、切れ長の黒い目に強い光を灯していらっしゃる。この御方は毛利家の当主であらされる。文も無しに、お会い出来るような方ではないのだ。
「お嬢さん。この度の話」
「どうぞ!お断り下さいませ!貴方様に、得になるわけではないのです!」
私が声を荒げたことに、感情がでないと言われてる方の表情が変わった。唖然とした表情で、呆然と私を見つめている。
「ですから、言ったじゃないですか。あなた」
「その、お嬢さんに悪意は無いと。あるのは、後悔と親族に対する憎しみだけだと」
軽やかな声とともに現れた女性と、私と同い年のような男の人。
女性は、茶色い美しい髪を、伸ばしている。その笑顔は、見惚れてしまうものであり、それでいて知性を感じさせる御方だ。
男の人は、茶色いと黒が混じった髪が美しい人だ。顔は、整っていると言われている少輔次郎様よりも整っている。勿論、知性を感じさせる気だ。
私の予想が外れていなければ、御二方だと思うのだが、口に出して良いものか。
「妙玖様と又四郎様ですか…」
「本当に、あれらとは大違いね」
私の言葉に、妙玖様が溜息を吐かれる。あれらとは、叔父叔母のことだろう。私も叔父叔母とよびたくないのだが…。
「私は、母様と父様に育てられたので。あの人達とは、本当ならば口を聞きたくも無いのですがね」
「それは、君に流れる血がそうしているんだね。蘭さん」
少輔次郎様の声に空気が凍った。多分、話が耳に入っていたすべての人間に声が聞こえたことだろう。
「…君は覚えてないかもしれないが、会っているんだよ。蝶様と、幸成…いや、幸成が生きていた頃にね」
「待って!あなた…蝶様と幸成様ってもしかして…」
「へぇ。まさか、あの御二方の娘様でしたか」
御三方の言葉に、思わず息を吐き出す。母様と父様を知っておられて、私でさえ、知られているとは。
「流石ですね。確かに、私こそ、蝶と幸成の一人娘、蘭でございます。紅姫と呼ばれております。どうぞ、蘭とお呼びください」
一人称と、蘭呼びに御三方の眉が上がる。
「良いのかい?諱呼びは親しい人間にしか…」
「あの人達は、親しい人間にしか、私を会わせなかったのです。そして、少輔次郎様には諱を教えているのですから、大丈夫です。あっ、あれらに対して教えておりませんので、ご安心ください」
「…良いのですか?。あれでも、血縁でしょう?」
「大丈夫ですよ、又四郎様。あいつらは、あの悪どもは、
私の親を私の目の前で殺し、尚且つ、死人に対しても侮辱したのですよ」
次は、説明回
ですので、主人公がダラダラ語ります




