表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/21

第19話 ダンジョン運営化計画

 ローゼンベルク不動産、応接室。


 ダグラス、アイリス、レオン、ロギ。


 四人が向かい合って座っている。


 ロギは設計図を膝の上に置いたまま、

 腕を組んでいる。


「聞かせてもらおう」


 ダグラスが言った。


「黒龍をどうするつもりだ」


 レオンは資料を広げた。


───────────────────────


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 【黒龍討伐収益】


 最良 3,000,000G

 平均 1,500,000G

 最悪  500,000G


 ※魔石破損・素材損傷・回収失敗含む

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「思ったより安いな」


 ダグラスが眉をひそめた。


「安いです」


 レオンは静かに言った。


 アイリスが首を傾げた。


「?」


 ダグラスも首を傾げた。


「?」


「黒龍だけでは儲かりません」


 沈黙。


「では何で儲ける」


 レオンが次の資料を出した。


───────────────────────


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 【年間基本収益】


 採掘収益    :800,000G

 素材加工収益  :1,200,000G

 解体・精製収益 :700,000G

 ダンジョン運営収益:1,300,000G

 ─────────────

 合計      :4,000,000G

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「ダンジョン運営収益?」


 ダグラスが資料を指差した。


「それは何だ」


「本題です」


 レオンは続けた。


「皆さんは」

「ダンジョンを攻略しています」


「ああ」


「ですが」


 少し間を置いた。


「運営していません」


───────────────────────


 資料が追加された。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 【運営収益の内訳】


 素材保管サービス

 解体代行

 加工設備貸出

 宿泊施設利用料

 訓練施設利用料

 他クラン受入手数料

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「これらを整備します」


 ダグラスが資料を見た。


「他所の冒険者を入れるのか」


「入れます」


「危なくないか」


「危ないです」


「ならなぜ」


「利益になるからです」


 ダグラスが少し笑った。


「お前はそういうやつだな」


「仕事ですので」


───────────────────────


 次の資料。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 【組織改革案】


 第一軍 :精鋭討伐部隊

 第二軍 :育成・中堅部隊

 育成部隊:新人専用部隊

 支援部隊:解体・加工・事務

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「軍隊か?」


「クランです」


 ロギが吹き出した。


 レオンは続けた。


「現在は全員が同じ仕事をしています」


「問題あるか?」


「育ちません」


 ダグラスが黙った。


「A級四人がC級二十七人と同じ依頼を受けています」

「これでは力が分散します」


「では黒龍はどう使う」


「利用します」


 アイリスが反応した。


「利用?」


「はい」


 レオンは資料を指差した。


「第一軍の加入条件を」

「黒龍討伐参加とします」


 ダグラスが目を細めた。


「……昇格試験か」


「はい」


 アイリスが少し笑った。


「いい」


「黒龍が」


 レオンは続けた。


「ブランドになります」

「採用の理由になります」

「昇格試験になります」

「育成目標になります」

「他クランとの差別化になります」

「そして集客の看板になります」


 ダグラスはしばらく資料を見ていた。


「つまり」


「黒龍がいるから強いクランになれる」

「ということです」


───────────────────────


 ロギが立ち上がった。


 設計図を机に広げた。


 大きな図面だった。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 クラン本部(第一期)

 58人対応

 将来100人超対応設計

 ━━━━━━━━━━━━━━━


 食堂。

 宿舎。

 加工棟。

 事務棟。

 倉庫。

 解体場。

 来客区画。

 監視室との接続通路。


 ダグラスが固まった。


「でかいな」


「狭い」


 ロギが即答した。


「なんでだ」


「ワシが低いからじゃ」


 ダグラスが振り返った。


「それは関係あるか?」


「ない」


 レオンが静かに言った。


「将来の百人規模を想定しています」

「今は大きく見えますが」

「五年後には足りなくなります」


 ロギがさらに図面の端を指差した。


「将来増築区画もある」


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 第二加工棟(増築予定)

 職員宿舎(増築予定)

 来客宿舎(増築予定)

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「完全に企業じゃないか」


「クランです」


 ロギが言った。


「でかいクランじゃ」


───────────────────────


 レオンが最後の資料を並べた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 【物件価格】

 1,200,000G


 【建築費】

 15,000,000G


 【補助制度】

 討伐拠点整備補助 :500,000G

 新人育成施設補助 :300,000G

 危険区域開発助成 :700,000G

 ─────────────

 助成総額     :1,500,000G


 【実質建築負担】

 13,500,000G

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「一千三百五十万ゴールド……」


 ダグラスが額に手を当てた。


「融資があります」


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 【融資条件】

 ギルド保証付き

 年利:3%

 返済期間:10年

 月額返済:約130,000G

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「払えるか?」


 レオンは次の資料を置いた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 【収支試算】


 年間基本利益 :4,000,000G

 維持費    :▲2,000,000G

 ─────────────

 年間純利益  :2,000,000G


 黒龍収益(臨時・一回あたり)

  最悪 :500,000G

  平均 :1,500,000G

  最良 :3,000,000G


  ※年二回出現

  ※素材損傷・魔石破損リスクあり


 年間総利益

  最悪時:2,500,000G(基本2,000,000G+黒龍500,000G)

  平均時:5,000,000G(基本2,000,000G+黒龍3,000,000G)

  最良時:8,000,000G(基本2,000,000G+黒龍6,000,000G)


 回収期間

  最悪 :約5年

  平均 :約3年

  最良 :約2年

 ━━━━━━━━━━━━━━━


 ダグラスは資料をじっと見ていた。


 しばらく黙っていた。


「思ったより現実的だな」


「はい」


 レオンは頷いた。


「黒龍は臨時収入です」

「本業は運営です」


───────────────────────


 ダグラスが資料を閉じた。


「一つ聞く」


「はい」


「黒龍を二回討伐したら」

「建物代は回収できるか」


 レオンはページをめくった。


「違います」


 次のページを開いた。


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 第二拠点計画(案)

 ━━━━━━━━━━━━━━━


「頭金です」


 沈黙。


 アイリスが小さく言った。


「いい」


 ダグラスが笑った。


「お前らしいな」


 レオンは資料を閉じた。


「ご検討ください」


 ダグラスはしばらく天井を見ていた。


 五十八人のクラン。


 黒龍のいるダンジョン。


 一千万を超える建築費。


 それでも。


「お前」


 ダグラスが言った。


「黒龍を倒す話をしてないな」


「はい」


 レオンは静かに言った。


「育てる話をしています」


 沈黙。


「……やる」


 静かに言った。


「決断が早いですね」


「遅いより早い方がいい」


 ダグラスはレオンを見た。


 ダグラスが立ち上がった。


「契約はいつできる」


「書類の準備に一週間ほどかかります」


「急いでくれ」


 ダグラスはアイリスを見た。


「第一回の討伐」

「全員集める」


「わかった」


 アイリスが頷いた。


「スケジュール組む」


「頼む」


 ダグラスはレオンに向き直った。


「世話になる」


「仕事ですので」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ