第16話 「迷宮管理局 通達集」
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迷宮管理局 通達集 第一版
発行:迷宮管理局 法令解釈部
配布:登録不動産業者・冒険者ギルド・各所轄局
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■ 発刊にあたって
本通達集は、ダンジョン関連法令の運用において
実務上問題となった事例に対する
迷宮管理局の公式解釈をまとめたものである。
法令に明記されていない事項については
本通達集を参照されたい。
なお、通達は随時更新される。
最新版は管理局窓口にて配布している。
迷宮管理局長官
トーマス・グレイン(代理)
※グレイン主任が「面倒だから俺が書いた」と一言添えた。
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迷宮管理局 通達第14-3号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第14年 第3月 第1日
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【件名】
グリフォンの法的区分について
【通達内容】
グリフォンは魔獣飼育法上「大型飛行魔獣」として扱う。
「家畜」には該当しない。
ただし以下の条件を満たす場合、
一般住宅区域での飼育を認める。
一、迷宮管理局への登録が完了していること
二、飼育者が管理責任を負うことを誓約していること
三、隣接物件所有者への事前通知が完了していること
【背景】
「グリフォンは大型の鳥である」として
家畜扱いを求める申請が複数あったため、
本通達により区分を明確化した。
【備考】
グリフォンは鳥ではない。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第17-4号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第17年 第4月 第1日
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【件名】
愛玩目的スライムの魔物密度算入について
【通達内容】
スライムを愛玩目的で飼育している場合、
当該スライムを魔物密度の算入対象から除外することを認める。
ただし以下の条件を満たすこと。
一、飼育数が一フロアあたり五体以下であること
二、愛玩目的であることを申告していること
三、逸走防止措置を講じていること
【背景】
「スライムをペットとして飼っているだけで
魔物密度超過として違反通知が来た」
との苦情が多数寄せられたため、
本通達により運用を明確化した。
【備考】
五体を超えた場合は速やかに申告すること。
申告なく増殖した場合は通常の魔物密度規定を適用する。
なお、スライムは繁殖が早い。
油断しないこと。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第22-1号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第22年 第1月 第15日
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【件名】
ドラゴンによる求婚失敗火災の
災害区分について
【通達内容】
ドラゴンによる求婚失敗に起因する火炎放射については、
自然災害として扱わない。
所有者の管理責任の範囲と認定する。
よってドラゴン火災保険の補償対象外とする。
【背景】
求婚失敗を「天災」として保険請求する案件が
前年に四件発生した。
保険会社との協議の結果、本通達を発行する。
【事例概要】
第一件:雄ドラゴンが隣の牧場の雌に求婚し、
断られた際に放ったブレスが納屋を全焼。
「断られたのは天災だ」との主張は認めない。
第二件:求婚のためのブレスが
誤って宿屋に直撃。
「愛の表現である」との主張は認めない。
第三件:詳細は割愛する。
第四件:詳細は割愛する。
【備考】
ドラゴンの求婚行動を制止することは困難であることは理解する。
しかし保険とは別の問題である。
飼育者は日頃からドラゴンの感情管理に努めること。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第22-4号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第22年 第4月 第1日
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【件名】
酒酔い状態のドラゴンによるブレス被害の
免責区分について
【通達内容】
酒酔い状態のドラゴンによるブレス被害は
ドラゴン火災保険の免責事項とする。
ただし、所有者がドラゴンに飲酒を促した場合、
または飲酒の機会を故意に設けた場合は
所有者責任として補償対象外に加え損害賠償の対象とする。
【背景】
通達第22-1号の発行後、
「求婚ではなく酩酊によるものだ」として
保険請求する案件が一件発生した。
本通達はその対応として発行する。
【備考】
ドラゴンに酒を飲ませないこと。
理由を説明する必要はないと考えるが、
念のため記載する。
ドラゴンが酔うと判断力が低下する。
ブレスの制御も困難になる。
当然である。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第25-2号
発行:迷宮管理局 競売案件管理部
施行:第25年 第2月 第1日
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【件名】
ゴブリン自然発生時の
初期対応費用補助について
【通達内容】
賃貸ダンジョンにおいてゴブリンが自然発生した場合、
発見から七日以内に管理局へ報告した借主に対し、
初期駆除費用の半額を補助する。
【申請方法】
一、発見日時・発見数を記録すること
二、七日以内に管理局窓口へ報告書を提出すること
三、駆除完了後に領収書を提出すること
【備考】
七日を超えた場合は補助の対象外となる。
また、借主の管理不備による繁殖は対象外とする。
「知らなかった」は理由にならない。
本通達の周知を徹底されたい。
なお本通達の存在を知らず
全額自己負担した案件が複数確認されている。
迷宮管理局 競売案件管理部
(担当:トーマス・グレイン)
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迷宮管理局 通達第31-1号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第31年 第1月 第1日
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【件名】
ダンジョン内農地の
農業補助適用について
【通達内容】
ダンジョン内に設置した農地は、
地上農地と同等の農業補助制度の対象とする。
ただし以下の条件を満たすこと。
一、迷宮管理局への用途変更届が提出されていること
二、農業用途として登記されていること
三、栽培作物・栽培面積の申告が完了していること
【背景】
「地上ではなくダンジョン内だから補助が出ない」
との判断が各所轄局でばらついていたため、
本通達により全国統一の解釈を示す。
【備考】
ダンジョン内農業は今後拡大が見込まれる分野である。
積極的に支援する方針とする。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第35-8号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第35年 第8月 第1日
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【件名】
ダンジョン内鍛冶工房への
排煙規定の適用について
【通達内容】
鍛冶工房がダンジョン内に設置される場合、
地上建築基準法の排煙規定は適用しない。
ただし迷宮内換気規定に従うこと。
具体的には以下の措置を講じること。
一、魔素循環設備による換気の確保
二、煙の他フロアへの流入防止措置
三、年次点検の実施と管理局への報告
【背景】
「ダンジョン内工房に地上と同じ排煙設備を
設置するのは物理的に不可能」との申請が
複数あったため、本通達により解釈を明確化した。
【備考】
ダンジョン内の換気は魔素循環で代替できる場合が多い。
ただし設備の適正な維持管理を怠らないこと。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第40-3号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第40年 第3月 第1日
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【件名】
スライムを用いた清掃業の
業種区分について
【通達内容】
スライムを用いた清掃・洗浄業は
魔獣飼育業には該当しない。
清掃業として届け出ること。
ただし以下の措置を講じること。
一、業務中のスライムの逸走防止措置
二、作業終了後の頭数確認
三、依頼先への事前説明
【背景】
清掃目的のスライム使用が「魔獣飼育」として
取り締まりを受けた案件が発生したため、
本通達により区分を明確化した。
【備考】
スライムは清掃用途として優秀である。
過度な規制は産業の発展を阻害する。
積極的な活用を推奨する。
なおスライムを清掃中に紛失した場合の
対処法については別途通達にて定める予定である。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第44-1号
発行:迷宮管理局 法令解釈部
施行:第44年 第1月 第1日
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【件名】
長期継続借主への
優先購入権付与について
【通達内容】
三年以上継続して更新している賃貸ダンジョンについては、
借主に優先購入権を付与することができる。
優先購入権の行使条件は以下の通りとする。
一、三年以上の継続更新実績があること
二、賃料の滞納がないこと
三、重大な契約違反がないこと
四、売却決定から三十日以内に意思表示すること
【背景】
長期入居者が立退きを求められる案件が増加したため、
入居者保護の観点から本通達を発行する。
【備考】
長期入居者はダンジョンに対して
独自の運用ノウハウと愛着を持つことが多い。
その権利を保護することは
ダンジョンの安定的な活用につながる。
迷宮管理局 法令解釈部
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迷宮管理局 通達第52-6号
発行:迷宮管理局 観光業振興部
施行:第52年 第6月 第1日
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【件名】
観光登録ダンジョンにおける
モンスター討伐体験の業種区分について
【通達内容】
観光登録ダンジョンにおける
モンスター討伐体験サービスは、
冒険者依頼ではなく観光業として分類する。
ただし以下の条件を満たすこと。
一、安全管理責任者を配置すること
二、参加者への事前説明と同意書の取得
三、F級以下の魔獣のみを体験対象とすること
四、観光業登録の完了
【背景】
「討伐体験を冒険者依頼として処理した場合、
ギルド手数料が発生するか」との問い合わせが
複数あったため、本通達により区分を明確化した。
【備考】
スライム討伐体験は特に人気が高い。
子供向けプログラムとしての活用も期待される。
なお「ゴブリン討伐体験」の申請については
安全管理上の懸念から現在審査中である。
迷宮管理局 観光業振興部
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迷宮管理局 通達第61-4号
発行:迷宮管理局 安全管理部
施行:第61年 第4月 第1日
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【件名】
六名以上が居住する
共同生活施設の安全設備について
【通達内容】
居住人数が六名を超える共同生活施設については、
以下の安全設備の設置を義務付ける。
一、消火設備(各フロアに一基以上)
二、避難経路の複数確保(二経路以上)
三、緊急時連絡手段の設置
四、安全管理責任者の選任
【背景】
冒険者パーティーの大型化に伴い、
六名以上が共同生活するダンジョン拠点が増加した。
安全基準の明確化が必要と判断し、
本通達を発行する。
【備考】
六名以下の場合は推奨事項とする。
ただし設置することを強く推奨する。
なお本通達の適用を受ける施設の設計については、
登録設計士による確認を推奨する。
迷宮管理局 安全管理部
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迷宮管理局 通達第63-2号
発行:迷宮管理局 税務部
施行:第63年 第2月 第1日
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【件名】
相続取得ダンジョンの
放置ダンジョン税免除について
【通達内容】
相続により取得したダンジョンについて、
相続から三年以内に活用を開始した場合、
放置ダンジョン税を遡及して免除する。
【申請条件】
一、相続登記が完了していること
二、三年以内に活用を開始したこと
三、活用開始から六か月以内に申請すること
【背景】
相続ダンジョンの活用を促進するため、
税負担の軽減措置を設ける。
【備考】
「相続したが何をしていいか分からなかった」
という案件が多数見受けられる。
不動産業者への相談を推奨する。
迷宮管理局 税務部
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■ 付録 よくある問い合わせ
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Q. スライムが勝手に増えたのですが、これは自然発生ですか?
A. スライムは自然発生する。
ただし管理義務は借主にある。
増えすぎた場合は速やかに対処すること。
「自然に増えた」は免責理由にならない。
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Q. ゴブリンが突然大量発生しました。
隣のダンジョンから来たと思うのですが。
A. 坑道接続の有無を確認すること。
坑道接続が確認された場合は
隣接ダンジョン所有者との協議を行うこと。
不明な場合は管理局へ相談されたい。
※担当:競売案件管理部 グレイン主任
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Q. ドラゴンが隣の畑を焼きました。
保険は使えますか?
A. 使える場合と使えない場合がある。
詳しくは通達第22-1号・第22-4号を参照されたい。
求婚が原因の場合は使えない。
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Q. 「使い魔可」物件にグリフォンは含まれますか?
A. グリフォンは使い魔ではなく大型飛行魔獣である。
別途申請が必要となる。
通達第14-3号を参照されたい。
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Q. 魔王が侵入して建物が壊れました。誰が直しますか?
A. 天災扱いのため原則として誰も負担しない。
ただし借主が魔王を招いた場合は借主負担となる。
詳細はダンジョン賃貸借法第10条を参照されたい。
なおこのような案件は実務上ほぼ発生しない。
発生した場合は管理局へ直接相談されたい。
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■ あとがき
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本通達集の編集にあたり、
実務上の問い合わせ対応に多くの時間を要した。
特にドラゴン関連の通達については
毎年新たな問題が発生している。
「求婚失敗」「酒酔いブレス」に続き
来年はどのような事案が発生するか、
担当者一同、戦々恐々としている。
本通達集が実務の一助となれば幸いである。
迷宮管理局 法令解釈部
(本通達集の作成を命じられた担当者より)




