第16話『夢仲間到着』
「キーツ、誰かと待ち合わせてる?」
「ううん、ふらっと立ち寄っただけだけど」
「……ポール、誰と待ち合わせてるの?」
「わからない? 同じ夢を語り合うのに、面子が二人ほど足りないでしょ。ほら、来た!」
トゥーラとキーツがポールの視線を追うと、カフェのガラス窓の向こを見慣れたたがたいのいい男が通り過ぎた。家族連れだ。
ちょっと待っていると、すぐに戻ってきて店内に入り、三人に向かって手を振った。
「やぁ、みんな。お揃いでどうしたの?」
ナタルとその家族だった。
黒髪をアップにした甘めのファッションの奥さんと、スイーツみたいにデコレートした娘が手を繋いで後ろに控えている。
「おう、ナタルもお揃いで買い物かい?」
ポールが笑って言うと、ナタルは頭を掻いた。
「うん、久々に街の空気が吸いたいって、クリスタが……。あ、みんなに紹介するよ。家内のクリスタと娘のマーゴットです。よろしく」
ナタルがクリスタの背中に手をやって、三人の前に進み出させる。
クリスタはニコニコして会釈した。
「クリスタ・ウォルナットです。夫がいつもお世話になっています」
「初めまして、ポール・マホガニーです。こちらこそ、旦那さんにはお世話になってます」
「トゥーラ・アップルランドです。よろしくお願いします」
「キーツ・エグランティーンです。よろしくどうぞ」
三人の姓名を知って、クリスタが両手を合わせる。
「まぁ、ここに集まった全員が植物の名前だなんて素敵!」
ハッとして四人が顔を見合わせる。
「そういえば……そうだね!」
「全然気づかなかった――」
「不思議ね」
ウォルナットは胡桃、マホガニーは家具作りに適した高級木材、アップルランドは言わずもがな、エグランティーンはオールドローズだった。
と、ここで娘のマーゴットがぐずりだす。
「早く――! ジュースは?」
クリスタがマーゴットに顔を近づけて人差し指を立てて言った。
「初めての人に会った時はどうするの?」
マーゴットはふくれっ面で、ポールたちに挨拶した。
「マーゴット・ウォルナットです。五歳です」
「えっ、聞こえなーい」
ポールがからかって聞き直す。マーゴットは大いにむくれた。大きな声で言い返した。
「マーゴット・ウォルナットです! スノーホワイト幼稚園の年長組、五歳です!!」
「おーっ、元気元気。マギーちゃん、ジュースは何がいい? ケーキも頼んでいいよ」
これでポールとマーゴットは仲良しになった。メニューから目を離さないマーゴット。ポールのことは何でも話せるおじさんと認識したらしい。




