↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
処刑された側室は、もう皇帝を愛さない。  作者: 白 月虹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/43

24話 向けられた笑顔

夕食が終わりマルクスが退室し、アンリネットとバーバラは食事後のお茶をしていた。


「もう!バーバラ、二度とあんな事しないで!」


「何がです?」


「陛下に、アーン…なんて…。」


口調は怒っていても、恥ずかしさが勝っているようで、顔は赤かった。


「お姉様、前にも言いましたけど、マルクス様はお姉様の事、嫌いじゃないですよ。」


バーバラはいつになく真剣な表情で言った。


「そうかもしれないけど…でも、また嫌われたら…。」


バーバラは、はっとする。

最後まで聞かなくてもわかったから。


「そうですね…私も、お姉様にまた嫌われたら、立ち直れません。」


「バーバラ…。私は嫌いになんてならないわ!絶対に!」


アンリネットの中では、処刑回避のためでもあったが、マルクスに嫌われたくない。もう追いかけないと決めたのに、未だに諦めきれなかった。


次の日、昼過ぎからアンリネットはバラの手入れをしていた。


「アンリネット様!紅茶をいれましたよ〜」


リリーが明るく話しかけてくる。


「ありがとうリリー。庭師さんが外に居るから、一緒に。と誘って来てくれる?」


「わかりましたー!」


そう言うとリリーは温室から出て行った。


アンリネットは席につくと、紅茶を一口飲み、バラを眺めていた。


「バラをお菓子に入れたらおいしいかしら?」


独り言なのに、返事が返ってくる。


「それは美味しそうだな。」


振り返ると、マルクスが立っていた。


「陛下!?」


慌てて立つと、テーブルにぶつかってしまい、紅茶が入ったカップが倒れてしまう。


「あっ!」


パシャっと、アンリネットの足にかかると、マルクスは慌ててアンリネットに駆け寄る。


園芸の時のアンリネットは、パンツスタイルの軽装なため、マルクスは火傷を心配して、近くにあるホースで水をかけた。


「…あの、陛下…。」


「っ!」


アンリネットはずぶ濡れになって地面に座っていた。


「すまない!」


慌てて水を止めると、アンリネットはクスクスと笑っていた。


「陛下、慌て過ぎです。ふふふ、私は大丈夫ですから。」


マルクスの目が見開く。

その笑った顔が自分のために向けられてる事に、鼓動も早くなった。


「すまない…。」


そう言いながら、上着をかける。


「…陛下は、何か御用ですか?」


「あぁ…仕事の休憩で、一緒にしたいと思って…。訪ねた。」


「そうですか。私も休憩で…リリーが庭師さんを呼びに行ったのですが…。」


立ち上がるアンリネットを支えるマルクス。


「庭師もリリーも来ない。」


「え?」


「二人は戻らせた。ここには俺たち二人だけだ。」


「どうして…ですか?」


アンリネットの顔は笑顔から困惑したような顔に変わっていく。


「言っただろう。好きだと。」


「…困ります。」


後ろを向くアンリネット。


「いきなり好きだと言われて困惑するだろう。半年前まで俺は君を避けていたし。」


マルクスはアンリネットを肩を掴む。


「今まで傷つけてきたことは事実…だから、少しずつでもいい。俺を信じてくれないか?」


少し沈黙の後。

アンリネットは目を伏せたまま言う。


「わかりません…けど、少しずつなら。」


「ああ。ありがとう。」


笑顔のマルクスと目が合った。


(怖いけど…でも信じたい…やっぱり陛下の事、諦められないのね…。)


凍りついていたアンリネットの心は、ほんの少しずつ溶け始めていた。


「そうだ!すまない。君はずぶ濡れだったのだった。早く部屋へ戻ろう。」


「大丈夫ですよ。濡れてるのはズボンだけですから。」


「ダメだ!女性は冷やしてはいけないと、医者が言っていた!」


至って真面目な顔のマルクスに、アンリネットはまたクスクスと笑った。


「笑った顔が、可愛い。」


「ひゃい!?」


驚きのあまり、いつものように変な返事をするアンリネット。

それを愛おしそうにマルクスは見つめ、二人は笑い合っていた。


マルクスはアンリネットを部屋まで送っていくと、リリーがドアの前で待っていた。


「アンリネット様!?洋服が濡れてるではありませんか!」


「私が悪いのだ。湯の準備をしてくれないか。」


「は、はい。かしこまりました。」


リリーが一礼すると、湯浴みの準備へ向かった。


「…。」

「……。」


沈黙が続く。


「…準備が終わるまで、一緒に居て良いか?」


「は、はい。」


アンリネットが小さく頷くと、静かにドアを開け、マルクスを招き入れた。



つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。