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処刑された側室は、もう皇帝を愛さない。  作者: 白 月虹


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14話 仕組まれた罠

次の日、また次の日…そして三日後。


マルクスは毎日、アンリネットとバーバラがお茶をしている所に、顔を出していた。


アンリネットは俯いたままだが、バーバラは楽しそうに、マルクスとアンリネットの会話を見守っていた。


そんなある日、三人のお茶会に、ヘレーネが侍女も連れずに訪ねてきた。


「マルクス様。そろそろ会議の時間ですよ?」


「ヘレーネ…時間になったら執事長が迎えに来る手筈なんだ。」


「そうですか…では、それまで私も。」


そう言うと、椅子に座るヘレーネ。


「今日はお一人なんですね。」


バーバラが尋ねた。


「ええ。マルクス様を呼びに来ただけなので…。」


ニコリとするが目が笑っていない。

アンリネットとバーバラは警戒を解かなかった。

すると、ヘレーネの前に紅茶が出される。

アンリネットのバラと高級茶葉をブレンドしたローズティー。


「まぁ!良い香り…頂くわ。」


ヘレーネは一口飲む。


「どうかしら?」


アンリネットが口を開く。


「……ゴフッ。」


「きゃー!」

「えっ!?」


ヘレーネの口から赤い液体が滴り落ち、体がグラりと傾く。


「ヘレーネ!」


マルクスが抱き抱える。


「…はぁ、はぁ、マルクス…。」


手を伸ばすと、マルクスは強く握り返した。その強さにヘレーネは満足するように目を閉じた。


「……嘘…。」


呟くとバーバラは動けず、アンリネットはリリーに「医者を!」と、声を荒らげていた。


まるで時間がゆっくり進んでるように感じられた。


ヘレーネの部屋に皆集まり、医者の処置を見守っていると、容態は落ち着き、規則正しい寝息が聞こえた。


「そこまで強くはありませんが、毒ですね。」


(そんな…これが暗殺未遂事件だと言うの?

前の人生での事件はまだ先のはず…。)


アンリネットは考え込んでいた。

すると……。


「あの紅茶を入れたのは誰だ?」


マルクスが問いかけると、リリーが恐る恐る手を挙げた。


「リリーは何もしていませんわ!そうでしょ?」


「ええ!もちろんです!」


涙目のリリーの手に自身の手を重ねるアンリネット。

するとヘレーネの部屋のドアが、ガチャリと開いて、まるで見計らったように侍女たちが入ってくる。


「ヘレーネ様!」

「お可哀想なヘレーネ様…。」

「本当にアンリネット様の侍女が犯人では無いと言うならば、アンリネット様の部屋を調べさせて頂きたいです!」


一人の侍女が進言する。


「そんな…心外ですわ!」


声を荒らげるアンリネット。


「そうですわ!ヘレーネ様が来るなんて知らないのに、毒なんて!」


バーバラも思わず口を挟んだ。

すると、様子を伺っていたマルクスが口を開く。


「わかった。」


「陛下…。」

(やっぱり疑っているのね…。お茶に来てたのも、監視をするため?)


アンリネットは苦悶の表情を浮かべる。

そしてマルクスは続けた。


「私も立ち合う。」


そう言うと、アンリネットの前まで行き、手を取る。


「貴方の侍女が無実だと、私は思っているよ。」


「え…。」


思いもよらない言葉に驚き、顔を赤らめたアンリネットとマルクスが見つめ合うのを見て、バーバラは不謹慎なのはわかっていながら、目を輝かせていた。


「では、私と、侍女長と数名の侍女で、アンリネットの部屋へ。あとは応接室で待機してくれ。」


マルクスが指示をだすと、アンリネットたちは応接室へ向かった。

後ろでヘレーネの侍女たちが不敵な笑みを浮かべてるのも知らずに。


二時間程が経ち、アンリネットたちが不安になる頃、マルクスが応接室へやってくる。


「マルクス様!」


バーバラが立ち上がると、アンリネットは顔だけをマルクスへ向けた。


「遅くなった…。

その…これを、知っているか?」


マルクスの手には、見るからに毒のような色をした小瓶が乗せられていた。


「っ!?」


目を丸くするアンリネットとリリー。

お互い顔を見合せると、首を振る。


「知りません。どこにありましたの?」


「貴方のドレッサーの引き出し…奥の方に。」


「お言葉ですが、掃除は毎日しています。

昨日の夕方はありませんでした。」


リリーは断言する。


「……今、成分を調べさせている。その間、アンリネットとリリーはここに居てもらう。バーバラは自室へ戻りなさい。」


「私も居ます!」


バーバラは強く言う。


「ダメだ。疑いが晴れるまで、誰の接触も認めない!」


そう言うマルクスはバーバラの肩に手を置くと、優しく微笑んだ。


そして丁度その時、慌ただしく侍女が応接室に入って来た。



つづく。

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