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兄は平静
「お、お、お兄さま、今何と?」
「あれ、聞こえなかった? 彼、セイラの婚約者だよ」
「婚約者!?」
滅多に大声を出さないセイラが叫ぶ。
「そう。ほら、椅子に座って。今から説明するから」
妹に椅子を勧めながら、自分も座る。
勧められるままに大人しくセイラは座った。
妹が落ち着くのを待ってから、セツは口を開いた。
「彼は、僕の友達のレイ。コレストファー家の一人息子だよ」
「あの、コレストファー家って侯爵家ですよね…………」
「そう。うちと同じだ。それでねセイラ、彼は侯爵家の跡継ぎだろ?
っていうか、もう継いでるけど、周りから結婚を勧められて困ってるんだって。だから、うちのセイラをどうって言ったんだ」
「そうなんですか~」
納得して頷くセイラだったが────。
「って、納得出来ますか!!」
いくら大人しいセイラでも、そんな理由で話した事のないレイとの結婚は嫌だった。




