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どんな嵐も乗り越えて幸せになってみせます、それが私の人生ですから!~聖女を傷つけた者には天罰が下るようです~  作者: 四季


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6話「感じの悪い妹は」

 近頃、妹の一人ルルが厳しい。

 これまでも仲が良かったわけではない。ただ、最近のように絡んでくることはなかった。失礼な言葉を投げつけてきたり、睨んできたり、そんな風に接されることはなかった。

 なので今は戸惑いが大きい。

 いつの間にかルルにこんなに嫌われているとは思わなかった。


「お姉さま、ベッド、捨てておきましたわよ」

「えっ」

「ベッドなし生活が嫌なら早く結婚なさって」

「えええ……」


 ある時は自室のベッドを勝手に捨てられ。


「服が……そんな、どうして……って、まさか!」

「ええ、そのまさか、ですわ」

「ルル……」

「お洋服は切っておきましたわ」

「そんな、どうして!?」


 ある時はクローゼットに入れていた服の一部が切り刻まれていて。


「汚らしい服はもう要らないでしょう? 要らないものを処分する能力さえないお姉さまの荷物が増えすぎないよう、代わりに刻んでおいて差し上げましたのよ? 感謝なさって?」


 しかも当たり前のような顔をされた。


 また別の時には。


「お姉さまの朝食、今日はありませんわよ」

「本気で言っているの?」

「もちろんですわ。お姉さまはもっと素敵になって殿方に見初めてもらわなければならないですもの、毎食きちんと食べている場合ではありませんわよね」

「それはちょっと」

「ですから、お姉さまの分もいただいておきましたわ」


 朝食を勝手に食べられていた。


「ルルが食べたの!?」

「ええ」

「あまりにも勝手すぎない……?」

「お姉さまのために食べて差し上げたのですから、感謝してもらわなくては困りますわ」


 さらに別の時には。


「ルル、どうしてそのドレスを着ているの?」


 私のものだったはずのコーラルピンクのドレスをルルが勝手に着用していて。


「わたくしの方が似合うと思ったからですわ」

「それは私のものよ」

「うるさいですわね。こういう華やかなドレスはお姉さまなんかには似合わないでしょう。より似合うわたくしが着て差し上げているだけ。ただそれだけのことですわ」


 そのことについて尋ねても軽く流されるだけ。


「人のものを勝手に使うのはやめて!」


 苦情を言っても。


「お姉さまは黙って地味な服を着ていればいいだけですわ」


 まともに聞いてはもらえない。


「それが嫌なら、さっさと結婚すれば良いのですわ」

「そういう話じゃないでしょう」

「うるさい。黙って。お姉さまは生きているだけで迷惑な存在なんですから、わたくしのすることにあれこれ口出しする権利などありませんわ!」


 むしろ私が悪いかのような言い方をされてしまって。


「わたくし、これからアレフレット様とのお出掛けですの。だから邪魔しないでくださる? 素敵な最高の日をお姉さまの顔面で穢されては困りますわ」


 結局コーラルピンクのドレスは返してもらえなかった。


 だが、それから二週間ほどが経った頃、ルルはこの世を去った。


 その日ルルは婚約者であるアレフレットとデートしていた。しかし路上で汚い格好をした怪しい男に襲いかかられた。男は通り魔だった。アレフレットは不審者に気づくや否やルルを放置して逃げたそうで。急に一人になってしまったルルは、恐怖のあまり動けず逃げられずにいるうちに男に襲われてしまい、その場で命を落とすこととなってしまったそうだ。


 後に聞いた話によれば、アレフレットはルルの死後すぐに別の女性と婚約したらしい。


 アレフレットはルルのことをそれほど愛していなかったようである。


 ルルが亡くなると、彼女が自分のもののようにしていたコーラルピンクのドレスは私のもとへ返ってきた。

 とはいえ、ルルが着ていたものを自分も着る気にはどうしてもなれなくて。

 着ることはできずとも何かしらに活用できれば、と考え、私はそれをドレス屋さんで買い取ってもらった――それによって生まれたお金を持って、実家を出ていくことに決めた。


 出ていく、という意思を両親に伝えると、二人は「ふーん」といったくらいの反応しかしない。


 父は無関心そうな面持ちで「好きにすればいい」とだけ吐き捨てた。

 母は眉間にしわを寄せながら「自己中心的な女ね、娘だなんて思いたくないわ。……ま、好きにしなさい」とだけ発していた。


 コーラルピンクのドレスが意外と高く売れたことは幸運だったと思う。



 ◆



 王都へ引っ越した私は街中で偶然高貴な人と遭遇する――この国の王子ヴェガウンディに。


「青い髪……!」


 従者に取り囲まれた彼とすれ違ったのはたまたまだった。

 しかしそこから関係が始まる。

 彼の双眸は確かに私の姿を捉えていた。


「そこの貴女!」

「……ぁ」

「突然声をかけてすみません、少し構わないでしょうか」


 こんなことが起こるなんて夢にも思っていなかったのだけれど。


「我が名はヴェガウンディ、この国の王子です」

「は、はい……お名前はお聞きしたことがります」

「その青い髪、もしかして貴女は『聖女』ではないですか?」

「ぇ……」

「そうですよね!?」

「あ、や、その」

「聖女だと思います! ぜひ一度確認を! ……よければ一緒に来ていただいても?」


 話は自然に進んでいってしまって。


「構いませんか?」

「……は、はい」

「ではお願いします」

「……分かり、ました」


 思わぬ形で城へ行くこととなった。

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