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どんな嵐も乗り越えて幸せになってみせます、それが私の人生ですから!~聖女を傷つけた者には天罰が下るようです~  作者: 四季


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4話「二人の結末」

「うるせーよババア。顔真っ赤にして怒ってブッサイクだな。何だその顔、くっだらねぇ。ネイ、お前がそんなブッサイクな女だとは思わなかったわ。顔のことだけ言ってるんじゃねえよ? 全部だ全部! 全部含めてブッサイクな女と結婚とかぜってーに無理だわ!」


 もはやカインに躊躇いはなかった。

 彼は一切手加減しない。

 思ったことはすべて言う、言いたいことはすべて言う、それが相手を傷つけることだとしても。


「カイン……どうしてそんなこと言えるの?」

「事実しか言ってない」

「じゃあこっちだって言うよ! カインなんて浮気する駄目駄目男だ、って!」

「うるせえな」

「そっちは好き放題言うじゃん! ならこっちだって言うよ! 言ったっていい、ってことでしょ? 言われる覚悟なしに言うのはやめろ、ってものだよ!」


 するとカインは舌打ちをした。何も言い返さず睨みつけ、近くにあった花瓶を片手で掴む。何が起ころうとしているのかネイが察するよりも早く彼は動いた。片手で掴んでいたガラス製の細めの花瓶をネイに向かって全力で投げつける――が、投げることに意識を向けすぎていたためか落ちていたクッションで足を滑らせてしまい、その結果カインはその場で転倒。手をつく間もなく転んだ彼は頭部を打ってしまい沈黙した。


 ネイは両腕を前に出して花瓶から身を護ったが、目の前でカインが意識を失ったことに酷く動揺していた。


「カイ、ン……?」


 怯えたような目をして声をかけるネイ。

 しかし返答はない。

 仰向けに倒れたままのカインはほんの少しも動かない。


「ちょ、だ、大丈夫……?」


 カインはそのまま亡くなった。

 頭を打ったことによる即死だった。


 ――ネイが息子を殺した。


 カインの死をまともに受け入れられなかったカインの母親はそう主張した。


「息子が勝手に死ぬなんて、そんなこと、あるはずがないわ! ネイよ! ネイが殺したのよ! 絶対そうだわ、息子は婚約者に殺されたのよ!」

「違う、あたし、そんなことしてない!」

「うるさいわ……嘘つき女、わたしから可愛い可愛い息子を奪っておいてそんなことを言うなんて……どこまで悪女なのかしら……」

「本当なんです! カインは足を滑らせて!」

「カイン? 呼び捨てしないでちょうだい。貴女のような悪女にはわたしの息子の名を呼ぶ権利はないわ」


 それによりネイは拘束され、牢屋へ入れられることとなってしまう。


「貴女には死刑が相応しいわ」

「どうして……」

「わたしから息子を奪ったのだもの、罪を償いなさい」


 カインの母親はネイに対して深すぎる怨みを抱えていた。


「愚かな悪女、滅びなさい……カインの仇は必ず討つ、それは決定事項よ。わたしは母としてやらなくてはならないのよ……可愛い息子の命を奪った女には容赦しない、当然のことでしょう……」


 そうしてネイはやがて処刑されることとなる。


「やめて! こんなの間違ってる! あたし、人殺しなんてしてないよ! そりゃあちょっと喧嘩はしてたけど……でも命を奪うなんてそんなことしてない! 聞いて! お願い、話をちゃんと聞いてよ!」


 彼女は最期まで冤罪だと主張していたけれど。


「やだ! こんなのやだよ! 処刑なんて嫌! 生きたい、生きたいよ、あたし……こんなの間違ってるよ、やめて! 話を聞いて!」


 そのまま処刑されたのだった。



 ◆



 カインとネイの最期について聞いた。


 初めは信じられなかった。けれども詳しい話を聞いているうちにそれが現実なのだと徐々に理解できてきて。二人はこの世界にいなくなった、それが一つの事実なのだと完全に理解できた瞬間涙が溢れて止まらなかった。


 特に悲しかったのは、ネイとあれきり会えなかったこと。


 話ができたなら何か変えられたかもしれない……。


 そう考えるとただ悲しくて。


 私にできることはなかったのかな。

 私にできることがあったのではないのかな。


 そんなことばかり考えてしまって、そのたびに、悲しさの海に落ちていた。


 ネイとの思い出はたくさんある。だからこそ彼女には生きてほしかった。私から離れていても構わないから、彼女なりに幸せであればそれだけでいいから、何とか生きていってほしかった。ネイにはこれまでたくさんの日射しを貰ってきた、だからこそ、彼女には明るい道を進んでいってほしかった。


 それからしばらくは泣いて暮らしていたけれど、やがて、親の紹介で新たな婚約者となる男性がやって来て。


「あんたがアズリーか?」

「はい」

「パッとせーへんな」

「失礼ですね……」

「はっはっは! おもろいなぁ。おれはデートル、よろしく!」

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