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どんな嵐も乗り越えて幸せになってみせます、それが私の人生ですから!~聖女を傷つけた者には天罰が下るようです~  作者: 四季


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14話「別れの時」

「なんということだ……これが、噂されている、アズリーの呪いか……!」


 母が突如命を失った。その様をすぐ傍で目にした父は声を震わせている。怒りゆえか恐怖ゆえか、なぜ声が震えているのかは定かでないが。動揺している様子だった。目の前で繰り広げられた出来事によって生まれた心の乱れを父は隠せていなかった。


「信じられん……」


 父の言っていることも間違いではないのかもしれない。

 密かにそんなことを思った。

 我が身に宿る女神の力は容易く人の命を奪う。

 そういう意味では一種の『呪い』とも言えるのかもしれない、と、たまには思うこともある。


 だがその力を捨てたいとは思わない。


 復讐の力は私を幾度も救ってくれた。

 女神が下す天罰に私は何度も救われてきた。


「青い髪だけでも不気味だとは思っていたが、まさかここまでとは」

「父さん……」

「黙れ。お前にそんな風に呼ばれたくはない。娘二人を奪ったお前には、父さんなどと呼ぶ権利はない」


 地鳴りのような低音で言われてしまう。


「そう、ですね」


 両親は元々私のことを良く思っていなかった。だからこうして拒否されてしまっても驚きはしない。ああ結局嫌われたままだったな、そんな風に思うだけ。私たちはどこまでいっても分かり合えない運命なのだろう。


「謝罪しろ」

「なぜ」

「いいから、しろよ!」

「落ち着いて」

「馬鹿なことを言うな! 落ち着いていられるわけがないだろう! 妻まで奪われたんだぞ!」


 父は声を荒くする。


「大悪魔アズリー! お前だけは許さん! 絶対、絶対絶対絶対、絶対、に……許しはしないッ!!」

「相手を間違っています」

「黙れ! 皆、お前のせいで不幸になった! すべてお前のせいだ!」

「全責任を私に押し付けるのはどうかと思います」


 すると彼は冷ややかな笑みをこぼす。


「家族を殺し、周囲を不幸にし、さらには王家に入り込んで今度は国を潰すつもりか?」

「まさか。あり得ません」

「どうせまた悪いことを企んでいるのだろう!」

「違います」

「違わないだろうが! 王子に取り入って!」

「私は何も企んでいません。ただ穏やかに生きていきたいだけです。絶対です、そこだけは譲れません」


 父は座っていた椅子から勢いよく立ち上がった。

 がたんと大きな音がして細身の椅子が横倒しになる。


「天罰を下されるべきはお前だろう!!」


 憎しみに染まりきった目をしている。


「今ここで命を差し出せ!!」


 私に宿っている力は無差別に人を不幸にするものではない。私に嫌な思いをさせた人、という条件においてしか発動しない力だ。それゆえ無関係な人を巻き込むことはない。罪なき人まで傷つける力ではない。


「私は殿下と共にこの国を永く護ってゆくつもりです」


 怒鳴られても、暴言を吐かれても、決して迷わない。


「それが私の生きる道です」

「ふざけるな!!」

「何を言われても……それでも私はこの道を行きます」

「黙れ!!」


 もう私は自由なのだ。


「叫べば言いなりにできると思わないでください」


 この自由は誰にも奪えないもの。


「もう関わってこないでください」


 ……放っておいて。


 言いたいことはそれだけ。


「私は私の道を行きます」


 そこまで言って、父には帰ってもらうよう頼んだ。


 父の怒りは収まらなかった。けれども係の者たちに囲まれて強制的に城から追い出されていった。じわりじわりと出ていかざるを得ない状況に追い込まれている最中でさえ父は激しい怒りを露わにしていて、まるでそれが合言葉であるかのように毒のある言葉を吐き続けていた。必死になって思いつく限りの侮辱の言葉を並べている父の姿は小さく見えた。


「聖女様、すみませんでした」

「いえ」

「もう少し早く追い出すべきでした。反省しています」


 係の青年は後で謝ってくれた。


「よいのです……あれでも父ですから。私が、私自身が、はっきりと言うべきだったのだと思います。その役目は私が背負うべきものでしたので」


 これは後に知ったことだが。


 あの日の帰り道、馬車に乗って家へ向かっていた父は、途中で山賊に取り囲まれてしまったそうで。お金になりそうなものをすべて奪われたうえ、彼らの基地へ連れていかれてしまったそう。そしてそこで山賊たちに奴隷のように扱われるようになってしまったようだ。


 毎日、朝が来るたび、絶望して号泣しているそう。


 彼の心は破壊されつつある。

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