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第八話 シロマルの人助け



 外は広かった。街の何倍あるのか、わからないくらいで、あまりにもスケールが違いすぎた。

 力の限り駆けても、紙飛行機を投げてもいい。何も遮るものはなかった。

 だから僕は、お母さんに「外で遊ぶ」と伝えて、意気揚々と街を出てきた。

 鬼ごっこをしていると、わずかに熱を奪うような、涼しげな風が吹いて心地よい。それでいて太陽が照りつけ、暑いような寒いような、不思議な感覚を生んでいる。

「次お前が鬼な! 逃げるぞー!」

 幼馴染のヒヨドリが叫んで一目散に駆け出した。遅れを取った僕を、鬼になったムクドリは見逃さない。

「くそー! ヒヨドリずるいなぁ!」

 あっという間にムクドリとの距離が縮まる。僕はさらに蛇行した。

「わあっ!」

「あっごめんなさい! よそ見してて……」

 後ろを見ながら走っていたら、女の子にぶつかった。ムクドリは標的をヒヨドリに変えて去っていく。

「あれ? 見つからないなー」

 女の子の持っていたものが落ちてしまったらしい。小さいものだったのか、草むらに埋もれて見つからないようだ。

「ええと……ごめ、なさ……」

「お、カワセミだ。何やってんの?」

 女の子に、お兄さんが話しかけてる。怒られたくなかったから、僕はその隙に走って街に帰った。


「ボールペン落としちゃって……、見つかんないの」

「何色の?」

「銀色の、三色あるボールペンだけど。……探してくれるの? ありがとう」

 膝より低い草むらを掻き分け、早速探し始めるシロマル。

「ないと困るんじゃないの? 普通に探すけど」

 カワセミはとても嬉しかった。ぶつかってきた男の子がいつの間にかいなくなっていたのはすこしむかついたが、それも帳消しだ。

「ほら、あった」

 少し汚れているが、差し出された銀色のボールペンを見てほっとした。

「ありがとう」

 返事がないので顔を上げると、シロマルは植物図鑑を手に取って、しげしげと眺めている。

「外の植物調べてるの?」

「そうそう、ウトウさんが外でも野菜とか栽培した方がいいって。それで私が植物を調べてるんだ」

 へえ、とシロマルは図鑑をぱらぱらめくっている。

——もしかして、シロマルは植物が好きなんじゃないか?

 それなら、手伝ってもらったら作業も早く終わるかも。

「シロマル君も一緒にやろうよ!」

「えっ、あっ? ……うん、やろっか」

「シロマル君はこのテープの範囲内で、この植物の数を数えて。私はこれ探すから。じゃ、よろしく」

 カワセミはてきぱきと指示を出す。シロマルは、散歩をしに出たつもりが、長時間の外出になったのだった。

「ま、人助けだと思って探すかあ……」

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